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ドラクエ3HD-2Dの戦闘システムの「不備」を指摘する


2025年6月16日追記:
こちらはアプデ前(初期バージョン)のHD-2D版に対する評価記事です。
2025年5月23日に行われたアップデート後の調整については、以下の記事をご覧ください。

(追記ここまで)




スクエニ社より、HD-2D版ドラゴンクエスト3のプレイ後アンケートへの呼びかけが始まっています。
このアンケートの答えにくさも含めて、本作についてはかなりの批判的な感想が集まっている現状なのは、皆様もご存知のところでしょう。



一方、本作を大いに絶賛する方々もSNS上で確認できます。要は本作は大きく賛否が分かれる作品となったのですが、それにしても絶賛と絶望というレベルで評価が両極端な評価になっているのは気になるところです。私は絶望に近い感想を抱いた人間ですが、一方で手放しの絶賛も散見されます。

これには、世代の差以外にもなにかカラクリがあるのではないか――そして本作の極端な戦闘システムが雲泥のプレイ体験の原因であるという可能性に気づきましたので、筆を執った次第です。

ネタバレ注意

本記事はその性質上、直接的または間接的にネタバレ的な内容を含みます



世間的な評価についてのおさらい

たとえばnoteでは、本作についての感想をいくつも見つけることが出来ます。さすがは有名作品。

また、IGNなどの大手メディアでもレビューが挙がっています。

これらの感想を概ねまとめると、ストーリーの追加とグラフィックはよかったけどそれ以外特にゲーム性は死んでるとなります。もっというと余計なことすんなという論調が強めです。

また、魔物使いに関しての感想が多めです。まぁそりゃそうか
一方で、戦闘バランス自体に関しては「良い」という評価はあまり見ないにしても、特に触れない人から一番の問題点と挙げる人まで、比較的評価に幅があります
これは何故なのかを詳述するのが、この記事のキモです。


これまでのドラクエの戦闘システム

まずは従来のドラクエの戦闘システムを、特に物理攻撃のダメージ計算の部分で分析してその巧妙さを解き明かしてみましょう。

王道を往く計算式

FCファミコン版、SFCスーパーファミコン版のドラクエ3をはじめとして、ドラゴンクエストシリーズのナンバリングタイトルでは、概ね同じような戦闘システムが採用されています。特に大きな特徴としては、ターン制であることと、ダメージ計算に俗に言うアルテリオス計算式の派生を採用していることが挙げられます。

アルテリオス計算式とは、単純に言えば「攻撃力-防御力=ダメージ」として攻撃ダメージを計算できる式のことです。ドラクエシリーズではこれを調整して、多くでは以下のような計算式としています。

自分の攻撃力÷2-相手の守備力÷4=基本ダメージ

伝統的な物理ダメージ計算式

ナンバリングによって異なりますが、攻撃力は「ちから+武器の攻撃力」、守備力は「みのまもり+防具の防御力」として計算されることが多いです。また、主に物理攻撃の計算式として用いられています。

これはRTAなどの攻略において、ちからを2上げるとダメージが1増えるし、防御力を4上げるとダメージが1減るという形で攻略の目安にもされています。
実際にはここで算出されるダメージに乱数をかけてダメージに幅をもたせたり、弱点や耐性などの増減を司る要素があったりするのですが、シリーズを通してこの計算式自体は大きく変わらないとされています。

FC&SFC版ドラクエ3では、厳密には上記と異なる計算式を用いています。
(自分の攻撃力-相手の守備力÷2)×(乱数÷256)=基本ダメージ
ここで乱数は99~153なので、最終的にはいつもの式とほぼ同じです。


メタル系が「かたい」理由

王道を征く計算式には大きな問題があります。
攻撃力が低すぎるとダメージがどう頑張ってもマイナスになってしまうのです(具体的には「攻撃力が防御力の半分より低い」という場合)。

ドラクエにマイナスダメージはないので実際には0ダメージか1ダメージにされるという処理が入ります。
……そう、メタル系に攻撃を仕掛けたときのアレですね。
FC版ドラクエ3では、はぐれメタルの防御力が1023と脅威の数値で倒すのに苦労する仕掛けになっていました。FC版ではちからが255までしか伸びないので、最強武器のおうじゃのけん(+120)を装備しても攻撃力は375。1023の半分にはどうしても届かなかったからです。

なお、近年のドラクエではメタル系にはメタル系専用の計算処理が用いられるようになっています。メタル斬りなどの特技が導入された関係ですね。

この「攻撃力による足切り」はメタル系に限った話ではありません。なんなら、味方から敵への攻撃に限った話でもありません。
久しぶりに訪れた序盤のフィールドでスライムの攻撃が味方にまったく当たらないという現象も、自陣の防御力の成長でスライム側の攻撃力が足切りラインを超えられなくなった結果として起こります。

つまりドラクエの成長と戦闘とは、足切りラインを巡った攻防でもあり、一定の防御力さえ備えられれば急激に難易度が下がるし、一定の攻撃力がなければ泥沼化するということも示唆しています。つまりドラクエのゲームバランスとは、敵側と味方側の足切りラインをうまく調整してやるということと強く関連しています。
「ちから」はレベル=経験値によって、武器は攻略上の到達場所(武器屋や宝箱)によって変動しますから、ストーリー進行とこれらは密接にリンクする必要があります。出現するモンスター等とバランスを取ることがドラクエにおける難易度調整です。

……とはいえ、プレイヤーによって進め方は千差万別です。RTAや縛りプレイでは足切りラインを大幅に未達のこともあります。それでも「レベルを上げる」以外の打開策があるのがドラクエという作品の奥深い部分であり、広い遊びの幅をもたらしている部分です。
低レベルであっても強敵を切り崩せる巧妙な仕掛けがあるのです。

