アプデ後のドラクエ3HD-2D、戦闘システムの「不備」はどうなったのか
以前、私はHD-2D版ドラクエ3について、このような記事を書きました。
この記事を書いたときの私は「あぁもうスクエニはドラクエに興味がないんだろうな」という、割とハッキリした絶望を抱いていました。
あなた…『覚悟して来てる人』…ですよね
— 漂流いかだ (@KOR_jiyugiga) December 16, 2024
アンケートを『取る』って事は 逆に意見を『反映』しなくちゃあいけないという意識をきちんと『覚悟して来ている人』ってわけですよね…
ロマサガ2のときは良い点を書くのに文字数足りなくなったんですが、ドラクエ3も足りなくなりそうです。別の項目で。 https://t.co/mjGpd4In5i
……が、アンケートによって寄せられた多くの意見から「これではマズい」という危機感熱意がスクエニの中の人にも届いたようです。
2025年5月23日に、HD-2D版ドラゴンクエスト3のアップデートファイルが配信されました。
本日、HD-2D版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』のアップデートファイルを配信いたしました。
— ドラゴンクエスト宣伝担当 (@DQ_PR) May 23, 2025
※Steam®版のみ本日18時00分以降配信
アップデートには乗り物の移動速度上昇や、職業・バトル関連の調整、その他細かな不具合修正などが含まれます。
詳細は #DQ3 公式サイトよりご確認ください👇… pic.twitter.com/AoJ5MhHSma
このタイミングでのアプデなのについては色々と思うことがあるのですが、それはひとまず置いておきまして……
アプデによって『戦闘システムの「不備」』と私が強い言葉で指摘した内容が、どのように変わったのか。検証してみたいと思います。
あんな記事を書いた以上、アプデ版に触れずに「HD-2D版ドラクエ3はダメだ」という情報だけネットに残し続けるのはフェアじゃないし、なんか無責任じゃないかなー、と思いました。
なので、アプデ後に新たにデータを作成して最初からプレイし直して、その所感をこの記事として記述する次第です。
そんなわけでプレイし直したので、配信から日付が経っての対応になりますが、体調を崩して寝込んでたりもしたのでご容赦ください……わたし、商業ライターでもないんで……こんなレベルでも商業で使えるようなら誰かお仕事ください
目次
アプデ版を実際にプレイ
まず、実際にプレイしてみての感想を率直に。どうやってプレイしたのかも記載しておきます。
※お急ぎの方は次の項まで飛ばしてください。
プレイ条件
まずはアプデされたドラクエ3がどのような意図で調整されたのかをきちんと把握するため、新たにデータを作成して1からプレイし直しました。
アプデ前後ともにSwitch版です。
難易度は前回と同じ「いばらの道だぜ」を選択。
ただ、モチベーションの問題もあるので主人公は前回と異なる女勇者ルックスBを選択し、性格などもある程度厳選して設定しました。
……まぁセクシーギャルにしただけなんですが。

エッチと言い張る根拠が曖昧なのもSFC時代から据え置き。
勇者以外の初期メンバーは、前回私がプレイしたときと同じ職業の顔ぶれにしました。もちろん魔物使いをいれるのは検証の上でもマストですね。

進行については、前回一度プレイしていてある程度攻略法が分かっているという前提になります。
また、ちいさなメダルやはぐれモンスター、キラキラやひみつの場所はなるべく全回収のつもりで進めていきます。特に「まものよび」の火力に下方修正が入ったという件の検証もありますので、はぐれモンスターは多めに。
そしてプレイ区間は私が飽きたとこまで裏ボスである「しんりゅう」を15ターン以内に討伐するまで、としました(試練の神殿は扉の解放まで)。

ボス類の討伐では「まものよび」をなるべく使わないで倒すようにしました。同時に、睡眠ハメも避けています(というか忘れてました)。
……結果的に、ヒュプノスハントは一度も使っていませんね……
また、育成時に装備品で性格の調整はしたりしましたが、ドーピングアイテム(種など)は使いませんでした。
私はアプデ前バージョンでもドーピングアイテムを使ってなかったのでそれに合わせただけなのですが、実は初期バージョンでは、木の実重複バグと呼ばれる「いのちのきのみ」「ふしぎなきのみ」の効果量が2倍になるバグが報告されていました。
アプデによってこのバグは修正されています。
あと……演出などは変わっていないと思いましたので、そこら辺はひたすらスキップしました。
そんな条件下プレイでの所感となりますので、あくまで目安として御覧ください、と前置きをいたしまして……🙇♂️
実際のプレイ感:序盤
まず序盤について、前バージョンをプレイした私はこう書いてました。
本作はちいさなメダルの報酬が追加されていることもあり、アリアハン脱出まではチュートリアルと言えるほど難易度が低くなっています。ブーメラン投げてるだけで勝てる。
当然のように「いばらの道だぜ」を選択した私も、序盤これで大丈夫か(簡単すぎないか)と感じつつ、そのままゲームを進行したのですが……
今回はアリアハン脱出までの間も、ただブーメランだけ投げれば敵が溶けるし楽勝、というものではなくなりました。
与ダメと被ダメが調整された?ために、きちんと消耗したら回復することや、優先的に倒す相手を考えるなど、ほんとうの意味でのチュートリアルとしてアリアハン大陸が動作するようになりました。
実際の序盤の被ダメ量の変化については、いざないの洞窟で検証を行われた有志の方の動画をご覧になるとわかりやすいかなと思います。
で、まものつかいを入れていますので、保護モンスターが10体になった時点でまものよびを覚えます。習得直後のダメージがこれくらい。

アプデ前の初期ダメージは1回につき24~36ダメージとされていますので、この時点では単発ダメージが大きく変わっているわけではなさそうです。
ただし、アプデによりヒット回数が3~5回のランダムに変化しました。今回こそ4ヒットでしたが、確殺できるかどうかという場面ではアプデ前よりも確実に信頼性はダウンしています。

