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断捨離できない人だったから、七色に光る対話の時間が生まれた。

近年、終活の入口として主流となっているのが「片付け」です。朝日新聞の調査によると、実に7割の人がそう答えているみたいです。

確かに、家の中がモノだらけだと処分が大変だし、体が不自由になると転倒などの原因になってしまいます。

ただ、僕はあえて言いたい。

残されたモノひとつひとつに、物語がある。
だからこそ、そこに対話が生まれるのだと。


僕の経験談を書かせてください。

昔、ペーペーだったころ、事務所の上に住んでいた先輩がいました。ある日、その人から荷物を部屋まで運ぶよう頼まれたことがあったんです。

段ボールは持つと視界を塞ぐほど大きく、ズシリと重い。これを階段で運べとな?

「中身は何ですか?」
「CDラック。七色に光るんだよ」(フンス)

無駄な重さの正体、それか。
この先輩こそ、後の妻です。
当時は予感さえありませんでしたが。

荷物を運び込んだ数年後、僕たちは同棲することになるのですが、驚きました。

部屋の片隅に見覚えのある段ボール。まさか……?

あのCDラックでした。

光らせるどころか、箱から出してもいねえ。なんと買うだけで満足して、何年も放置したままだったのです!


妻は片付けるのが苦手な人でした。

それどころか、片付けようとするとモノが増える人でした。収納するための箱や棚を買うからです。

捨てない。仕舞うだけ。時には仕舞う前に頓挫。生活空間は圧迫されていく一方。あのCDラックはまさに妻らしさの象徴でした。

結婚生活で不満に思っていたのはそこです。妻の周りには、いつもモノがあって近付けない。要塞に籠もっているようでした。

そんな妻が、亡くなりました。遺品の量が膨大だったのは言うまでもありません。


遺品整理にはかなりの時間がかかりました。正確に言うと、8年経った今なお残っています。

収納グッズ。
使っていない家電。
よくわからん掃除グッズ。
仕事していたころの紙資料の束。
平成初期に着ていたであろう衣服。
写真、パンフレットなど思い出の品々。
学校で配られたプリントまでも保管していました。

そして、七色に光るCDラックに収められるはずだった円盤たち。なにゆえ、原田龍二のアルバムがこんなに?

捨てたり、売ったり、残したり。僕がひとつひとつ向き合って決めていきました。泣きながら。モノを整理していた時間が、妻との対話に思えました。

彼女が片付け下手だったからこそ、あの時間は生まれたのです。


今、妻の仏壇は推しキャラに囲まれています。

『ONE PIECE』のトニートニー・チョッパーです。フィギュアに、文房具に、ぬいぐるみに、箪笥に、時計に、かき氷機に、ジグソーパズルに……。

流石に、これらは処分できねえなあ(笑)

特に「ご当地チョッパーマン」のストラップ。これは全国各地の名所や名産とコラボしていて、ほとんどは現地でしか入手できないというものでして。旅行や出張の度にコツコツ集めて、何百種にもなったんですよ。

だから、処分しません。そこには七色に光る対話の種が詰まっているから。


この記事は「ネタの救急箱」を使って書いたものです。試作版を無料で配布しているので、興味のある方はこちらへ(↓)


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