短歌まとめ【The Lovers 逆位置】
桟橋で髪を掬った長い指「俺の理性を無駄にするなよ」
最後まで丸い言葉を探してるあなたを好きになって良かった
告白に答えじゃなくて相槌を泣いたらそこのティッシュを二枚
口数の少ない人が置いていく声の余韻と言葉のパズル
憧れは憧れのまま刻まれて冬が来る度思い出す人
叶わない恋でも君を奪いたい出会ってしまう運命ならば
くちづけの一歩手前にあるBARで何かを捨てるための沈黙
溢れだす「君さえいれば」飲みこんで溶け合う体求める零時
君が知る背中のほくろ胸のあざ君が知らない昼間の私
この場所で始まる恋はいつだってなかったことにできる気がする
セックスをキスからはじめない人の甘い言葉は全部嘘だよ
頂戴と耳元近く囁いて僕の理性をねじ伏せる君
お互いに地獄の底にタッチして鬼さんこちら愛ある方へ
どちらからともなく首を絞め合っていっそこのまま泣いて逝こうか
缶コーヒー煙草の煙あなたの手カーテンはまだ開けない気分
隠れ家へようこそここにあるものは愛と裸と忘れたいこと
あなたからもらって嬉しかったもの孤独な時間時々野性
煮込んだり花を生けたりしないけどあなたが欲しい愛だけあげる
カップ麺かやくを入れて蓋をして息するように嘘もつくのね
窓を打つ雨の泣き言聞いている桜が散ってしまわぬように
私からあなたを奪うあなたから私を奪う最後の情事
「好きな人できたんだ」とか無理だから上手に嘘をついて下さい
別れても誰かのものになるなよと言い出しそうなくちづけの痕
「こんな時普通泣くだろ女なら」「笑顔の呪いかけてるところ」
背中越し煙草ふかして宵桜また咲く日までサヨナラあなた
抱き合って君の全てを欲しがって一人になった夏の代償
言い訳も苦しい嘘もそれがもしやさしさならば愛だと思う
サヨナラはあなたにとって突然で私にとって限界の今日
失えば何かを得ると聞いたけどあれは空耳だったのでしょう
名前すら思い出せない人が居てごめんねちゃんと好きだったのに
傷つけて傷つけられて苦しんで愛して許して海に還ろう
癒えないと知っているから神様は忘れるように創ってくれた
寒空に最後の言葉貼りつけた星になったら剥がしに行くわ
五年前死ぬほど好きと言った人そろそろ死んでくれたでしょうか
愛の海あなたは溺れ死んだのねそれならごめん私のせいね