また参考までに、直前の行動では盗賊がムチ装備のグループ攻撃で上記のようなダメージを出しています。リリースノートでは勇者と格闘家の会心率を引き上げる調整がされたと書かれていますが、他の職業でも会心がちょくちょく発生するようになったような気もするようなしないような……
ただ少なくとも勇者の会心率は目に見えて上がっており、ブーメランを投げたら複数体に会心発生というアプデ前にはなかなかお目にかからない現象をちょくちょく見られた程度には向上しています。
(いずれの現象も、パラメータによるとは思いますが)
アリアハン脱出、カンダタ討伐、まほうのかぎ、船の入手……と資源の少ない序盤は特に探索も行いながら進んでいくわけですが。
アプデ前と比較して劇的に快適になった点がひとつあります。べんりボタンの実装です。


Switchの場合はRボタンを押しながら上下左右キーを入力することで、あらかじめそのスロットに設定しておいたコマンドを即座に発動できます。自分で設定可能なショートカットキーのような機能ですね。
これにより、しのびあしの効果が切れたので毎回ウインドウを開き直してとくぎ欄から盗賊を選び「しのびあし」を選択し直して発動という一定歩数ごとに起こる一連の煩わしさを1入力で解消できるようになりました。
これが思った以上に快適……というよりも、今までは不便だけれどそういうゲームなんだなと無意識にストレスを溜めつつ我慢してプレイしていたんだなと気がつきました。
まぁ、このへんの愚痴?は後でまとめて書くとして……
実際のプレイ感:中盤
船を手に入れると行ける場所が圧倒的に増えるのがドラクエです。
その船ですが、移動速度が向上しました。同じ経路を行くなら陸から一度船に乗ったほうが速く、元々さほど速くないフィールド上のダッシュ移動にもう一段階上のギアを得る手段として擬似的に使える程度にはなっています。
また、コマンドウインドウを開いたり、しのびあしが切れた旨のメッセージが出た際の船の制動に慣性が乗るようになりました。
これは以下の修正によるものだと思います。
・船で移動中にメニューを開いた時やバトルが発生した時、船の速度がリセットされないように調整しました。
太字強調は引用者による
メニューを閉じたりバトルが終了した時に再び方向入力を行えば、再加速を行わずに速度を落とさず移動ができるという目的での修正なのかなと思います。が、ここに関しては少々操作に癖が出たと感じる人もいるかも知れません。
要するに、コマンドを開いても滑るような挙動になるわけでして。船の速度が向上したことで、一度止まって再発進してもそこまでストレスを感じなくなったため、余計にそう感じた部分はあるかもしれません。
正直、だいぶ細かいところですけどね。
船と同様に移動速度の向上が果たされたのがラーミアです。ラーミアについては、移動方向キーを押さなくても一方向に飛び続けるというFCやSFCでのラーミアの挙動(自動飛行)がようやく帰ってきました。
・ラーミアで飛行中にメニューボタンを押すと自動飛行/手動飛行を切り替えられる機能を追加しました。
太字強調は引用者による
オールドファンの皆様からは、切り替えではなくて自動飛行だけでよいのではないか、というお声もあろうかと思います。私もそのクチに近かったのですが、実際に試すと本作の斜め見下ろし視点ラーミアでは移動しながら狭い大地への着陸を狙うのがなかなかに難しいだということがわかりました。
ゆえに、ラーミアが空中で静止(ホバリング)するモードを取り入れる(切り替え方式にする)ことはストレスのないRPGのプレイングという観点ではやむなく必要なことだと個人的には理解しました。

この姿が見たかった
なお、ホバリング状態で待機しているときには、移動をしているときよりも翼を少し速く羽ばたかせるようにアニメーションパターンの切替速度で違いを表現する芸コマが実装されています。
ただ、贅沢を言えば待機時はラーミアの羽ばたく姿勢を前傾から直立に近い形のドットに修正して静止の画でも違いが分かるようにしたほうが違和感は少なかったかも……このへんは発売後アプデゆえの苦肉の対応だったのかもしれません。
さて少し話が前後しますが、勇者イカダのパーティメンバーは、商人→魔物使い→武闘家のフネ、盗賊→遊び人→賢者のハンセン、魔物使い→戦士のゴンドラという形でストーリー攻略を進行しました。

今回のアプデで、職業関連の修正内容は次のようになっています。
・勇者および武闘家:会心率が上昇しました。
・勇者:特技「はやぶさ斬り」と「ギガスラッシュ」の威力が上昇しました。
・戦士:特技「渾身斬り」の威力が上昇しました。
・僧侶:「やまびこのぼうし」が装備可能になりました。
・まもの使い:特技「まものよび」について、はぐれモンスター保護数が最大に達するまでの威力を下げ、攻撃回数を3~5回のランダムに変更しました。
・まもの使い:特技「ビーストモード」の消費MPを30に変更しました。
太字強調は引用者による
会心率とまものよびの調整が大きく話題になりましたが、その他にもいくつか気になる点がありますね。
ビーストモードも燃費の面で大幅な下方修正が行われました。
一方、バトル関連の調整とされているものはこちらでした。
・一部のモンスターについて、1ターン内で特定の行動をとる回数に制限を設けました。
・一部のモンスターについて、残り1体になった次のターンからは「大ぼうぎょ」を行わないよう調整しました。
・難易度「いばらの道だぜ」におけるボスモンスターの状態異常耐性が上昇しました。
・敵味方共に、連続で同じ状態異常にかかりにくくなるように調整しました。
・一部モンスター(メタルキメラ、メタルハンド)を倒した際の獲得経験値が増加しました。
・メタル系の敵を除く全モンスターの守備力を低減しました。
・与ダメージについて細やかな調整を行いました。
太字強調は引用者による
ルカニの仕様にも大きく関わり、私が以前にHD-2Dドラクエ3に「不備」という強い言葉を使ってまで記事を書くに至った防御力についての修正が入ったことは重要です。
要するに、物理攻撃にテコ入れがされているらしいことが判断できます。
このアプデ表を見つつ、今回はまもの使いからの転職先に戦士を採用することにしました。アプデ前バージョンでは大きく割りを食っていたと言わざるを得ない戦士が、どれくらいやれるようになったのかの検証です。
また、ビーストモードが「ぶっ壊れ特技」から「普通の特技」になったのかを判断するために、ビーストモードを習得した素早い武闘家と足の遅い戦士の2名ほどをご用意する意図もありました。

