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Isaiah Rashadの"It's Been Awful"を聴け

2026年5月1日リリース。Isaiah Rashadの3枚目のアルバム"It's Been Awful"は、TDEから5年の沈黙を経て届いた。リリース前の仮題は"All My Heroes Are Junkies俺のヒーローたちは皆ジャンキー"だったという。Isaiah Rashadは「直接ちょくせつすぎる」としてその名を捨てたが、アルバムの内容は仮題が示す通りだ。全16トラック、依存症・性的流動性・家族のトラウマ、これらすべてが一枚のアルバムに封じ込められている。

音楽評論家Anthony Fantanoは「strong five to a light six(強い5から薄い6)」という評価を下した。Professor Skye's Record Reviewは「Too real. This album is too real(リアルすぎる。このアルバムはリアルすぎる)」と表現した。

Apple MusicのRap Life ReviewでNickは「We are watching an artist take their first breath after damn near drowning(ほぼ溺れかけた後で、初めて息を吸い込むアーティストを目撃している)」と述べ、Eddieは「I finally understood it better by my third listen(3回目でようやくわかった)」と認めた。

業界側からはStat Quoが「this is a victory for Isaiah Rashad(これはIsaiah Rashadの勝利だ)」と締めた。批評家の数値評価、インディ評者の生の感情、業界側の祝福という三層の温度差が、このアルバムの本質を示している。技術的に完璧か、という問いへの答えは「否」だ。しかし何かにさっているか、という問いへの答えは「間違いなく」だ。


5年ぶりの帰還、タイムカプセルとしての正直さ

前作"The House Is Burning"は2021年リリース、Isaiah Rashadが29歳から30歳のころの作品だ。その2作前、"Sun's Tirade"(2016年)が21歳から24歳の時代の記録。そして今回の"It's Been Awful"が34歳の記録となる。Breakfast ClubでIsaiah Rashadはこのアルバムをこう位置づけた。「それぞれのプロジェクトが各時代を封じ込めたふうじこめたタイムカプセルだ。21歳の俺、29歳の俺、そして今。今、俺は20代に思い描いていたような、音楽と人生への感覚をようやく手にしている。」

このアルバムが他の2作と根本的に異なる点は、もはや隠すものがないという状態で作られたことだ。2022年の動画流出りゅうしゅつによって、Isaiah Rashadの性的流動性と薬物使用の両方が世間に知れわたった。彼は「被害者ではない」と明言しつつも、そこから5年間をかけてアルバムを作り続けた。この「すべてが明るみに出た後に作る」という状況が、"It's Been Awful"をTDEカタログの中でも異質な作品にしている。

プロデューサー陣で特筆すべきは弟のKeemことKeem the Cipherだ。Isaiah RashadはHOT 97のインタビューで「弟がアルバムの半分のトラックをプロデュースした。27歳だ」と語った。KeemはCaliforniaカリフォルニアに引っ越してきてからの2年半から3年をIsaiah Rashadの回復の伴走者ばんそうしゃとして過ごし、同時に音楽制作でもアルバムの根幹を担った。「1日に7から10ビートを作っている。頼んでもいないのに、朝起きたら勝手にやっている」とIsaiah Rashadは誇らしげに語った。TDEというレーベルの制作文化については、こちらの記事に詳しい。

アルバムタイトルについて、Isaiah RashadはHOT 97でこう解説した。「"It's Been Awful"の方がユニバーサルだ。今この瞬間、地球上の誰もが自分なりの意味を見出せる。個人の権利が侵食されている今、誰もが『最悪だった』と言える。」告白の形をしたアルバムは、自分だけの物語ではなく、時代の声でもある。

中毒の詩学:ヒップホップが滅多に踏み込まない領域

このアルバムの中心にある強みは、依存症についての書き方にある。単に薬物を「格好いいもの」として称揚しょうようするのでも、被害者的自己告白でもなく、「自分がどのようにして中毒になり、どのように回復し、どのようにまた落ち、どのようにまたクリーンになろうとするか」という再発さいはつ循環じゅんかんそのものを歌詞に落とし込んでいる。

