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リモコンを金庫に隠した日々。テレビをめぐる親子の攻防

カフェで勉強する作戦も、結局うまくいかなかった。前回はそんな話を書いた。

外がダメなら、家で。下の子たちに少し我慢してもらい、私が下の子を連れて出かけて、リクが一人で集中できる時間をつくる。そう考えた。

今日は、その「留守番で勉強作戦」の話だ。我が家が、いちばんしんどかった頃の話でもある。

帰ってくると、進んでいない

私が下の子を連れて出かけ、帰ってくる。リクは、勉強しているふりをしている。

でも、出かける前に確認した範囲が、まったく進んでいない。

おかしい。次に出かけたときも、同じだった。

ちょうどその頃、末っ子がまだ乳児で、娘の幼稚園のお迎えで家を空けるときに、末っ子が泣いていないか確認するための見守りモニターを買っていた。

その録画を、夫に頼んで確認してもらった。すると——映っていた。

私たちの車が出発する音と同時に、リクは席を立つ。そして、テレビのリモコンを持ち出して、ずーっとテレビを見ていたのだ。

あぁ。やっぱり、そうだったか。

「勉強してたし!」

リクに、見たことは言わずに、「勉強してなかったでしょ?」と聞いてみた。

すると、「はぁ?? 勉強してたし!」と、本当に勉強していたかのように怒り出す。

これは、後になって少しわかったことだけれど、リクには、自分が思ったことを「本当にそうだった」と感じてしまうところがあるようだ。発達の特性のある子には、意図的な嘘ではなく、本人の中では「やったつもり」になっている、ということが起こり得るらしい。

だから、頭ごなしに「嘘つき」と責めるのは、たぶん少し違う。とはいえ、当時の私には、そんな余裕はなかった。

正直に「モニターを見たよ」と伝えると、リクは少しムッとした顔で、「あっそ、別にいいじゃん」と開き直り、こう言った。

「ここは監獄かよ! 監視されまくって!!」

確かに、リクの言いたいこともわかる。ただ一つだけ言わせてほしいのは、私たちがこれをするのは毎日のことではなく、テスト直前か、テスト期間中だけなのだ。

リモコンをめぐる、長い攻防

リクは小学校高学年あたりから反抗期に入ったこともあり、反発がどんどん強くなっていた。

私は、テレビのリモコンを隠すようにした。すると今度は、家じゅうを家探ししていることがわかった。置いたリモコンの位置が変わっている。帰宅すると、隠しきれていなかったリモコンが出ている。

もう受験生なのに。「うるさくて勉強できない!」と私たちに怒るくせに、いざ出かけると、何もしない。

この頃が、いちばんしんどかったように思う。環境さえ整えば勉強できるはずなのに、どうしてもうまくいかないのだ。

そこで私たちは、ネットで薄型の、ダイヤル式のプラスチック金庫を買った。そこにリモコンを入れることにした。

でも、下の子たちがリクのいない時にテレビを見たがって、慌ててリモコンを出したり、番号を戻し忘れたりする。リクは平然としているのでバレていないと思っていたら——出かけたときに金庫に入れたはずのリモコンが外に出ていて、番号がバレているとわかった。

そこから、「バレては変更」のいたちごっこが始まった。きっちり管理できていれば防げたのかもしれない。でも番号だから、リクはこちらのうっかりを狙って、いつも暗証番号を盗み見ていた。

この頃の我が家は、本当に険悪だった。全部が「裏切られた」「信じてもらえない」という状態。私も夫も怒り、裏切っている側のリクまでもが、「信じてくれていない」と怒りをあらわにしていた。

テレビが壊れて、終わった戦い

金庫の管理にも疲れてきた私たちは、リモコンごと家から持ち出すようになった。

すると今度は、リクはテレビ画面の横にある電源ボタン(夫が使っていたのを見ていた)を押して、サイドからテレビをつけて見るようになった。夫がそこにガムテープを貼ったが、剥がれた跡があったので、もう意味をなしていなかったと思う。

この、終わりの見えない戦いが決着したのは、高1の夏。

なんと、テレビが壊れたのだ。

そして買い替えた新しいテレビは、たまたま、画面側に電源ボタンがない機種だった。リモコンがなければ、つけられない。長く苦しんだ問題が、本当に偶然、解決してしまった。

そのとき思った。——もっと早く買い替えればよかった、と。精神的な消耗を考えれば、それだけの価値は十分にあった。

それに、「見られるかも」と身構えていたものを中断されるたびにイライラしていたリクも、その心配がなくなったことで、なんだか落ち着いたように見えた。

今でもリモコンを持ち出し忘れている時は見ているけど、前ほど私たちも躍起にならず、「TVみてたんでしょ。今からうるさいけど、頑張りなよ〜」
というと「う〜ん」くらいの見ていたとも見てないとも言わない返事が返ってくることが多い。