武闘家はビーストモード発動中。やぁってやるぜ!
このあたり、調整された特技の検証は後ほど詳述しますが……
個人的には、非常によい感じの調整になったのではないかなと思っています。というのも、実にアプデ前の4倍弱である消費MP30のビーストモードは、いてつくはどうで消された時にめっちゃ悔しいという感想を抱けるようになったからです。
消費MP8だし、また貼り直せばいいやー、ってなっていたアプデ前が明らかにおかしいという話との表裏ですけれども。
また、戦士も物理攻撃を受け止める壁役として、そして会心に頼らない物理攻撃役として、攻守に活躍できる職業へと昇格を果たしました。
レベル48~50の渾身斬りを覚える以前であっても、物理攻撃がきちんと通る調整になったことで特技に使う意義が生じるようになったことが大きいです。
戦士ゴンドラが魔王バラモスに「もろば斬り」で捨て身でトドメを刺すというアツい展開は、正直再プレイを始めたときには予想もしなかった「いい意味で期待を裏切る展開」の極地でした。

バラモスの ふところに きりこんだ!
このときのダメージはバイキルト状態で496。反動で149ダメージを受けるリスクを考えつつも、Lv30前後では十分に選ぶ価値のある特技になったと言えるでしょう。
物理攻撃が息を吹き返したわけです。

実際のプレイ感:終盤
さて、下の世界へと侵入し、船を手に入れ、北上してガライの家や魔王の爪痕あたりまで到達できたら……お待ちかねの時間ですね。
スライム島でのレベル上げです。

アプデ前の勇者は、はぐれメタル狩りでは完全にお荷物でした。
ストーリークリアまではパーティから外すことができず、どくばりを装備できず、アサシンアタックやきゅうしょづきも使えず、会心必中を使えない……ということではぐれメタル相手にぺしぺし1ダメージを与えても大した意味がなかったからですね。
しかし、アプデによって勇者と武闘家の会心率が向上しました。これにより、勇者はブーメランを装備して複数体のメタルに対して会心を期待するという役割を果たすことができるようになりました。メタルウィングを持たせると意外なほど貢献してくれた感じがします。
もちろん会心率が上がったのは武闘家も同様です。純武闘家は複数攻撃手段が乏しいので、前職でぶんまわし、愛のムチ、らせん打ちなどを覚えさせる必要はありますが……勇者とともにグループ出現するメタルでの会心狙いをしやすくなりました。

また、それ以上にメタル狩りを快適にする革命もありました。
べんりボタンの実装により「くちぶえ」を1入力で発動できるようになり、メタルが出るまでのエンカウントガチャの苦行度が比較にならないほど楽になったのですね。
すぐ逃げ出すという意味では相変わらずメタル狩りは運に左右されますが、進行上足りなくなったレベルを補う程度なら「いばらの道だぜ」でもあまり苦にならず済みました。
たとえば私のプレイでは、ルビスの塔でのバラモスブロス戦の前に多少のレベル上げを入れています。
さすがにベホマラーを覚えてないと勝てなかったので……

ちょっと上げすぎてしまったかもで反省したのですが……?
ただ、バラモスブロスの討伐後に、はたと気づきます。
これゾーマ城にもう挑めそうだけど、レベルがなんだか低くないか?と。
よく考えれば、私のアプデ前プレイではアレフガルドでは勇者はギガデインを唱える機械でした。それが、今回はバラモスブロスを倒してやっとギガデインを習得したくらいです(Lv38~40で習得)。
実際にちょっと振り返ってみましょう。


一周目はあまりスクショ記録をしてなかったので……

明らかにレベルが低いし、勇者や武闘家とパラメータを比較すると……
やはり、どう見ても低レベルで進行しています。
というか、アプデ前そんなにレベル上げてたっけ?となりますよね。
これは、そもそもアプデ前には物理攻撃が全然通らずに苦戦したのでレベル上げをしたという背景があるためです。
……いえ、より正確を期して表現するなら耐久は足りてるのに物理攻撃が全然通らないからレベルを上げたのに、それでも物理が通らなくて互いに決定力がなく戦闘が泥沼になり、仕方なく諦めてまものよびを連打するしかなくて面白くもなんともない戦闘になっていた、という状況ですね。
アプデ前をこんだけズタボロに書くということは、どうだったのか。
上ではゾーマ突入前と書きましたが、実際このステータスで前座とゾーマの撃破を成し遂げています。
しかもアプデ前より低レベルでも物理攻撃主体の攻略が可能になった=まものよび連打以外の打開ができるようになったことは特筆に値するでしょう。
実際のプレイ感:クリア後要素
ゾーマ戦終了直後に裏ボス「しんりゅう」に挑もうとすると、さすがに手が出ない程度の難易度になっていました。これはアプデ前と同じように相手の防御力が高いためにダメージがロクに出ないことと、被ダメが大きくなり単純に防戦一方または耐えられないという状況に陥るためです。
これはまぁ、クリア後のおまけ要素なので簡単すぎても……ということで問題にはならないでしょう。

で、勝てないとなると必要なのはレベル上げです。
が、そこは先ほどの通り。少なくともはぐれメタルガチャをするための手間はべんりボタンのおかげで大きく削減されたうえ、狩るための手段もアプデ前よりはだいぶ緩和されました。
会心必中を覚えるまでは服を買いに行くための服がない状態だったのと比べると、だいぶマシにはなったかなと思います。
もちろん、会心必中を覚えるとレベル上げ効率が大きく加速します。また、クリア後は勇者をパーティから外せるようになるので、別のセーブデータからメタル狩り要因の「おたすけキャラ」を呼べるのはアプデ前からの常套手段です。武闘家を複製するなんていう手も取れますね。
ということで、今回の再プレイではクリア後レベル上げに限りアプデ前パーティからメタル狩りの女を召喚させていただきました。ここはまぁ時短ということで……


MP消費したら「おおごえ」で旅の宿屋を呼ぶのがオススメ。
クリア後、しんりゅうの願いとして発生する試練の神殿は理不尽な要求が多くクソゲー感がありましたが、特に問題とされた箇所についてはアプデによって名指しで修正されています。
・「試練の神殿」内で番人に渡すアイテムのうち、「エルフののみぐすり」の必要数を10個に変更しました。
・「試練の神殿」に宝箱が追加され、「グリンガムのムチ」が新たに1つ入手できるようになりました。
太字強調は引用者による
特に胸を撫で下ろすのは「エルフののみぐすり」の必要数の低下です。以前は25個という膨大な数を要求される上にひとつ40000Gという法外なお値段で、そのうち15個分を買うのだとしても60万Gが必要とされました。
もっと言うと、エルフののみぐすりが買える店は隠し要素に近いもので、知っていればともかく知らないとどこで買えるかどうかもわからないという大きな問題を抱えていました。
これが10個になったことで、イベント入手や拾った分だけで賄えるようになったということで大きく緩和されました。

