【週初エッセイ】 11 月の終わりに。変化の波は 「乗る」 のではなく 「潜る」 もの
焦りの中で見つけた、自分を守るための静かな処世術
カレンダーの最後の一枚をめくる音が、やけに大きく響いた気がした。
11 月が終わる。
窓の外を見れば、街路樹の葉はすっかり落ち、風は冬の匂いを運んできている。
この 1 ヶ月、僕は「変化」という名の目に見えない波に、ずっと翻弄されていたように思う。
新しい技術への挑戦、人間関係の揺らぎ、そして自分自身の内面で起こった小さな地殻変動。
フリーランスとして生きていると、「変化に対応しろ」「波に乗り遅れるな」という言葉を嫌というほど聞かされる。
僕自身、そうありたいと願ってきたし、そうあるべきだと信じてきた。
けれど、この 11 月の終わりに僕がたどり着いた答えは、少し違った。
波打ち際で、立ち尽くしていた僕
11 月の初め、僕は意気込んでいた。
10 月に終わった Rust の案件から一息つく間もなく、新しい技術「Hono」への学習を本格化させ、個人開発のプロダクトを一気に進めようとしていた。
「ここでアクセルを踏まないと、置いていかれる」
そんな焦りが、常に背中に張り付いていた。
SNS を開けば、同世代のエンジニアたちが華々しい成果を上げている。新しいフレームワーク、革新的なサービス、キラキラした登壇資料。
それらを見るたびに、僕の心はざわついた。
「僕は何をしているんだろう?」
波に乗ろうと必死にパドリングをするけれど、波は予想よりも高く、速く、僕を飲み込もうとする。
息継ぎをする暇もなく、次から次へと押し寄せる情報の波。
気づけば僕は、アップアップしながら、ただ溺れないように手足をバタつかせているだけだった。
「潜る」 という選択肢
そんなある日、ふと昔の記憶が蘇った。
子供の頃、海で遊んでいたときのことだ。
大きな波が来たとき、慌てて逃げようとすると、かえって波に巻かれて砂だらけになる。
でも、息を止めて静かに水の中に潜ってしまうと、波は頭上を通り過ぎていき、水の中は驚くほど静かだった。
「そうか、潜ればいいんだ」
変化の波が押し寄せてきたとき、無理に乗ろうとしなくていい。
ましてや、正面から戦おうとなんてしなくていい。
ただ、静かに息を止めて、波が通り過ぎるのを待つ。
深く、深く、自分の内側に潜っていく。
そう決めた瞬間、不思議と心が軽くなった。
深海で見つけた、変わらないもの
意識的に情報を遮断し、自分と向き合う時間を作った。
SNS を見る時間を減らし、代わりにノートを開いた。
新しい技術を詰め込むのをやめ、丁寧に珈琲を淹れる時間を大切にした。
そうやって「潜る」時間を持つことで、見えてきたものがある。
それは、どんなに環境が変わっても、技術が進化しても、決して変わらない僕の「核」のようなものだ。
「書くこと」への情熱。「つくること」の喜び。そして、大切な人たちへの感謝。
波の上は荒れていても、深海はいつも静寂に包まれている。
その静けさの中で、僕は自分の羅針盤を、もう一度確かめることができた。
変化に対応するというのは、自分をコロコロ変えることじゃない。
むしろ、変化の中で「変わらないもの」をしっかりと握りしめておくことなのかもしれない。
弱虫なりの泳ぎ方でいい
「波に乗る」のが上手な人は、きっとカッコいい。
時代の最先端を走り、変化を楽しみ、軽やかにサーフィンをする人たち。
でも、僕はサーファーにはなれそうもない。
波が来たら怖くて震えてしまうし、すぐに溺れそうになる。
だから僕は、僕なりの泳ぎ方で行こうと思う。
波が来たら、静かに潜る。
嵐が過ぎ去るのを待ちながら、深海でじっくりと力を蓄える。
そして、海が穏やかになったら、またゆっくりと顔を出して、自分のペースで泳ぎ出せばいい。
それは「弱虫」の泳ぎ方かもしれないけれど、長く、遠くまで泳ぎ続けるための、僕なりの処世術だ。
12 月へ向けて
11 月の終わり。
僕は今、深い呼吸ができている。
焦りは消えていないけれど、以前よりはずっと扱いやすくなった。
変化の波は、これからも容赦なくやってくるだろう。
でも、もう怖くはない。
僕には「潜る」という選択肢があるから。
さあ、顔を上げて。
冬の匂いがする風を胸いっぱいに吸い込んで。
静かに、でも確かに、12 月という新しい海へ漕ぎ出そう。
ひとりごと
「変化」って、ワクワクする反面、やっぱり怖いですよね。
特にフリーランスという不安定な立場でいると、現状維持は衰退だと言われているようで、常に何かに追われているような感覚になります。
でも、ずっと走り続けるなんて無理です。人間だもの。
時には立ち止まったり、潜ったりして、自分を守ってあげてください。
「逃げる」のではなく「潜る」。
そう言葉を変えるだけで、少しだけ強くなれる気がしませんか?
あなたの 11 月は、どんな 1 ヶ月でしたか?
もし波に揉まれて疲れてしまったなら、温かい飲み物でも飲んで、今はゆっくり羽を休めてくださいね。
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先月の振り返り記事です。
春から続いた Rust 案件の終わりと、新しい技術への好奇心。
季節の移ろいと共に感じた「変化」の始まりがここにあります。
「潜る」ための具体的な方法の一つが、僕にとっては珈琲を淹れる時間でした。
忙しない日常の中に、意図的に「余白」を作る大切さを綴っています。
変化の中でも「変わらないもの」。
僕にとってはそれが「書くこと」でした。
なぜ僕が書き続けるのか、その原点に立ち返るエッセイです。

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