アルバム冒頭の1曲目"THE NEW SUBLIME"がその宣言文だ。プロデューサーKeem The CipherとJulian Sintoniaが手がけたトラックの上で、Isaiah Rashadはこう始める。

”I'm cut from a sinful nature and I feel afflicted
If I romanticize them Percocets, I might relapse again”

「俺は罪深い本性から切り出されていて、苦しみを感じている
もしパーコセット(鎮痛ざい)を美化したら、また再発するかもしれない」

「もし美化したら」という条件節じょうけんせつは、依存症者いそんしょうしゃが日常的に経験する誘惑ゆうわくとの駆け引きかけひきを的確に表している。回復とは「一度達成すれば終わり」ではなく、毎日更新こうしんし続けるものだという認識が、初曲から刻まれる。

2曲目"M.O.M"(Man On a Mission)は、このアルバムで最もねたトラックだ。Hollywood ColeとJulian Sintoniaが手がけたアップビートでローファイな音に乗り、Isaiah Rashadはコーラスで「but it's taking me back and forth(でも前後に引き戻される)」と繰り返す。ミッションを持ちながらも揺れ続けるという矛盾が、冒頭の宣言から2曲目で早くも示される。「My mama don't want no drugs up in this house, hide the dust(ママは家に薬が入るのを嫌がる、隠しておかないと)」という一行目から、成功と母との緊張きんちょうが始まる。ブリッジの「Wait, don't overdo it(待て、やりすぎるな)」は、高揚こうよう自制じせいの間を揺れるアルバム全体の縮図だ。

6曲目"SCARED 2 LOOK DOWN"には、アルバムの三つの主題が圧縮されている。薬物(When I feel like I can't breathe, I grab my blunt, that's my flaw「息ができないと感じたとき、ブラントを手にする、それが俺の欠点だ」)、性的流動性(「Fucking her and her and him」)、そして回復の反復(Then I quit like the eighth time, could've broke down, but I didn't「8回目の禁断だった、崩れ落ちそうだったが持ちこたえた」)。タイトルの意味は第2バースで明かされる。

”Got marble all the way up at the top 'cause I'm too scared to look down”

「頂上まで大理石があるが、俺は下を見るのが怖すぎる」

成功のたかみに達しながら、そのたかさを確認かくにんすることへの恐怖きょうふというパラドックスが刻まれている。「8回目」という数字の具体性ぐたいせいが、回復の反復的はんぷくてき性格せいかくを記録として定着ていちゃくさせる。

7曲目"HAPPY HOUR"は、アルバムのサブコンセプトである架空のラジオ局WWURのDJ「Sunny Roshi」のキャラクターが登場する幕開まくあけ的な楽曲だ。D. SandersとJulian Sintoniaが手がけたトラックは、タイトルのとお弛緩しかんした昼下ひるさがりのような音だが、歌詞は鋭い。

”All my heroes are junkies
Got me burning down my house again”

「 俺のヒーローたちは全員ジャンキーだ
また家を燃やしてしまっている」

後段の一行は直接的な自己言及じこげんきゅうだ。前作のアルバムタイトルが"The House Is Burning"(家が燃えている)だった。その「燃える家」が今また燃えている、つまり回復から再びすべり落ちたという告白こくはくが、さりげなくめ込まれている。Stat QuoはThe 3rd Verseでこの曲について「That song Happy Hour is one of the happy yo, it's an amazing song(「Happy Hour」っていうあの曲は、最高にハッピーな曲のひとつだ。本当に素晴らしい曲だよ。)」と評した。歌詞と音のギャップが成立しているから、この曲はリスナーを過剰に追い詰めない。重いが、軽く聴こえる。それが依存症いそんしょうをめぐる日常の質感しつかんに近い。

8曲目"DO I LOOK HIGH?"は、本アルバムで最も直接的に薬物への言及を含む楽曲だ。Isaiah RashadはHOT 97でこの曲について「第2バースを6ヶ月先に書き、第1バースを最後に書いた。あまりにも正直すぎると感じて、ずっとそのままにしておいた」と語った。

”I miss my tender innocence
Methamphetamines was fucking with my mind”