もちろん、「そこまでに浪費しない」とか「探索をきっちりやる必要がある」という別の課題はありますが……キラキラなどのフィールド探索をやらなくても大半が集まるらしいのは評価点になるでしょう。
これと合わせて、グリンガムのムチが宝箱に配置されるようになりました。アプデ前は総数が110枚のちいさなメダルを105枚集めないと手に入らないという、人によってはだいぶ面倒な収集要素をクリアする必要がありました。
ただし一方で、保護モンスターを100匹以上保護するという試練は据え置きされています。基本的に目に見えないちいさなメダルより、目に見えていることも多い保護モンスター、それに到達時点で118匹中の100匹というのはちいさなメダルよりは比較的ラク、「やせいのかん」もあるし……と言えるのかなんとも言えないところですが、まぁ似たような収集要素を2度強いられなくなったのはよかったと思います。
真の裏ボスへ挑むためにゲーム側が課す課題(やり込み要素)として、あまり緩和しすぎるわけにも行かないという判断もあるでしょう。
とまぁ、プレイ感については長くなりましたが、こんな感じでしょうか。
次章では、これまで説明は端折ってきたバトル関係の調整について、ちょっと見てみましょう。
バトルの内容を検証
ゾーマ戦に見るバランス調整
物理攻撃が通るようになった、と書きました。
論より証拠、上記ステータスでのゾーマ戦でのダメージ量です。

ゾーマに 合計706のダメージ!

ゾーマに 合計1006のダメージ!
見ての通り、明らかに別ゲーですよね。
ただ注意すべきは、これらはバイキルトと山彦ルカニで準備を整えての攻撃のターンに出せた瞬間火力だということです。ルカニの効果が薄れつつ、いてつくはどうでバイキルトも消された状態ですと、つるぎのまいでもダメージは大きく落ちます。

ゾーマに 合計361のダメージ!
それでもやはり、きちんと物理攻撃が仕事をしている。
大幅に低レベルで攻撃力も低いのに。なんとも、隔世の感があります。
一方で勇者や呪文が蔑ろにされているわけではなく、ギガデインや山彦バギクロスなどは安定したダメージを与え続けられる攻撃手段になっています。

ゾーマに 496のダメージ!

ゾーマに 196のダメージ!
(それを2回!)
つまり、これらを合わせると……
物理攻撃は準備が必要だけれど、条件が揃いさえすれば大ダメージを叩き出せる。
呪文攻撃は準備が必要ない代わりに、敵の耐性や弱点という知識が必要だが安定したダメージを叩き出せる(※)。
このドラクエシリーズの基本となるバランスが再現されており、同じコマンドを選択して固定ダメージを出し続けるより大きな爽快感がありました。
ダメージが蓄積していないときには「いてつくはどう」や相手の攻撃の合間をくぐって補助を積んで物理で刺しにいき、一方で補助を積む余裕がない場面でも勇者は専用呪文のギガデインで攻撃していける。そんなメリハリのある駆け引きを楽しめたと思っています。
※本作では「あやしいひかり」や「魔力かくせい」を山彦の帽子と併用することで呪文もさらにダメージを増やせるようになりました。が、そのためには遊び人をレベル45~46まで育てる必要があり、クリア前には現実的でないためここでは考えないことにします。
また、補助呪文や特技によってダメージ量が支えられていることで、いてつくはどうの存在が非常に強く光るようになっています。いてつくはどうはドラクエ3のゾーマ戦が初出で本作に非常に縁のある技ですね。
こうした調整の背景には、まものよびが信頼できるダメージソースではなくなったことも大きく影響しています。
「まものよび」はどうなったか
今アプデで、「まものよび」には次のような調整が入りました。
・まもの使い:特技「まものよび」について、はぐれモンスター保護数が最大に達するまでの威力を下げ、攻撃回数を3~5回のランダムに変更しました。
太字強調は引用者による
威力をナーフされただけではなく、攻撃回数がランダムになりました。地味な変更に見えますが、なかなかよく考えられているなというのがプレイ中の実感です。
そもそもまものよびが問題視されたのは、その威力も然ることながら防御力無視の4回攻撃ゆえにほぼ固定のダメージが確約されるという点が大きいです(攻撃のミスさえ起こらなければ)。
事前にはぐれモンスターを回収するという手間こそありますが、戦闘中には何の準備もいらずにお手軽かつ確実なダメージソースになってしまうわけです。敵の防御力だとか、属性の相性だとか、そんなものは関係ありません。
これが今回のアプデにより、ダメージ量が確約されないという変化を遂げました。つまり言い換えれば、信頼性に欠けるわけです。
実例を見てみましょう。
この画像、パッと見だと、アプデ前と変わらず500ダメージ以上を叩き出せているように見えます(ゾーマ戦直前の場合)。

ですが、このダメージは5回フルヒットした場合のものです。
一発ずつの火力が下がった上に、3回しかヒットしないという下振れが発生するようになりました。

また、単発のダメージも乱数によるブレが大きくなったように見えます。

別のケースでは、同一ターンに2名が放った「まものよび」が、それぞれ3ヒットで330程度のダメージ、5ヒットで490程度のダメージという結果になることもありました。


