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sphere(スフィア=球体)とhemisphere(ヘミスフィア=半球)

「球」と「半球」から見える、世界のかたち ― 万博会場で立ち止まってほしい視点

万博の会場を歩いていると、いろんなパビリオンで「地球」をモチーフにした展示を目にすることがあると思います。
そのとき、ちょっとだけ注目してほしいことがあります。
それは、その地球が「sphere(スフィア=球体)」なのか、「hemisphere(ヘミスフィア=半球)」なのか、ということです。

実は、その違いに、その国や地域の“思い”が込められていることがあるのです。


北半球と南半球

私たちは普段、「地球」というと、一つの丸い球体を思い浮かべることが多いですよね。地球儀をイメージしても、きれいな球体です。

教科書では、赤道(緯度ゼロ)を基準に、地球を北半球南半球に分ける説明が出てきます。
北半球には日本、アメリカ、ヨーロッパなどがあり、南半球にはオーストラリア、ブラジル、南アフリカなどがあります。


一方で、「経度ゼロ」という考え方もあります。
これはイギリス・ロンドン近郊にあるグリニッジ天文台が基準になっていて、そこを通る線を「本初子午線(ほんしょしごせん)」と呼びます。

この本初子午線を起点に、東経(東側)と西経(西側)に分かれています。
東半球と西半球となります。
とはいえ、あまり聞いたことのない感じです。
本当は、この「経度ゼロ」のグリニッジを基準に地球を区切るのが、教科書的な分け方かもしれません。

でも、個人的には、もう少し違う視点を持っています。


大西洋と太平洋

私自身は、仕事をするとき、大西洋を真ん中に置いた地球と、太平洋を真ん中に置いた地球、この2つの「半球」のイメージで世界を見てきました。
特に、日本からの視点で欠落してしまうのが、大西洋の視点です。

たとえば、大西洋を中心に見たら、イギリス、ヨーロッパ、アメリカ東海岸、アフリカの一部が視界に入ります。
これは、イギリスやフランスなどの欧州各国が大航海時代に世界に進出していった、歴史的な視点にも重なります。

逆に、太平洋を中心に据えると、アメリカ西海岸、ハワイ、アジア、日本、オーストラリアが目に入ってきます。
この感覚は、特にアメリカ西海岸にいる人たちにとって自然なものです。
サンフランシスコやロサンゼルスにいると、目の前に広がる海の向こうに、アジアを感じる。
「アジアは遠い異国」というよりも、「すぐ海の向こうにある世界」なんです。

日本にとって、太平洋が常にある目線が慣れていると、知らないうちに、大西洋のことを忘れて、物事を考えてしまいます。


ファーイースト

ここで少し言葉についても触れておきたいのですが、「ファーイースト(Far East)」という表現を聞いたことがあるでしょうか?

これは、ヨーロッパやアメリカ東海岸から見たときの感覚を表す言葉です。
つまり、ヨーロッパからとても遠くにある「極東」、それがアジア、日本、という位置づけでした。

でも、アメリカ西海岸に立っていると、アジアは「遠い」どころか、太平洋のすぐ目の前にあります。
この違いって、実際にその土地に立ってみないと、なかなか肌で感じられないものですよね。

だから同じ「ファーイースト」という言葉でも、

  • イギリスやフランスなど、ヨーロッパから見た「ファーイースト」

  • アメリカ東海岸(ニューヨークなど)から見た「ファーイースト」

  • アメリカ西海岸(サンフランシスコやシアトルなど)から見たアジア感覚

は、実はぜんぜん違うんです。


万博の会場に戻ります。

もし、あるパビリオンに「球体(sphere)」が置かれていたら、
その国は「地球はひとつ」というメッセージを伝えたいのかもしれません。

もし、「半球(hemisphere)」が展示されていたら、
その国は、「自分たちの位置」「自分たちから見た世界」を強く意識しているのかもしれません。

さらに、その半球が、

  • 太平洋を中心にしているのか

  • 大西洋を中心にしているのか

  • あるいは、独自の視点を持って切り取られているのか

そんなところまで見ていくと、
「この国は、どんな世界観を大切にしているんだろう」
「どんな未来を描こうとしているんだろう」
ということが、少しずつ見えてくるかもしれません。

筆者のイチオシ スペインパビリオンの地球

スペイン パビリオン

そして、もう一つ。
もしこの先、グローバルに仕事をしていくなら、こんな体験もおすすめしたいです。

欧州に出張する機会があったら、帰国するときに一度、大西洋を超えて、アメリカ経由で帰ってみてください。
逆に、アメリカ東海岸に出張する機会があったら、大西洋を東へ渡り、ヨーロッパのハブ(中継)空港を経由して帰国するルートを検索してみてください。
実は航空運賃、少し高くなり、飛行距離は実はそれほど変わらない、という場合があります。表現が『世界一周』となり、社内での印象がよろしくないのかもしれませんが、年間で、2回に分けて、北米と欧州に出張に行く予定を組まれるなら、経費削減のために1回にした方がよいですよ、とお勧めしています。

また同じ飛行機に乗る方々から、たくさんのことを感じることができます。
自国のエアラインを好む方とそうでない方。
私たちがJALさん、ANAさんを利用する時、周囲に日本の方が多いですが、訪問先の航空会社を利用すると、訪問国の方が往路でも袋でも圧倒的に多くなります。訪問先のエアラインに乗れば、そこから異国の地とも言えます。
ホームとアウエーの感じ、全く異なりますよね。
個人の嗜好によりますが、こういう肌感覚の積み重ねは、国際感覚を養う上で、ものすごく大切な経験になります。


コモンズ館訪問のおすすめ

万博会場でも、できるだけ多くの「コモンズ館(共同館・Commonsパビリオン)」を訪問してみてください。
 コモンズ館はA~Fまであり、万博協会の公式WEBサイト上の地図では、それぞれの館にどの国が入っているかが記載されています。
意外と行列にもならず、ふらっと立ち寄れる場所が多いです。
なお、E館は地図にはありますが、実際は閉まっていますので、コモンズ館としては実質5つです。
そこでは、特定の国や企業ではなく、より自由な発想で「未来の暮らし」「世界の共通課題」をテーマにした展示や空間が広がっています。

さまざまな国の人たちが、どう世界を見ているか、どんな未来を描こうとしているか。
コモンズ館で過ごす時間は、きっとあなたの感性を大きく広げてくれるはずです。


たくさんの展示がある中で、ただ「きれいだな」と通り過ぎるのも、もちろん楽しいのですが、
でも、もし少しだけ立ち止まれるなら、
「球体」や「半球」の形に込められた思いを、受け取めてみてください。

あなたが未来に向かって世界を見るときの、小さなヒントになるかもしれません。

【豆知識】ラスベガスの「Sphere」という施設

2023年9月に完成してから、約1年半ほどが経過しました。
収容人数、20,000名の巨大施設です。
今年1月 CES訪問時のコラムを下記に紹介しますので、お時間のある方はご一読ください!

外側も内側もLEDのディスプレー。
球体ならではの利用方法、演出方法で、クリエイティブ力が掻き立てられます