「傷つきやすかった頃の純粋さが恋しい
覚醒ざいが俺の頭をかき乱していた」

ヒップホップのリリシズムで覚醒かくせい剤を明示的めいじてきに告白する例はまれだ。「あなたは格好良く見えるか?」ではなく「俺がハイに見えるか?(do I look high?)」という問いそのものが、Isaiah Rashadの「鏡の前に立つ」という行為の表れだ。

12曲目"ACT NORMAL"では射程しゃていが家族全体に広がる。

”Turned out the whole family was sex addicts
Found some was ashamed of waves in the brain that they passed down”
 
「家族全員が性依存症だったとわかった
脳の波(受け継がれたもの)を恥じている者もいた」

Isaiah RashadはHOT 97で「この曲を書きながら泣いた。自分が常に自分に語りかけていることを、人前で書き落とすのが苦痛だった」と語っている。世代せだいをまたいだ性的機能不全せいてききのうふぜんという、ヒップホップが取り上げることのほぼないテーマが、しずかにめ込まれている。

15曲目"SUPERPWRS"はアルバムの精神的せいしんてき頂点ちょうてんだ。SaxonとJulian Sintoniaによるソウルフルなトラックの上で、Isaiah Rashadは回復の構造こうぞうそのものを問い直す。

”How I get sober, fucked up, then clean again, I don't know”

「どうやってシラフになって、また落ちて、またクリーンになるのか、自分でもわからない」

「わからない」という言葉こそが正直だ。依存症者がよく語る「回復のメカニズムが自分でもわからない」という感覚かんかくを、1行で切り取っている。

知られざる5曲:アルバムの縦軸を支えるトラック

Track 02 "M.O.M"(Man On a Mission)

アルバム全16曲の中で最も跳ねたトラック。Hollywood ColeとJulian Sintoniaによるアップビートでローファイな音は、Isaiah RashadがLollapalooza 2025で初披露した際に「ダンスシューズを履いてくれ。これはいつもの俺とは違う」と前置きして演奏した一曲だ。タイトルの"M.O.M."は"Man On a Mission"の略だが、コーラスで「but it's taking me back and forth(でも前後に引き戻される)」と繰り返すことで、ミッションを持ちながらも揺れ続けるというアルバム全体のテーマが最初に提示される。「My mama don't want no drugs up in this house, hide the dust」(ママは家に薬が入るのを嫌がる、隠しておかないと)という一行目から、成功と母との緊張が始まる。ブリッジの「Wait, don't overdo it」(待て、やりすぎるな)は、高揚と自制の間を揺れるアルバム全体の縮図だ。

Track 04 "BOY IN RED"(feat. SZA)

外部からの評価を加えると、音楽エグゼクティブのStat QuoはポッドキャストThe 3rd Verse(2026年5月5日放送)で、アルバムのベストトラックとして「イントロ、次いでSZAとのコラボ曲」を挙げた。Apple MusicのRap Life Review(2026年5月6日放送)では「you could hear that at a festival. Like an outdoor festival(それをフェスティバルで聴くこともあり得るだろう。例えば、屋外フェスのような場所でな)」という評が出た。このアルバムの他のトラックが内省的な密室感を持つ中で、"BOY IN RED"だけが空に向かって開いている。Isaiah Rashadが性的流動性を歌う曲でありながら、最もオープンな音になった逆説は、この曲の核心だ。

Track 06 "SCARED 2 LOOK DOWN"

タイトルの意味は第2バースで明かされる。「Got marble all the way up at the top 'cause I'm too scared to look down」(頂上まで大理石があるが、俺は下を見るのが怖すぎる)。成功の高みに達しながら、その高さを確認することへの恐怖というパラドックスが刻まれている。この曲にはアルバムの三つの主題が圧縮されている。薬物(When I feel like I can't breathe, I grab my blunt, that's my flaw「息ができないと感じたとき、ブラントを手にする、それが俺の欠点だ」)、性的流動性(「Fucking her and her and him」)、そして回復の反復(Then I quit like the eighth time, could've broke down, but I didn't「8回目の禁断だった、崩れ落ちそうだったが持ちこたえた」)。「8回目」という数字の具体性が、回復の反復的な性格を記録として定着させる。