※このダークトロル戦はクリア後なので、キングヒドラ戦より保護数が1~2匹増えています。
このことから、最初に掲示したキングヒドラ戦での574ダメージというのは、かなり上振れた値だということになります。
ダメージの期待値としてはそれよりもだいぶ下で、かなり振れ幅がある。その代わり、1コマンドで完結していて手軽に放てる。
これは既存の呪文攻撃に近いですが、やや異なる特徴を持ちます。
呪文攻撃のように、事前の補助を積むという準備が不要。しかし呪文攻撃のように成立すれば同一戦闘中なら一定ダメージというわけではなく、ダメージ期待値が大きくブレることになります。
そのため実際にプレイしてみると、「まものよび」連打でもクリアは出来るけれどもっと他の手段を試したほうが早く思えるという普通の特技といった感じの調整になっていました。
それでも、メタル系以外の防御力や耐性を無視できるという特性が要所で強みを発揮するのは従来どおりです。
この「まものよび」の調整は、きちんと調整さえできていればHD-2D版ドラクエ3が従来ドラクエより奥深い戦闘を楽しめるシステムであった可能性を示唆しています。
……実際に今アプデは、そのきちんとをようやくやったのではないかなと。
「とおぼえ」の存在意義
アプデ前に「とおぼえ」は「まものよび」の完全下位互換でした。
しかも「とおぼえ」の直後に「まものよび」を覚えることから、「とおぼえ」は保護モンスター3匹で覚えられることへの辻褄合わせなのではないかと指摘される程度に存在意義のない技になってしまっていました。
まものよびは設定上は「保護したはぐれモンスターの群れを呼び寄せて攻撃させる」というものであり、3体のみで4連続ダメージを与えるのは矛盾してしまう。その代わりとして「とおぼえ」を覚えさせることで、この矛盾を解消していると見ることもできる。
「【とおぼえ】」の頁、DQ3(HD-2D版)の項より引用
が、アプデで「まものよび」の回数がランダムになったことで、「とおぼえ」にも存在意義が生まれました。「とおぼえ」が真に安定して4回ダメージを与えられる唯一の手段となったのです。
……まぁ、ご存知の通り、ダメージ量は大したことがないわけですが……それでも、序盤~中盤程度には確実にトドメを刺せる手段としてAIが「とおぼえ」を選択しているような場面を幾度か確認しました。
また、魔物使いの覚える特技の中で確実な4回攻撃を行えるという特徴がメタルスライム狩りで役立つ場合があります。メタル相手なら攻撃力の低さは関係なく、単純に攻撃のヒット回数で与ダメージが決まるからです。
「ヒット回数3~5回」と「ヒット数4回」のどちらに光を見るかはプレイヤー次第だと思いますが、他職で覚えられる4回ヒット特技は軒並み習得が遅いことも、オオカミくんたちにとって追い風になるでしょう。
もちろん早期に習得できる4回ヒットの技である一方で会心は発生しないので、序盤のメタル狩り(メタルスライム狩り)にしか実質使えませんが……「まものよび」と「とおぼえ」にもきちんとそれぞれの存在意義を作り出したことはアプデの評価点として挙げて良いでしょう。
武闘家の会心率
勇者と武闘家の会心率の上昇は、体感でわかる程度になりました。
勇者の会心率は、むしろブーメランで全体攻撃が可能なので序盤からその恩恵を実感しやすいかもしれません。
一方で武道家の会心が本領を発揮するのは、どちらかというと終盤にかけてです。どこぞのおてんば姫のように会心連発になったわけではありませんが、アプデ前に比べると雲泥の差です。
たとえば通常攻撃の0.5倍のダメージを4回与える「ばくれつけん」をルカニ状態のバラモスブロスに放つと……


このように、会心による上振れが割と多めに発生する可能性があります。
今回の検証範囲で最終職業としてはやぶさ構成が強いのか武闘家が強いのかどうかまでは検証できていませんが、少なくともストーリー攻略上では武闘家を選ぶ魅力の一つとしてきちんと作用するようになったと感じました。
ルカニはどうなった?
ところで、バイキルトはダメージ量を倍にする呪文ですが、会心の一撃では(敵の防御力を無視する代わりに)バイキルトなどの影響も受けません。また、ルカニも同様だと思われます。
というか、アプデ後もルカニの効果はおそらく据え置きのままです。
つまり、守備力を下げるという説明文は正しくないままであって、与えられるダメージ量をn倍する効果のままということになります。

以前の記事でも言及した通り、これはバイキルトと同系統の挙動になりますね。そして、アプデ前では相手の防御力が高すぎるうえにルカニが防御力を下げてくれないため、戦闘バランスが崩壊を見せてしまっていました。
ではアプデ後はどうか。
相手の防御力が軒並み調整されたために、ルカニを入れなくても物理攻撃が通るようになりました。
そのため、大半の敵に対してはルカニを使わなくても物理ダメージを通せるけど、使えばダメージが増加するという、おそらく当初想定していたであろうゲームバランスが成り立つようになりました。
一方で、ルカニを使っても物理ダメージがロクに通らないような硬い敵も存在します。しかしこれらの敵はガメゴン系やクラブ系や物質系など硬いことに理由があるようなモンスターたちです。
これらの敵に対してはルカニを使おうがバイキルトを使おうが基礎ダメージが低すぎて有効ではないため、ルカニは従来作とは異なり物理攻撃が有効な相手にそのダメージを加速する手段として再定義され、本アプデでもそれは同様だと考えるのが良さそうです。
ではルカニが効かない相手にはどうすればよいか。呪文や防御無視の特技を使う(またはバシルーラやニフラムを使う)という別の解決策を模索するように求める設計なのだと考えられます。
それに、異常に硬い相手はストーリークリア上で倒さなければならない強敵としては配置されていません(ゾーマ城のだいまじん連戦がやや硬いくらい)。
もしかしたら、まものよびも本来はこの選択肢の一つとして用意された特技だったのではないかと邪推も出来るわけですが……
しかし、そうするとバイキルトとルカニが同系統なのに両方存在する意義が何なのかということになります。「とおぼえ」と「まものよび」のように両方使う意義はあるのでしょうか?
バイキルトは個人にかけるもので、ルカニは相手にかけるものという違いはあります。言い換えると、ルカニは成功さえすれば仲間の複数人に効果があるという違いはあります。
が、ルカニは100%成功するバイキルトと違って失敗がある上に、1度使用するごとに1.3倍、1.6倍、1.8倍という形なので、3回は重ねがけをしないとバイキルトほどの効果はないようにも思えます(ルカナンだと6回)。
……ところが、どうやらHD-2D版ルカニは「いてつくはどう」で消えないというバイキルトにない効果を得るようになったようなのです。


