放送大学の面接授業を受けた感想: ことばとアイデンティティ (2026年度第1学期 / 東京文京学習センター)

感想一覧: https://note.com/deft_aster9075/n/n0803d98563a1

授業について

この科目は社会と産業コースの専門科目となっており、東京文京学習センターで土日に開講されました。

アイルランドを題材に言語とアイデンティティの関わりを見ていく授業でした。
言語接触だとかクレオール言語だとか、そういったものにぼんやりとした興味があるので、その辺を聞けそうと思って受講してみました。

教科書として上記の本が指定されているため、受講する場合は購入しましょう。
ただし、少なくとも自分の周りの書店には売っていないようだったので、ネットで注文するのがおすすめです。

基本的には教科書を一読した前提で授業が進んでいくスタイルで、大学時代に受けた人文系の授業もそんな感じだったことを思い出しました。
この辺り、理工系だとあまりないスタイルなので、新鮮に感じます。

アイルランドという国はイギリスの隣にありますが、元々ケルト語派のアイルランド語が話されていたところに、植民地として支配したイギリスの言語である英語が入ってきます。
その英語が19世紀のジャガイモ飢饉などを経て、多くの国民にとっての母語になっています。
この場合、人々はアイルランド人としてのアイデンティティをアイルランド語に求めますが、多くの人にとっての母語はアイルランド語ではなく英語である、というジレンマが発生します。
日本で例えるならば、日本人としてのアイデンティティを感じる言語は日本語なのに、自分達の母語は日本語ではなく英語、といった状況でしょうか。
想像してみるとなかなかすごい状況ですよね……。
この事象について、社会言語学の観点から深く切り込んでいこうというのが担当講師の専門であり、この講義のテーマになっています。

授業スタイルとしては、授業の骨子はありつつも、リアクションペーパーに書かれた質問や感想をベースに進めていく形でした。
様々なバックグラウンドや興味関心に基づいた反応が取り上げられており、多様なバックグラウンドを持った人たちが集まる放送大学向きの授業スタイルだと感じました。
また、質問内容によっては (教材として事前に用意されていなかった) 自著論文を使って解説する場面もあったため、質問をすれば事前の用意がなくても最大限答えてくれる印象でした。
一方で、質問や感想をベースとしているため、内容の順序が前後しがちな印象もあり、そのあたりで少々わかりにくさもありました。
この辺りはバランスの問題な気もするのでなかなか難しいですね……。

個人的な感想としては、母語としての言語は思っているよりは容易く失われ、一度失われたら取り戻すのはかなり難しいと感じました。
日本語が母語ではなくなることなんてそうそう起きないだろう、とたかを括っていると痛い目を見るかもしれない、と。

また、講義内容を聞く中で、自分は言語接触というものに思ったよりは興味があるのかもしれないと感じました。
担当講師が勧めていた本の中に言語接触に関する以下の本があり、読めば興味の度合いや方向性が明確になりそうな感じもしました。
ただ、なかなか内容が濃そうなので、手を出すかは迷い中です。
手を出すとしたら夏休み中かなぁ……。

これまで書いてきたように、内容としてはなかなかに濃い授業ですが、言語接触等に興味があるのであれば、とってみるのはアリだと思います。

東京文京学習センターについて

上記記事を参照してください。

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