Track 07 "HAPPY HOUR"

アルバムの前半(告白と記憶の解凍)と後半(WWURラジオの枠組み)を接続するヒンジ曲だ。「中毒の詩学」のセクションで触れた「All my heroes are junkies / Got me burning down my house again」というラインがアルバム全体を代表するフレーズとなる。Stat QuoはThe 3rd Verseでこの曲について「That song Happy Hour is one of the happy yo, it's an amazing song」と語った。「happy」という言葉を繰り返すその評言が象徴的だ。歌詞の内容は重いが、D. SandersとJulian Sintoniaが手がけたトラックの音は弛緩した午後の日差しを纏っている。歌詞と音のギャップが成立しているから、この曲はリスナーを過剰に追い詰めない。

Track 11 "CAMERAS"(feat. Dominic Fike)

Dominic Fikeとの共作については「地下ラジオという装置と音楽的多様性」のセクションで触れた。この曲のアウトロでIsaiah Rashadはスタジオでの制作過程を振り返り、こう言う。「I know we been on this fucking journey making this fucking project. We done went through a lot of emotions and everything. So I guess, let's try to be a little lighthearted」(このプロジェクトを作りながら長い旅をしてきた。感情的に色々あった。だから少し軽やかにいこうとしよう)。完成された音楽という形式を離れた、制作現場の生声だ。アルバム全体が「あまりにも正直すぎる」という感覚で作られているとIsaiah RashadはHOT 97で語ったが、このアウトロはその正直さの最も素直な表れだ。全曲中で最も直接的な自己言及のモーメントが、最終フェーズへの橋渡しとなる。

地下ラジオという装置と音楽的多様性

アルバムのプロダクションを語る上で欠かせないのが、架空のラジオ局「WWUR(Worldwide Underground Radio)」というコンセプトだ。DJ「Sunny Roshi」と名乗るキャラクター(実体はIsaiah Rashadの制作せいさくチームに名を連ねるJulian Sintonia)がアルバムの随所にあらわれ、DJふうのスキットと共に楽曲をつないでいく。

Breakfast Clubで「このラジオテーマは最初から綿密めんみつに計画したのか?」と問うと、Isaiah Rashadは「そこまで緻密ちみつには計画していなかった。ただ感覚的にただしいと感じた。アルバムはあらゆる種類のサウンドが交差こうさする場所だ。地下ラジオのように聴こえるべきだと思った」と答えた。意図的いとてき設計せっけいというより、有機的に生まれたコンセプトだという。

この「地下ラジオ」という骨格こっかくが、アルバムの音楽的な多様性を正当化している。4曲目"BOY IN RED"はSZAをむかえたゆったりとしたギターループが特徴的な幻想的げんそうてき楽曲がっきょくだ。

Isaiah RashadはHOT 97で「SZAは俺の陰陽いんよう相手方あいてがただ。ScorpioとTaurusだ」と語った。「君の彼女にも彼氏にもなる(Then I could be your boyfriend / Then I'll just be your girlfriend)」という一節は、「俺はあなたが必要とするものは何でもなる」という意味いみだとBreakfast Clubで説明した。

Princeの"If I Was Your Girlfriend"とGirl in Redの"I Want to Be Your Girlfriend"の両方から影響を受けたと語った。Stat QuoはThe 3rd Verseでアルバムのベストトラックとして「イントロ、次いでSZAとのコラボ曲」を挙げ、Rap Life ReviewでもNickが「you could hear that at a festival, like an outdoor festival(フェスで聴けそうな曲だ)」と評した。このアルバムの他のトラックが内省的な密室感を持つ中で、"BOY IN RED"だけが空に向かって開いている。

9曲目"AIN'T GIVIN' UP"は独特どくとく質感しつかんを持つ。Henry Was、Keem The Cipher、Julian Sintonia他による制作せいさくで、独特どくとくのギターバンドKhruangbinの"White Gloves"をサンプリングしている。哲学的てつがくてきなジャズのりが漂うこのトラックが、依存症と薬物と拳銃けんじゅうを歌う内容の上に乗っているという緊張感きんちょうかんは、「アルバムの後半の幕開まくあけを担う」と評する通り、何かを象徴しょうちょうしている。