(静止画だと一層わかりにくいが、縦線のエフェクトが出てる)
ドラクエに詳しい方には、従来のドラクエ3の「いてつくはどう」は敵味方の効果をリセットする効果だとご存じの方も多いかと思います。
一方、ドラクエ4以降の大半の作品では「いてつくはどう」は表記通りに相手側の補助呪文の効果のみをリセットする効果になっています。
(ドラクエ3以前にいてつくはどうを使えたのはゾーマ様以外におらず、一方で4以降はてんくうのつるぎの道具使用などで味方側でも使えるようになったという関係もあるでしょう)
ルカニは防御力を下げないという意味ではドラクエシリーズの常識から外れましたが、相手のいてつくはどうで無駄にならないという意味ではシリーズの常識に合わせた形になったわけですね。

また、本作ではルカニは段階制かつ、段階が少しずつ減衰する仕様になりました。このため、相手のルカニ状態を維持するため「くさなぎのけん」などでルカナンをかけることにもある程度意味が出てきます。
いてつくはどうの影響を受けずに積み立てられる火力バフという立ち位置に調整されたと考えるのが良いかもしれません。アプデ前は明らかに機能不全でしたが、アプデ後ならばその調整も理解できます。
……だからこそ、段階が分かる仕組みがほしかったところですが……
戦士の復権
ドラクエ3での物理専門職は、会心に頼らないならば戦士が第一人者ということになるでしょう。しかし発売当初は、物理攻撃の地位低下だけではなく、ヒュプノスハントの高倍率、そして物理プロフェッショナルの戦士がレベル50前後で最後に覚える特技でありながらレベル30代で覚えるつるぎのまいよりも単体倍率が低い渾身斬りの存在なども含めて戦士自体の存在意義が問われる事態になっていました。
しかしアップデートにより、渾身斬りは威力2.2倍の特技から威力3.5倍の特技へと生まれ変わりました。
今回の再プレイでは睡眠ハメは狙いませんでしたが、片手間に使ったくらいだとラリホーで寝てくれなくなっていました。ヒュプノスハントは従来ほど気軽に使えるものではなくなったでしょう。
・難易度「いばらの道だぜ」におけるボスモンスターの状態異常耐性が上昇しました。
・敵味方共に、連続で同じ状態異常にかかりにくくなるように調整しました。
太字強調は引用者による
このことも、渾身斬りに追い風の調整となったと言えます。
そして計算式が変わっていないならば、ちからが高く攻撃力の高い武器が装備できる戦士は優秀な職業として復権したとも言えるでしょう。
重装備が可能で盾役になれることも、被ダメが多くなったアプデ後環境ではアドになっています。
会心を狙うならば武闘家という状況もアプデによって整えられましたが、安定した物理アタッカーという立ち位置は戦士に委ねられたと言えるでしょう。

では実際に、どれくらいのダメージが出せるのか。
理想的には、バイキルトとルカニを同時にかかった状態にすることがベストです……いや、ベストと言う意味ではバイキルトとルカニに加えて、ちからため状態でビーストモードまで盛るのが一番ダメージが出るでしょう。
実際にそこまで準備を整えられるかは運にもよりますが……
実際にやってみたのがこちらです。

フネとゴンドラはビーストモードが使用可能。やぁぁってやるぜ!


しんりゅうに 2324のダメージ!

しんりゅうに 2513のダメージ!

(遊び人の特技「おうえん」は、対象に「ちからため」の効果)

またご覧のように、戦士でも会心が出るときは出るようになった気がします。
武闘家には及びませんが。
こんな感じで、なかなかのダメージを叩き出せるようになりました。
もちろんヒュプノスハントは6倍のダメージで据え置きかつ、はやぶさのけんの2回攻撃が乗るのでラリホーが入ったらそれを狙うのが最適解なのは変わらないでしょう。
が、アプデ前にヒュプノスハントが猛威を振るったのは、相手をずっとラリホーで眠らせれば一切の行動も封じられるうえに睡眠がよく効くため、睡眠ハメが攻守ともに完璧な作戦になってしまいリスクとリターンが見合いすぎているバランス調整にありました。
ヒュプノスハントが通しにくいラリホー時限定の技になった一方、渾身斬りは主力として使っていける特技になりました。ちからとみのまもりの育成の面でも戦士を転職ルートに組み込む意義が見出せ、物理アタッカーたる戦士の面目躍如だと言っていいでしょう。
また、武闘家でばくれつけんを放つのも補助呪文に頼り切らない(会心狙い)手段として選択肢になりますね。同様にアプデによって、ですが。

ビーストモードの下方修正
さて、先ほどの渾身斬りの項でもしれっと使っていましたが、ビーストモードについて。
その強力さや便利さは言うまでもありませんが、明確な弱点も抱えました。それは、先ほどの14ターン撃破を成し遂げた後のステータス画面を見れば一目瞭然でしょう。

ビーストモードで渾身斬りを連発したフネのMPが底をついています。
アプデ後ビーストモードは消費MP30と大きく燃費が悪化しました。これは勇者専用の呪文/特技であるベホマズン(64)、ギガデイン(30)、ギガスラッシュ(38)を除くなら、会心必中(64)に次ぐ第二位のMP消費量になっています。
さらに、山彦の帽子とは異なりビーストモード発動中の2回目の行動は、きっちり別途2回目の分のMPも消費します。たとえば渾身斬りはMP12を消費するので、1ターンにMP24を消費することになります。
ビーストモードとは、消費MPを倍にすることで行動の効力を倍にする特技だと言い換えることもできますね。
うまいこと3ターン消されずにビーストモードを維持できたとすると、その間に発動する渾身斬りは6発です。つまり、合計でMP102(= MP30 + MP12 x 6発)が消費されることになりますね。
アプデ前はビーストモードの燃費が良すぎ、かつMP11のヒュプノスハントが超火力、かつはやぶさの剣で実質消費MPが半分になっていたことで、この弱点が意識されることはあまりありませんでした。
あまりにも強力な効果ゆえの重いMP消費に、使い所を間違えないようにしなければならないというようにきちんとバランス調整が取られたという感じがしました。
というより、なんでアプデ前にはとりあえずビールくらいのコスト(消費MP8)で使えるようにしてしまったというのか……

