現在と2024年の違い〜ドル円の現在地~
IMF定義と介入回数の正しい読み方
連休が明けました。先日の東洋経済動画は(連休初日もあって…?)さほど回数は回っていないのですが、周囲では観たよ、という声がいつも以上に多く、noteのリアクションも相応に大きく、不思議な状況です。個人的には勉強になる経験でした。また機会があればやってみたいものです:
さて、東京市場の連休最終日となる5月6日の為替市場ではドル/円相場が155円と約2か月半ぶりの安値をつけました。為替介入への思惑が取りざたされていることは周知の通りですが、その真偽は 5 月 29 日公表の「外国為替平衡操作の実施状況」を待つ必要があります:
去る4月30日の急落については短期金融市場の需給動向(日銀が毎営業日公表する「日銀当座預金増減要因と金融調節」)と短資会社予測の乖離を元に、約5兆円の円買い・ドル売り為替介入が実施されたとの観測が報じられています。短資会社の予測精度が高いことを踏まえると、概ねこの介入規模の推計は当たることが多い、というのが一般論です:
5月6日についても同様の観測が近く浮上するとは思います。休場中ゆえ流動性が低く、効果が得られそうな地合いを念頭に介入が行われたという解説は多く見られますが、介入資源(外貨準備)が有限である以上、最大効果を企図するのは自然ではあります。むしろ、戦術的には最善です。
なお、未だに「為替介入の実施回数がIMFにより定義されており、あと〇回しかできない」という認識相違が散見されます。下記関連報道です:
介入が話題になるたびに、この話が出てきますが、IMFは為替制度の分類を行うにあたって、便宜上、その定義づけを行っているだけです。「ワナ」も何も最初から下記、三村財務官の認識が全てかと思います:
下の論考で服部先生が詳しく取り扱っていますが、「Free Floating(完全自由変動場制)」と「Floating(変動相場制)」の差異を認識するために「介入回数」が論点化しているだけで、日本政府がこの差異に拘らない限り、三村財務官の「回数制約するルールはない」が正確な認識になるはずです。
この点はIMF報告(「Annual Report on Exchange Arrangements and Exchange Restrictions (AREAER)」)にもクリアに書かれて久しい話です:
あくまで「過度な変動」を軸に、必要に応じて実施されるもの、というのが市場参加者の心得として正確な認識になるかと思います。
ドル/円急落と現状把握
その上で、足許の相場に話を戻します。現状の地合いは前回160円台が定着し、史上最大の円買い介入が行われた4~7月期と比較されます。参考までに2022年以降の介入経緯をまとめたものを貼っておきます:

当時の動きは神田前財務官(現アジア開発銀行(ADB)総裁)の下で行われ、その後、同氏が「令和のミスター円」と呼ばれる背景にもなりました。この点、神田ADB総裁は当時の状況について、近刊の自叙伝「世界金融秘録」(文藝春秋)において以下のように語っています:
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