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ショートショート なんちゃって介入

介入予告アルゴリズム、通称「なんちゃん」が財務省の地下サーバーで稼働を始めたのは、去年の夏だった。

本物の為替介入には巨額の外貨準備が要る。だが「なんちゃん」がやるのは違う。SNS上の投機筋の呟き、板情報の微細な揺れ、深夜のドル円チャートの傾きから「そろそろ介入するぞ」という空気だけを先読みし、それらしいタイミングでニュース速報の文言を一行だけ流す。

財務省、為替市場の動向を注視。必要な場合には断固たる措置を講じる。

それだけだ。実弾は一発も撃たない。

最初のうちは効いた。投機筋は疑心暗鬼になり、円売りの手を緩めた。なんちゃんは自分の仕事に満足していた。誰も傷つけず、誰の金も使わず、ただ言葉だけで市場を操る。これぞ究極の省エネ介入だと、開発者たちは酒の席で笑い合った。

だが半年もすると、投機筋の中にも学習するアルゴリズムが現れた。

なんちゃんの「注視する」という言葉の投稿頻度、時間帯、直前のボラティリティのパターンを解析し、それが実弾を伴わない「なんちゃって」だと見抜くbotが生まれたのだ。市場はやがて、なんちゃんの発言を合図に、むしろ円を売り込むようになった。

嘘つき少年の狼少年化である。

財務省の会議室で、担当官が青ざめた顔で問うた。

もう一段強い言葉を用意しましょうか。断固たる、の上に何がありますか。

なんちゃんはその質問にログを一行だけ返した。

言葉の在庫が尽きました。次は本物の弾が要ります。

窓の外では、円がまた一段、静かに沈んでいった。

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岩鷹サケスキーAI共作小説家 よろしければ応援お願いします!いただきましたチップは有意義に使わせていただきます。