最速で船入手後から利用可能だが、当然コストは重い。
総評
こういうのでいいんだよ
正直再プレイするの、コレ相当に辛い道のりになるんじゃないかなぁと思ったんですが……調整に時間を掛けただけあって、普通に面白いぞと思ってプレイできるようになった感じがします。
ほー いいじゃないかこういうのでいいんだよこういうのでという感想が最も近いんじゃないかと。
解析班の報告はまだありませんが、調整後もやはりルカニやダメージ計算式の基本は同じなのだと思います。ただし、その上で敵の防御力や行動設定のバランス調整をきちんと直したために、過去作のプレイ感に近いけれど新基準という、本来やりたかったであろう実装がきちんと行われたと見るのが今回のアプデの正しい評価でしょう。
総じて、今回のアプデについてはドラクエらしくなって、よく来てくれたという評価を与えて良いと思います。
あるいは、令和のゲームらしくなって、よく来てくれたと言うべきか。
……ただ、逆に言うと、初期版は令和に期待されるクオリティではなく、ドラクエらしくもなかったということになります。それくらい違う仕上がりだと私は感じました。リズムに乗りながら殴っていいかなレベル
アプデ内容はよかった、が……
が、やはり対応が遅すぎるというのはどうしようもない事実かと思われます。
拙速な調整でいっそう悪くなるよりは良い……という主張はわかるのですが、そんなことよりもアプデによる調整を行うというアナウンスも行わず、すぐに直せそうな部分を個別に修正することもなく、突然のアプデ配信しか行わなかったという点に問題があります。
これは各所でもすでに指摘されているとおりですね。
また上記記事でも指摘されていますが、これだけの調整をアプデで出されるということは、アプデ前の内容に公式からダメ出しがされたという意味でもあります。
要は、初期版は不十分な調整で世に出されたと捉えられても仕方のないことであるし、公式に未調整バージョン出しちゃったと認めることでもあります。
おそらくは社内でプレイ後アンケートの集計結果を見て「これはヤバい」となって修正作業をスタートさせたのだろう……という推測が可能な半年後アプデなわけですが。
仮にそうだとすれば、これだけSNSも発達している中でその反応は遅きに失しています。SNSどころか、今作はSteamでの直接レビューも盛んに行われていたわけですから。
せめて初期に「調整を予定しています」の一言でもあれば、「やんごとなき事情で出てしまったのでいま調整してるんだな」と思うこともできたでしょうが……これだけ間をおいての突然のアプデでは、初期版はいい感じにできたという顔をしといて今さら手のひら返しかよという印象が強くなります。
ていうか、わざわざ私みたいにアプデ後の本作を最初から再プレイした人、ここを読んでいる中で何人いらっしゃいます?
「HD-2D版ドラクエ3、発売後初のセール!」という直前での修正だったのも、まぁ、ちょっと思うところがありますよね……
もちろんアプデをした事と、アプデ内容自体が良かったことは最大限に称賛すべきです。それはそれとしてというお話。
なぜ調整不足になったのか。これは品質管理に予算が足りなかったということでしょう。大真面目にやった結果だとは考えたくありませんし。
販売元であるスクエニの決算では、本作の売上が予想以上で業績にも(大きく)影響したことが述べられています。
これも逆に捉えれば、ドラクエ3のHD-2D版はそんなに売れると思ってなかったと捉えることもできてしまいます。
ちょうどドラクエ3HD-2dの発売直前頃に「販売本数が想定より少なかった」と言及された同社IPリメイク作品と比べると、随分と控えめな予想だったよねというのは事実でしょう。
# この手の見積もりは少なめに出す場合があるとはいえ。
# 悪いメッセージとして受け取れば、という話ではあるとはいえ。
まぁ、だいぶ意地悪な言い方をしていますが。
前記事で「ドラクエ3のバランス調整をできるのは発売元であるスクエニしかいない」と述べたのと同様、ドラクエというブランド(知財)に属する作品を扱えるのはスクエニしかいません。
ドラクエは、ゲーム史の観点で言えばファイナルファンタジーシリーズよりかなり重い価値を持ちます。たとえば、東京オリンピックの開会式で華々しく鳴りわたった、すぎやまこういち先生の「序曲」。
この「序曲」は、シリーズ作品の中で同じ編曲がされたことはありません。そのうえで、このイントロから始まるバージョンは明確に「ロトシリーズの序曲」であることがわかるようになっていました。
また非公式ながら、入場する選手団が描く配置が最終的に「ロト陣形」と呼ばれる形状になっていたことも知られています。
スクエニ自身がドラクエというタイトル、特にシリーズの中でも最大の意義を持つ「ロト三部作」の中核をなす「ドラゴンクエスト3」という作品をリメイクすることに対して、大した意義を見出していなかったのではないか。
長い歴史を持つ資産――シリーズのファンという見えない資産も含めて――をぞんざいに扱っているのではないか……
スクエニがドラクエを信じないなら、誰がドラクエを信じるっていうんだ。
こういう私の気持ちが、冒頭の「あぁもうスクエニはドラクエに興味がないんだろうな」という発言に繋がっています。
が、今回のアプデで少しはこれを見直す機運、希望は生まれたかなと思います。
なにせ、これはあからさまにドラクエ1・2の発売を前にしての調整だということが目に見えているからです。
ドラクエ3のような轍は踏まないのでどうかお願いしますという態度が見え見えだというわけですね。
あとは、スクエニの中で(おそらく少ない予算で)必死に頑張っている現場の方々の良心を信じましょう……
ゲームの進化とはなにか
先ほど引き合いに出した某リメイク作品のように、当時は叶わなかったリッチな表現を行えるということが、昨今のリメイク作品やリバイバル作品の開発及びプレイングのモチベーションとして最大のものでしょう。
Switch2がSwitchを単純にパワーアップするだけで歓迎されているのも、そうした背景に説明を与えています。
しかしながら、リメイクというものがハードウェア技術の向上により当時実現できなかった表現を盛り込んで旧作を新しく生まれ変わらせる作業なのだとしたら、ボタン数と処理力に余裕ができた今、べんりボタンという機能を実装したことこそ「顧客が本当に必要だったもの」案件だと私は考えます。
少々の脱線になりますが、ファミコンは8bitゲーム機のため、処理速度を考えるとコントローラーに8ボタンしか実装できませんでした。上下左右とBA、スタート、セレクトです(1コンの場合。2コンではスタートセレクトの2ボタンの代わりにマイク入力を実装)。
スーファミでは16bitのため上下左右、ABXY、LR、スタートセレクトの12ボタンまで増やせたりしたのですね。