11曲目"CAMERAS"はDominic Fikeを迎えた異質いしつな楽曲だ。途切れ途切れとぎれとぎれのピアノを中心ちゅうしんに、「男たちはみんなHollywoodに染まっていく(boys going Hollywood)」という観察かんさつと、かつての関係への郷愁きょうしゅう交差こうさする。

曲のアウトロでIsaiah Rashadは制作の感情的なたび直接ちょくせつ語る。「I know we been on this fucking journey making this fucking project. We done went through a lot of emotions and everything. So I guess, let's try to be a little lighthearted(このプロジェクトを作りながら長い旅をしてきた。感情的に色々あった。だから少し軽やかにいこうとしよう)。」HOT 97で「あまりにも正直すぎる」と語ったIsaiah Rashadの言葉が、楽曲のよろいいでむき出しになる瞬間だ。

アルバムの構成について言えば、前半(Track 01-06)が告白こくはくと記憶の解凍、後半(Track 07-16)がWWURのラジオ枠組わくぐみによって進行するかたちになっている。Professor Skyeは「DJの設定は途中とちゅうから入ってくる」と指摘しており、コンセプトの緻密さちみつさという点では課題かだいを残す。それでも「地下ラジオ」という枠組わくぐみは、このアルバムの雑多ざったな音楽的語彙ごい受け入れる器うけいれるうつわとして機能している。

傑出した楽曲と、Fantanoへの返答

Fantanoの「strong five to a light six」という評価は不当ふとうとは言い切れない。アルバムには均一きんいつではない部分ぶぶんが存在する。その実験が完全に成功しているかは聴く者によって意見いけんが分かれるだろう。

しかし傑出けっしゅつした楽曲が確実に存在する。"THE NEW SUBLIME"の冒頭の密度、"DO I LOOK HIGH?"の正直さが生む圧力あつりょく、"ACT NORMAL"のしずかな暴力ぼうりょく、"CAMERAS"のDominic Fikeとの化学反応かがくはんのう、そして"SUPERPWRS"の回復かいふくへの問いはどれも、他のアーティストには容易に書けないものだ。

Professor Skyeはこのアルバムを「初めてIsaiah Rashadを聴く」という立場たちばから評価ひょうかした。「垂直すいちょくに立っていること、呼吸していること、前に進んでいること。それが全てだ」という退役軍人ぐんじんの言葉を引用いんようしながら、"It's Been Awful"はその「たてになっている人間の記録」だと述べた。この評価はまとを射ている。

TDEのカタログは「水準すいじゅんの高いフロア、突き抜けつきぬけのない天井(high floor, low ceiling)」という批判ひはんを受けることがある。Professor Skyeもその傾向けいこうを"It's Been Awful"に見出しているみいだ。しかしこのアルバムの場合、Isaiah Rashadが天井を突き抜けようとしているのではなく、床の上によこたわることをえらんでいる点が異なる。それはよわさではなく、べつの種類の正直さだ。

Stat Quoはこの点をより直接的に表現した。「Isaiah Rashad has evolved. There's a lot of melody on here. Really personal songwriting. This is not Sun's Tirade. This is not other Isaiah Rashad albums(Isaiah Rashadは進化した。メロディが随所にある。非常に個人的なソングライティングだ。これはSun's Tiradeではない。他のIsaiah Rashadのアルバムでもない)。」

EbroはRap Life Reviewで「Every project musically, Isaiah Rashad is always getting the job done(すべてのプロジェクトで、音楽的にIsaiah Rashadは常に仕事をしている)」と述べた。技術的な穴を指摘することはできるが、Isaiah Rashadという名前が保証するものの重さおもさは、批評の軸をずらしてしまう。

"719 FREESTYLE"はSyed Soundsによる制作せいさくで、The Family Circle(1973年)の"It Doesn't Make Sense"をサンプリングしている。Isaiah Rashadがパートナーに根付ねづいた成功せいこうと、「あいつのもとにかえっていく(I'm running right back to my bitch)」という言葉で終わる。告白こくはくのアルバムが、帰還きかんの言葉で閉じる。


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