見出し画像

結果を正直に伝えただけなのに…(カヲルの場合)|深夜0時の鑑定室⑩|電話鑑定士・深鈴

【相談内容】
依頼も波がある。
依頼が立て続けに来る日、まったくない日。
まるで潮の満ち引きのように…

今日は依頼がまったく来ない日だった。
ただ、画面の前で待機していると、私の存在など、誰もが忘れ去ったしまったのではないかという気がしてくる。
ふと、私は過去の手痛い経験を思い出した。

「こんばんは、深鈴です。今日はどうなさいましたか?」

あの頃の私は、電話鑑定士を始めたばかりだった。
カヲルは、そんな私にとって初めてのリピーターだった。

最初の相談は、彼との別れだった。
彼は精神的に参ってしまい、会社も休職し、「迷惑をかけるから」と彼女に別れを告げた。

カヲルは諦めきれず、ときどき連絡を入れたり、差し入れを持っていったりしていた。

その状態が半年ほど続いたが、根気強く、彼への思いを捨てない彼女のことを、私は心底応援をしていた。

その状態がしばらく続いたあと、少し間が空いて、依頼が入った。
電話に出ると、彼女の声は明るく弾んでいた。
「彼氏ができたんです」

私は一瞬、ほっとした。
彼のことを諦めきれないとはいえ、終わりの見えない恋に、彼女が疲れてきていることに気が付いていたからだ。

そんな彼女の明るい声を聞くのは、久しぶりだった。

それはよかったですね、と祝福しようとした。
でも、話を聞いた途端、その言葉は引っ込んだ。

相手は職場の上司。しかも既婚者だった。
体調が悪い時に家まで送ってもらい、そのまま体の関係をもったのだという。私は頭を抱えた。

やられた。

彼女の疲れた心の隙につけこまれたように感じたからだ。
けれど、そこまではまだ私の内心の話だった。
問題は、その先だった。

彼女は少し興奮した声で言った。
「彼、奥さんと別れて、私と結婚してくれるって言ってるんです。いつ頃結婚できますか?」

私は鑑定に入った。
そして、出た結果をそのまま伝えた。
「彼は、奥さんと別れる気はないようです」
次の瞬間、彼女の声色が変わった。
「彼は私を選ぶと言ったんです!先生のこと信じてたのに、嘘つき!酷い!」
そこで通話は切れた。

あとに残ったのは、最低評価のレビューだった。
裏切られた。傷ついた。最低。
そんな言葉が並んでいた。
私はしばらく画面を見たまま、動けなかった。

📞1|依頼者が欲しかったのは結果ではなく、希望の保証

このケースで彼女が求めていたのは、未来の事実そのものではなかったのだと思います。
欲しかったのは、この関係には意味がある、という保証です。

もともと彼女は、傷ついた状態にありました。
引きこもってしまった彼との関係が終わりきらないまま、心に隙ができていた。
そこに、既婚の上司が入り込んだ。

だからこそ、新しい関係には最初から「救い」の意味が乗っていたのだと思います。

このとき依頼者が受け取りたいのは、事実よりも希望です。
「彼は奥さんと別れない」という結果は、未来の否定というより、
自分がもう一度選ばれたと思いたかった物語の否定として届きやすいのです。


📞2|正直さだけでは、届かないことがある

当時の私は、出た結果をそのまま言うことが誠実だと思っていました。
余計な感情を入れず、見えたままを伝える。
それが正しい姿勢だと信じていたのです。

でも実際には、正直さだけでは届かないことがあります。

人は、結果そのものに怒るというより、
その結果をどう渡されたかに強く反応します。

カヲルが激高したのは、単に耳の痛いことを言われたからではなく、
その時の彼女にとって、私は「希望を壊した人」になってしまったからです。

いま振り返ると、必要だったのは断言の強さではなく、
その結果を受け取れるだけの足場を先に作ることだったと思います。


📞3|鑑定士が学ぶのは「当てること」ではなく「渡し方」

この件で私が学んだのは、
鑑定士の仕事は結果を言うことだけではない、ということでした。

もちろん、見えたことを曲げる必要はありません。
でも、相手がその結果をどう受け取るかを無視していいわけでもありません。

たとえば、こういう順番なら違ったかもしれません。

  • まず、彼女がどれだけその関係に希望をかけているかを受け止める

  • そのうえで、「今の流れでは、彼が家庭を手放す動きは見えにくい」と少し幅を持たせて伝える

  • さらに、「結婚の時期」より先に、「この関係に何を預けているのか」を整理する

鑑定士が扱うのは、未来だけではありません。
未来を聞きにきた人の感情の置き場も、同時に扱う必要があるのだと思います。

あの時の私は、まだそこまで届いていませんでした。
だからこれは、結果を外した失敗ではなく、
結果の渡し方を知らなかった失敗だったのだと思います。


▼鑑定士メモ(現場用)|結果を正直に伝えただけなのに…(カヲルの場合)

構造タグ:
#希望保証 #結果の渡し方 #初期失敗

見立て(構造):
依頼者は未来の事実を知りたいというより、その関係に希望を持ってよいという保証を求めています。
そのため、厳しい結果は「情報」ではなく「裏切り」として受け取られやすい状態です。

危険サイン:

  • 傷ついた直後の新しい関係に、強い意味づけが乗っている

  • 既婚者との関係に、短期間で結婚の話が出ている

  • 「いつ結婚できますか」のように、結論だけを急いでいる

  • 鑑定士を“味方”として強く期待している

鑑定士がやりがちなNG:

  • 結果をそのまま断言してしまう

  • 依頼者の希望や感情の置き場を作らずに結論へ行く

  • 「見えたままを言うのが誠実」と思い込み、受け取り方を軽視する

  • 耳の痛い結果を、補助線なしで渡してしまう

推奨対応(深鈴トーン):

1.先に希望の重さを受け止める
「この関係に、かなり希望をかけているんですね」

2.断言ではなく流れとして伝える
「今の流れでは、彼が家庭を手放す動きは見えにくいです」

3.未来より先に主語を戻す
「結婚の時期より先に、この関係に何を預けているのかを見ていきましょう」

線引きフレーズ(1本):
「結果はそのままお伝えします。そのうえで、感情の扱い方や、これからの動き方も一緒に整理していきましょう」

着地(鑑定士側の目的):
正しい結果を言うことだけで終わらず、依頼者がその結果を受け取れる状態を作る。
未来の断定ではなく、感情の置き場を作りながら主語を本人に戻すことを目指す。


※本記事は、相談現場でよく起きる構造をもとにした再構成です。特定の人物・出来事とは関係ありません。
※現在は電話鑑定は行っておりません。

📞シリーズまとめページを作りました!

👇共同運営マガジンをはじめました。
スピリチュアルと現実、両方を大切にしたい方へのマガジンです。
参加者募集中です。

いいなと思ったら応援しよう!