Jack Stratton 日本語インタビュー (Vulfpeck) /// J-POPとVulfpeckの意外な接点・インディペンデントな活動の影響元
KINZTOのDr.ファンクシッテルーだ。今回は「どこよりも詳しいVulfpeckまとめ」マガジンの、68回目の連載となる。
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フジロック2025で初来日したVulfpeck(ヴォルフペック)。バンド初となる40000人規模のライブを成功させた彼らは、9月には2度目となるマディソン・スクエア・ガーデンのライブも大成功させた。彼らは今年のすべてのライブを無事に完遂させたことになる。
この度、筆者はバンドリーダーであるJack Strattonとコンタクトを取り、メールでのインタビューに答えてもらうことができた。彼らしいミニマルな回答で、日本のファンにとって貴重な話をしてくれたのではないかと思う。
ちなみに今回のメールインタビューは、筆者が日本語で質問を送り、Jackからも日本語で回答が返ってきた。今回はJackが送ってくれた日本語をそのまま掲載している。
Jackがひとりで応じてくれた日本語のインタビューは、これが初となる。
――フジロックのステージは最高でした。今回のライブはどんな体験になりましたか?
フジロックは……本当に言葉では言い表せない体験でした。
初めての出演で、圧倒されました。
うまく説明できないのですが、バンドとして、演奏者として、これまでで最も忘れがたいライブの一つになりました。

――フジロックのステージで「最安無双」「抹茶ヴァイブス」と書かれたVulf Kimonoを着てくれてとても嬉しかったです。あれは私達からJoeへのプレゼントだったのですが、あのKimonoをステージで着てくれた理由を教えていただけませんか?
あの着物は、もともとJoeへのプレゼントでした。
本番前の楽屋で、Joeがその着物を手に取り、「Jack、君が着るべきだ」と言ってくれて、着てみたら……自然に、しっくりきたんです。
書かれている言葉も、すごく真実味があって。
最近では、抹茶を贈っていただくこともあり、とてもありがたく思っています。


――Joeに聞きましたが、あなたの家には日本の国旗を描いた絵、白いキャンバスに赤い丸を描いた絵があるそうですね。それは「How Much Do You Love Me?」や「Tokyo Night」のMVに映っている絵ですよね? なぜ、日本の国旗を描こうと思ったのですか?
はい、私は赤い丸を正方形のキャンバスに描いています。
ただ、それは完璧な円ではなくて、
Vulfのロゴに使われている円——OH no Type Companyが手がけたもの——が元になっています。
あの形には、ずっと惹かれ続けています。
昔からずっと描いていて、また再開したいと思っています。


――「Animal Spirits」のミュージックビデオで、日本語の字幕が入っているのは何故だったのですか?
「Animal Spirits」は、音の面で——遠いところではありますが——東京事変や椎名林檎の音に影響を受けています。高校生の頃に初めて聴いて、衝撃を受けました。
ピアノ、ベース、ドラムという少ない楽器構成なのに、ミックスがとても前に出ていて。
そのスタイルが心に残っていて、「Animal Spirits」も、日本の皆さんに響くかもしれないと思ったんです。
字幕は、その想いを込めた小さな橋でした。
――Twitterで日本のエアコンを使っていると書いていましたが、実際にダイキンの「うるさら」を使っているのですか?そのエアコンのどんなところが気に入っていますか?
いつか「うるさら」を使ってみたいです。
今はMitsubishiのエアコンを使っていますが、日本で使ったときの感覚とは少し違っていて。
空気が、もっと澄んでいて、柔らかくて、意図が感じられるような……。
フィルター、加湿、すべてが繊細で、
いつか本物の日本のエアコンを体験したいです。