それでがっつり集中はしないけど、不貞腐れて何も勉強しないよりマシくらいで思っている。

それくらいのゆるっとした圧がいいのかもしれない。

「少し監視されてるくらいが、ちょうどいい」

その後、私たちは方針を少し変えた。

テストだろうがなかろうが、リクが楽しみにしているアニメは、その曜日のその時間に見ることをOKにした。そのほうが、リクの精神安定にも良いと考えたからだ。

今もリモコンは、テスト期間に外出するときだけ一緒に持ち出している。一応それで、勉強の環境は整っているのではないかと思う。テスト前でも少しはゲームができているからか、中学の頃ほど、リクもイライラしなくなった気がする。相変わらず、たまには喧嘩もするけれど。

リク本人も、「勉強したい」「ヤバい」と言う。本当は、やらなきゃいけないと思っているのだ。環境さえ整えば、その「やりたい」は、ちゃんと行動に移せる。実際、整っているときは、驚くほど集中できていることもある。

中3の終わりか、高1の頃。穏やかなときに、リクがこんなことを言った。

「俺は、うるさすぎても、静かすぎても集中できない。塾くらいの、ちょっと静かな会話があるくらいが一番いい」
「少し監視されてるくらいのほうが、勉強できるんだよね。お母さんがキッチンにいたり、自習室に先生がいたり、とか」

これが、リクの本音だと思う。

衝動でつい手が出てしまう自分と、本当は勉強したい自分。その両方が、同居している。どちらも、リクなのだ。両親の気持ちも、自分自身も裏切ってしまう。その自分への苛立ちが、いちばん近い私たちに向かっていたのかもしれない。

だから今、テストなど本当に大事なときは、私がキッチンに立って、なんとなく静かにそこにいる。それが、リクには一番集中できる環境なのかもしれないと思っている。

それでも、あの頃よりずっといい

我が家の「勉強場所を探す旅」は、まだ模索中だ。もっといい方法があるかもしれない、と今も思っている。

でも、中学の頃よりずっと、私たちの関係は良くなった。あの頃は、お互い本当に苦しかった。

振り返ると、親のほうも、どう考えてもやりすぎていた。「最低これくらいはやらないと」「もっとちゃんとして」という塾からの圧に押されて、リクという子そのものを、見失っていたように思う。

そこまでして、少しでもレベルの高い高校に行く必要が、本当にあったのか。——その答えは、まだ出ない。一生出ないのかもしれない。でも、また年月が経って振り返ったとき、見えてくるものがある気がする。

あの頃の私たちのように、今まさに困っている誰かにとって、この話が、「時間はかかるけれど、少しずつ良くなるかもしれない」という希望に変わったら、嬉しい。

我が家が使った金庫を、正直に紹介します

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我が家がリモコン(と漫画)を隠すのに使った金庫は、実は2つあります。どちらも一長一短だったので、正直にお伝えしますね。

① ダイヤル式の金庫(低価格・手頃)

最初に買ったのは、ダイヤル式のもの。大きさと値段がちょうどよく、「親が二人とも管理するにはダイヤル式が楽」と思って選びました。

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ただ…我が家では、留め具のプラスチック部分が壊れやすかったです。平置きにして、しっかり閉まっていない状態で、家族が上に物を重ねてしまったのが原因だと思います。ダイヤルでロックしているはずなのに、開いてしまう…という状態に。同じものを買い直しましたが、2回目も1年経たずに、同じことになってしまいました。

本棚に立てて置くこともできるようなので、上に物を重ねない丁寧な使い方ができるご家庭なら、低価格で手頃なので、おすすめです。

② カール事務器の保管ボックス(①より丈夫)

そこで次に買ったのが、カール事務器(CARL)の保管ボックス(A4書類が入るタイプ・ホワイト)。

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こちらは、壊れませんでした。ただ…結局、ダイヤルの番号がリクにバレてしまい、またイタチごっこに。我が家では、使い続けることはありませんでした。

とはいえ、これは我が家に下の子がいて、リモコンを"慌てて出し入れ"する必要があったからこその話。番号を落ち着いて管理できるご家庭なら、丈夫でおすすめです。

あなたと、あなたの大切な人の明日が、少しだけ軽くなりますように。

この記事が「うちだけじゃないんだ」と思えるきっかけになれたら嬉しい。

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