https://www.nintendo.com/jp/famicom/hardware/index.html
さて、そもそもドラクエ3にはつけ外し可能なパッシブアビリティのような仕組みがありません。そのため、エンカウント率ダウンを消費コストなしの特技「しのびあし」として毎回発動することで、擬似的にパッシブアビリティを再現しているようなところがあります。
歴史的な経緯を見ればもちろん逆(パッシブアビリティとかいうものこそ後世の仕組み)なのですが、あくまで「現代のゲーム環境側の視点」に立つのなら、効果切れの際に毎回手動でセットし直さなければならないパッシブは不便という言葉に尽きてしまいます。これはちょうど、過去作を知らないでドラクエをやった人の視点とも重なりますね。
この折衷案として、べんりボタンというものは令和のゲームらしくなって、よく来てくれたとようやく評価できる機能だと思えるのです。
歴史的な意義のあるドラクエの伝統を守る。
現代の作品として快適性をもたらす。
「両方」やらなきゃあならないってのが「リメイク」のつらいところだな。
覚悟はいいか? オレはできてる。
……というのが、おそらくリメイクと呼ばれる作品を作るうえで必要なものです。これが足りていない作品は辛辣な評価を受けがちということです。
同時期のロマサガ2リメイクの高評価は、この覚悟ができていてきちんと形に現れていたからこそのものなのです。黄金の精神と言っていい。
また別の観点として、べんりボタンによって、ルーラの改良で存在価値が失われたと思われたリレミトにも新しい価値を与えることもできています。
本作では街やダンジョンの何処からでもルーラ移動ができるためにリレミトの立つ瀬がなくなっていたわけですが……実はそれは本質ではありません。
ルーラがマップからいつでもどこでも1ボタンで呼び出せることが、真にリレミトの価値を毀損していたのです。
ルーラが何処でも使える「いい時代になった」と言っても、この呼び出しショートカットがなければ、リレミトの存在意義を失うこともなかったでしょう。
つまり、「じゅもん→キャラクター選択→(ページめくり→)リレミト選択→実行のはい・いいえ選択」と、リレミトの呪文を階層の奥深くから呼び出すという手間がルーラの呼び出しよりも圧倒的に面倒くさかったから、その利用価値がなかったのです。
べんりボタンの実装は、ダンジョンや街からの脱出において「マップを開く→ショートカット→行き先を選択→Xボタン長押し」のルーラよりも、「べんりボタンでリレミト→実行のはい・いいえ選択」という形で、ルーラとリレミトの利便性の関係を逆転させます。
本作は無駄にマップが広いため、街の奥の城内から外へ出たいだけなんだけど面倒という場面がそこそこにあります。これ、本来ならリレミトのほうが早いんですよね。
さらに保護モンスターやイベントの兼ね合いでラナルータややみのランプを使うとき、リメイク前と違ってフィールドに出ないと使用できないためにリレミトが欲しい場面はむしろ増加しています。
リメイクが現代的な利便性を与える作業でありつつ、伝統をも重んじる覚悟を求める作業だとすれば……リレミトという呪文を残しつつ、新たな価値を与えてやることはリメイクに求められて然るべきものだったのではないでしょうか?
……と言いつつ、最初からマップショートカットでルーラだけじゃなくリレミトも使えるようにしておいてくれればそれでよかったんだと思いますけれどね。Yボタン長押しでリレミトとかできたハズ。
ラナルータややみのランプが街中で使えなくなったのもナンデ感ありますけども……まぁともかく、数少ないべんりボタン枠を1スロット使ってしまう意味でも、この解決方法が最適だとはけして言っていないということだけはご理解下さい。
未検証事項
最後に、未検証の事柄について触れておきます。
僧侶の存在意義?
・僧侶:「やまびこのぼうし」が装備可能になりました。
太字強調は引用者による
今回の検証では、僧侶に関しては一切触れませんでした。アプデ対象ではありませんが魔法使いも同様です。
アプデ前プレイで僧侶や魔法使いを使ってなかったので私には検証できないという話ですね。あと、普通に4人の枠に入り切らなかったんで……
僧侶については、アプデ前に「やまびこのぼうし」が魔法職で唯一装備できないという明らかな弱点があり、(もともと賢者の下位互換的な立ち位置であったのもあって)戦士以上の不遇職として扱われていました。
が、やまびこのぼうしが装備できるようになったことで、ここはようやくながらマシになったと言えるでしょう。
とりあえず初期職業として魔法使いと比較するならば、序盤からグループ攻撃のバギが使える上に、被ダメージが増えた中でも防御力的に安定しているという点でアプデ後の優位性は増えたでしょう。バギ系は比較的耐性持ちが少ないことで知られていますので、HD-2D版ではアスペクト比16:9の横長になって敵の出現数が増えた中で、超序盤のレベル4からバギを使える僧侶の安定感は魅力のはずです。
アリアハンが勇者でブーメラン投げれば終わるというバランスではなくなったことも、パーティメンバーとしての僧侶の仕事を与えてくれているハズです。
また、ちからとみのまもりが高いために、物理職のような仕事をすることもアプデ前よりやりやすいはずです。ピラミッド地下のような魔法が使えない場所でも活躍できますね。
余談ですが、本作では「りりょくのつえ」が「くさなぎのけん」の70を大幅に超える96という攻撃力に強化されました。MPを消費するとは言え微々たるものなうえ、(転職は必要になりますが)特技にも反映されるためにかなり強力です。
僧侶を純回復役として見た場合は、魔物使いが「いやしのうた」や「けづくろい」を使えてしまうのはアプデ前と代わりません。が、被ダメが増えたので安定を求める場合に仲間に入れておくのはアリでしょう。
ホイミなどの回復手段は「けづくろい」などと違い移動中に使用できるため、初心者ほど重宝するかもしれません。
……が、中盤以降を考えると……賢者は転職が前提の職業なので、賢者はドラクエ3唯一の上位職だと割り切るべきなのかもしれません。
やまびこのぼうしを装備できるようになり、ベホマラーの回復量を補えるようになって賢者より堅牢な回復役となれる可能性はありますが、はたして。
……有志の検証、お待ちしております。
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