――あなたはできる限りのことを自分でやって、DIYな活動、インディペンデントな活動を貫いています。今はそういった活動をする人は増えてきましたが、あなたがVulfpeckを始めた2011年ではかなり斬新で、成功者も少なかったと思います。なぜ当時、DIYな活動、インディペンデントな活動をやろうと決意したのでしょう? また、誰か他にすでに先駆者がいて、その人に影響を受けたのですか?
はい、今でもインディペンデントな活動を続けています。
インターネットの時代になって、その道はより多くのアーティストにとって現実的になってきました。
僕はフィラデルフィアのGamble and Huffから強い影響を受けました。
バンドが自分たちの作品を所有するという考え方に、深く共鳴したんです。
もちろん、すべてを自分たちだけでやっているわけではありません。配送はFedExを使っていますし(笑)。
でも、“所有する”ということ——そこが一番大切だと思っています。
※筆者注:Gamble and Huff(ギャンブル&ハフ)は、Kenny Gambleと、Leon Huffのコンビによる、アメリカのソングライター、音楽プロデューサーのデュオ。主に70年代に数多くのヒットソングを手掛ける。自社レーベル(Philadelphia International)と自社パブリッシャー(Mighty Three Music)を設立して、原盤権・出版権を所持することでビジネス面でも成功を収めた。
また2015年のインタビューで、Kenny Gambleはこのような発言もしている。
Kenny: Most careers don’t last that long. You should know every detail of your business because it’s all about business, the economics of it. You got to love what you’re doing but you also need to understand it because it’s a living, after all. Control your own publishing, masters, your own image. Controlling all these things is important because they become assets to you. You’re building up assets, things that have worth.
ケニー:ほとんどのキャリアはそんなに長くは続かないんだ。だから自分のビジネスについて、細部まですべてを知っておくべきだ。それは結局ビジネス、つまり経済の問題だからだよ。自分のやっていることを愛する必要はあるけれど、それと同時に理解もしなければならない。なぜなら、それは生活の糧でもあるからね。自分の出版権、マスター、イメージを自分でコントロールすること。それらをコントロールすることは重要なんだ。なぜなら、それらは資産になるからだよ。君は資産、つまり価値のあるものを積み上げていくことになるんだ。
――Coryはインタビューで、自分のバンドのゴールはタイトさや精密さにある、と私に話してくれました。たくさんのリハーサルでそのタイトさを生み出し、ある程度決まった流れでライブを行う、と。一方、Joeのインタビューでは、Vulfpeckのライブのゴールは「みんなにその場で起こる特別な体験をしてもらう」「バンドと観客で一緒に作る、即興性のある新しい体験」だと話してくれました。Vulfpeckでは自由と即興が重要視されている、と。バンドリーダーとして、あなたはVulfpeckのライブの、もしくはレコーディングにおける「ゴール」は何だと考えていますか?
僕は昔、即興コメディに影響を受けていました。
その場で作られることが証明されるというライブ感——
観客からヒントをもらって、その瞬間に何かが生まれる。
台本のあるコントよりも笑えるわけではないけど、目の前で生まれるからこその面白さがあって。
それをバンドに持ち込みたいと思っていました。
今では、構成と即興のバランスを取るようになりました。
初めて見る人にも伝わるように、そして10回目の人にも新しい何かが起こるように。
毎回、ライブでしか起こらない何かを目指しています。
※筆者注:CoryとJoeのインタビュー👇
――The Fearless Flyersのアイデア、コンセプトは完璧でした。Coryが言うには、あなたは最初から、 “The Fearless Flyers. Three guitars on stands. Guitar, baritone guitar, bass guitar. And just kick, snare, hat… It’s Nate Smith.” という感じで、バンド名からビジュアル、ドラムセットに至るまで、すべてのコンセプトを明確にしていたとのことです。いったい、どうやってそれらのアイデアを思いついたか、また、何に影響されて思いついたのかを教えていただけませんか?
アイデアの出発点はバリトンギターでした。
音楽の歴史の中であまり使われてこなかったけれど、
毎回聴くたびに「なんていい音なんだ」と思っていて。
Markのプレイは特にファンキーで、それが強く印象に残っていました。
それから、空中演技チーム——Blue Angelsや、日本の曲芸飛行チームのような存在にも惹かれていました。
精密でありながら、人間味のある動き。
そういうグルーヴを、バンドで表現できたら楽しいと思ったんです。
そしてNate Smith——テクニックとフィール、その両方をこれほどまでに橋渡しできる人は、世界に彼しかいません。
まさに唯一無二の存在です。
※筆者注:👇Coryの発言があるインタビュー
――あなたのアーティスト活動において、ミニマリズムは非常に重要な要素だと思います。あなたはなぜミニマリストになったのでしょう?また、なぜこれをバンドにも適用しようと思ったのでしょう?
ミニマリズムは、いまでも学び続けていることです。
少ない要素で何かを伝えられたとき、そこには力がある。
でも、いつも上手くいくわけではありません。
ミニマリズムが機能しなければ、ただの“何もない”になってしまう。
だからこそ、誰かがそれを成功させているのを見ると、魅了されます。
小さな奇跡のようで——
それを自分でも掴みたくなるんです。

Jack, thank you so much!!!
◆著者◆
Dr.ファンクシッテルー

宇宙からやってきたファンク博士。「ファンカロジー(Funkalogy)」を集めて宇宙船を直すため、ファンクバンド「KINZTO」で活動。「KINZTO」と並行して、音楽ライターとしても活動しています。
■バンド公認のVulfpeckファンブック■
■ファンクの歴史■
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