NHK日曜美術館50年展を見に行くかわりにカタログを読む。
2026/6/21、藝大美術館での展覧会最終日。
ベーコン、柚木沙弥郎、舟越桂、見たい作品も多かったが、なんとなく足が向かなかったので図録だけ読むことに。
日曜美術館、じつはあまり見ていない。
興味のある展覧会のことをあらかじめ知りたくないからだ。
ネタバレされてしまうような感じがして、どうしても見る気にならない。
おかしいよね。こんなことにこだわるなんて。
でも、先入観抜きで作品と対峙する喜びは、なかなか手放せない。
この図録、大きいうえに分厚い。
ただあまり紙質に凝っていないのか、思ったより軽い。画集に比べると画質もそこそこである。
それでもなかなか面白い。
アーティストたちの語る言葉
や好きなアーティストのことをこれまた好きな人たちが語っているのを読むのが楽しい。
全人間的に生きることが芸術なんです
しびれる。
花が好きですから、体の中にいっぱい詰まっているんです。花が。それが出てくるんですね。花ぐらい美しいものないと思うんです。ですから体の中に花の美しさが詰まってるんです。ぎっしりと。
素敵だなぁ。
これを読んで、外に出たら梔子の花が一輪咲いていた。その美しさを体につめてみる。

熊谷守一
日本のマチス(勝手に命名)
そのモリカズのことを皆川明、猪熊弦一郎が語っている。
かなり熱い。
久しぶりにモリカズの美術館に行きたくなる。
ルドン
を語る武満徹もいい。
ルドンの「閉じた眼」に対し武満が連想するのは「開かれた耳」
閉じた眼、、瀧口修造へのオマージュの曲がなかったか、、
しかしルドンをあらためてみると、存在の不確かさがあらわれていて、心ひかれる。若い頃も好きだったが、また見たくなる。
北斎
も載っているけど、いやになるほどうまいね。わたしね、密かに北斎は日本のダヴィンチじゃないかって思ってる。どんなものでも描けるし。駄作が一つも見当たらない。
長沢芦雪
の「龍国襖絵」もいい。
すごくコミカルで現代的。
石内都
のヒロシマにはうならされる。
この人の写真はほんとうに素晴らしい。
森山大道のようなザラザラとした初期のモノクロの横須賀の写真もいいし、ごく最近の薔薇の写真もうっとりするほど素敵だ。
石内の撮る色彩は彼女の暮らす桐生の織物のようだ。

表紙写真 石内都
倉俣史郎
の透明アクリルにバラの造花を埋め込んだ椅子、作品名ミスブランチは軽やかで美しい。まだ都内に原美術館があった頃に見たことがある。座ったら壊れてしまいそうな繊細さ。彼の引き出しの家具もいい。主役が引き出しというのが、ウィットに富んでる。
今回このカタログを読んで一番嬉しかったのは、知らない作家の素晴らしい作品を知ることができたことだ。
香月泰男
シベリア抑留の経験を描いている画家だ。
ただ、見てみたいと思った絵はシベリアの絵ではない。
「青の太陽」
「私の地球」
という作品だ。
彼の出身地に彼の作品を集めた美術館がある。
この2つの作品を見に山口に行きたい。
展覧会に行かずに図録だけを見る
本物を見て感じる喜びはもちろんない。
でも、この日曜美術館50年展、図録の通りだとすると見る側に芸術の見方を教える要素が非常に高い。芸術を「学びたい」者にとってはありがたいが、純粋に「楽しみたい」者にとっては余計なことかもしれない。
作品について知りたいという気持ちはあるが、キャプションに過剰に誘導されることは、見る側の感性を歪めかねない。誰かに教わるのではなく自分の感性ぐらい自分で守りたい。こんなふうなことを誰かが言ってたよね。茨木のり子だったっけ、、
展覧会のチラシからこういったことを嗅ぎ取ったので足が向かなかったのかもしれない。
我ながら面倒くさい性格ではある。
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