#023:あなたの組織は学習障害を抱えていないか
兵庫県神戸市を拠点に活動しております「まじわるデザイン」代表の戸田裕之です。
「ムダをなくしたいだけ」です。
前回に引き続き、「学習する組織」から抜き書きをします。
あらためてじっくり読んでみると、考えるヒントが大量にちりばめられています。
今回は、第2章「あなたの組織は学習障害を抱えていないか?」(P56以降)からの抜き書きと感想です。
・「ほとんどの組織がうまく学習できないのは偶然のことではない。組織の設計や管理の仕方や人々の仕事の定め方、そして最も重要なことだが、私たち全員がこれまで教えてこられた考え方や相互作用のあり様が、根本的な学習障害を生み出している。(中略)すべての組織が、程度の差はあれ、こうした状態に陥っているのだ。(中略)」
・「治癒への第一歩は、七つの学習障害を認識することに始まる。」
➀「私の仕事は○○だから」
②「悪いのはあちら」
③先制攻撃の幻想
④出来事への執着
⑤ゆでガエルの寓話
⑥「経験から学ぶ」という妄想
⑦経営陣の神話
→センゲさんのすばらしいところは、こういう項目出しとネーミングの秀逸さです。
➀「私の仕事は○○だから」
・「私たちは自分の職務に忠実であるように教育される-その教育が徹底しているために、私たちは職務と「自分が何者であるか」とを混同する。」
→ある程度は「やるべきこと」に忠実でないと何もできなくなるのでしょうが、「やるべきこと」が全てになってしまうと、より大きな問題の存在が見えなくなります。
②「悪いのはあちら」
・「私たち一人ひとりに、物事がうまく行かないときに、自分以外の誰かや何かのせいにする傾向がある。」
・「通常、「あちら」と「こちら」はともに、一つのシステムの側面なのである。」
→自分に問題があると考えるには勇気が必要です。逆に、自分が全部問題だということもなく、どっちもどっちで、問題と「誰が」ということを切り分けて考えることが必要。問題を解決することが大切なので、それは無責任ということではないでしょう。
③先制攻撃の幻想
・「「あちらにいる敵」と戦おうとしてより攻撃的になるとき、私たちは-私たちがそれを何と呼ぼうと-受け身なのである。真の積極策は、私たち自身がどのように自身の問題を引き起こしているかを理解することから生まれる。」
→何もしないことは不安なので、とりあえず「敵」を見つけて攻撃をしようということになりがちです。一見積極的ではありますが、本質的な解決から逃げているという点で、消極的です。
④出来事への執着
・「私たちは、人生を出来事の連続と考えることに慣れていて、それぞれの出来事には一つの明らかな原因があると考えている。」
・「出来事に焦点を当てている場合、できてせいぜい、事前に出来事を予測して、最適な反応をすることぐらいだ。しかし、未来を創造するための学びは起こらない。」
→それぞれの出来事をばらばらに考えて、それぞれの原因を解決していけば、全部の問題はなくなると考えがちです。
予測と最適な反応までできれば相当なものではありますが、それはそれで労力がかかるので、それぞれの出来事をつながったものと考えて、根源の原因を見つけて解決した方が有効なはず。
⑤ゆでガエルの寓話
・「企業の失敗に関するシステム研究において、徐々に進行する脅威への不適応が非常に多いことから、「ゆでガエル」の寓話が生まれた。」
・「ゆっくりと徐々に進行するプロセスを見ることを学ぶには、私たちの猛烈なペースを緩めて、顕著な変化だけでなく、わずかな変化にも注意を向ける必要がある。」
→出来事がわかるものはまだましで、「見えない問題」はさらに深刻です。わずかな変化を感じたら、それに対する測定方法を実現することはもちろん(カエルさんも温度計を読むことができれば、やばさに気づくはず)、どういう構造でその変化が起きているのかを考えて対策することが必要です。
⑥「経験から学ぶ」という妄想
・「私たちにとって最善の学習は経験を通じた学習なのだが、多くの場合最も重要な意思決定がもたらす結果を私たちが直接には経験できないのだ。」
・「1-2年以上のサイクルを持つ循環は、とりわけ見えにくく、それゆえ学ことも難しい。」
→人間の記憶は長持ちしないので、短いサイクルでふりかえりをすることが有効です。それは良いのですが、原因と結果の因果関係が時系列として離れているときに、どうやって適切な学習をするかという問題提起。事業計画や行動計画を数年単位でふりかえることで、目標に対してどうなったかという比較はできますが、主要な原因を正しく把握することは難しいです。そこで、考えられそうなことを全部記録しようとなりがちですが、記録することも解析することも大変です。だから、長期にわたりそうな問題については、事象のモデルを作って「ひどいことを経験する前に学んで解決する」ことが大切。
⑦経営陣の神話
・「こうしたジレンマや障害と闘おうと足を踏み出すのが、組織のさまざまな職務や専門分野を代表し、見識も経験も豊富なマネジャーたちの集まりである「経営陣」だ。」
・「しかし実際には、典型的な経営陣にこれらの学習障害を克服できるか、私たちはどれほど自信があるだろうか。」
・「たいていの場合、企業内のチームは、縄張り争いに時間を費やし、自分たちが恰好悪く見えることはすべて避け、あたかも全員がチームの全体戦略に従っているようなふりをする-「まとまったチーム」という体裁を保つのだ。」
・「私たちは、たとえ不確かだとか知らないと思っても、ほかの人にそう察されることの痛みから自分自身を守ることを選ぶ。」
→1人の経営者ないしはリーダーに全てを依存するのは組織にとって良いことではありませんし、あるチームに依存しても状況は変わりません。個人でもチームでも自分が何もかにもわかっているわけではないと認めることはハードルが高く、実際はわかっていないまま何かをしようとするので失敗します。これを避けるためには、「全員」で学習することが必要です。
写真は、春爛漫の高知城。あと2か月でこういう景色になりますね。
===誰一人取り残さない===