それでも強敵に挑める

ドラクエにおける難易度調整の勘所である足切りラインの調整ですが、実は戦闘中に足切りラインを直接的に操作する呪文があります。ルカナンスクルトです(もちろんルカニスカラも)。

攻撃力と守備力の数値が問題になるなら、それを加減算で直接操作してしまえばいいわけですね。

SFC版バラモス(守備力200)を想定した際のダメージ変化
ルカナンは現在防御力を半減、ルカニは防御力を初期値の100%ぶん減らす

SFC版バラモス戦を想定したこちらのグラフ。
通常時の足切りラインは攻撃力100で、攻撃力200あれば50ダメージくらいが出るということを示しています。
一方、ルカナンを1回かければ敵の守備力が半減するので、攻撃力100でも20ダメージ強くらい出るようになります。守備力が半減することで足切りラインが50くらいまで下がるからです。

足切りラインを超えるか超えないかが争点になるならば、そのラインを上げたり下げたりできるこの呪文の有用性は言うまでもありません。
特に初期シリーズ作品(SFCドラクエ3も)では相手の防御力をゼロにもできるので、どれだけ低レベルでもダメージを通せるという保証でもあり、伝家の宝刀でもありました。上のグラフの水色の線ですね。

また、この逆を出来たのがスクルトです。重ねがけで上限まで防御力を上げられるため、物理ダメージを大きく軽減することが出来ました。
が、それゆえにいてつくはどうを食らうと大変なことにもなるので、はどうを打てるラスボスなどが格別の存在感を示すという理由にもなっていました。
シリーズで初めて「いてつくはどう」を放ってきた記念すべきモンスターこそ、ドラクエ3のラスボスにして大魔王であるゾーマ様です。

さらに、ドラクエ3では武闘家が会心の一撃を多く放つという特性があります。これは「いてつくはどう」へのカウンターでもあり、防御力を無視したダメージを与えられるというのが特徴です。
バイキルトが乗らないという弱点こそありますが、どんな強敵に対しても攻撃を通せるという重要な要素でもありました。

ドラクエ3をベースにした漫画/アニメ作品「ダイの大冒険」でもこの点は意識されており、武闘家に転職したマァムは平時の活躍よりむしろ一撃による打開を発揮する場面が多くありました。
防御力に関係なく一撃見舞える閃華裂光拳が大魔王バーンに刺さったことも印象的です。

バイキルトの仕様

ここからはちょっとした補足になりますが、ダメージ量を操作する呪文として同じく有用であるバイキルトについて説明しておきます。

倍斬るとバイキルトいうイメージが先行するので攻撃力を倍にする呪文という勘違いが多いのですが、シリーズ作品でその仕様を採用しているのはドラクエ5だけです。
少なくとも原作ドラクエ3では「与えられるダメージ量」を倍にしています。言い換えると、ドラクエ3ではバイキルトは足切りラインの操作には一切寄与しません

そのため、カスダメージしか通らない相手に攻撃する際は、バイキルトを選択してもあまり役に立ちません。ルカニで相手の防御力を下げ、足切りラインを大幅に下げることが先決になるのです。

逆に攻撃力自体を2倍にしてしまうと足切りラインを大幅にぶっちぎるのでダメージインフレが発生しやすくなります。実際にドラクエ5はシリーズ屈指の物理偏重ゲーと評されることがあります。

ルカナンは2からの登場ですが、バイキルトもルカニもドラクエ3原作から初登場しました。この時点で各呪文とも上記のような仕様であり非常によく練られており、ドラクエ3がシリーズにおいて基礎を築いた偉大な作品であることが戦闘システムから見てもよくわかるかと思います。

その「リメイク」作品でもあるHD-2D版ドラクエ3も、さぞ遊びの幅の広い戦闘システムを――
でも、そうはならなかった。ならなかったんだよ勇者。


HD-2D版での変更点

この記事の核心になりますが、HD-2D版では原作とはダメージ計算式が大きく異なっています。それが何を引き起こしたのか分析していきます。

ルカニの仕様変更

先述の通り、原作ではルカニ/ルカナンは相手の防御力を下げることで戦闘バランスの要となる足切りラインを操作することが出来ました。HD-2D版ではそうならなくなりました

ハッキリと書いてあるのに

ゲーム画面上ではルカニについて防御力を下げる呪文とありますが、これは正しい説明ではありません。実際にはダメージ量をn倍にする呪文となっています。
バイキルトと似た効果になったということですね。重ねがけをすると倍率が少しずつ増えていきます。いや防御力下げてないじゃん

HD-2D版バラモス(守備力340)を想定した際のダメージ変化グラフ
横軸は攻撃力(ちから+武器攻撃力)、縦軸はダメージ量
ルカナンは重ねがけで最終ダメージを1.25,1.35,1.45,1.6,1.7,1.8倍する

先程と同様に、有志によって求められた本作でのダメージ計算式にしたがって算出したバラモス戦の予測ダメージがこちらのグラフです。
足切りラインが動かないので、カスダメージしか出ない状況を覆すには攻撃力を上げるしかないことになります。しかし本作でもバイキルトはダメージ量の倍加でしかないので、攻撃力側を操作することは出来ません(強いて言えば装備の変更)。

じゃあ戦闘外で解決するかというと、武器を新調したらあとは「ちから」を上げるしかなく、ちからのたねには限りもあるのでつまりレベルを上げる以外もうどうしようもないということになります。
目安として攻撃力230で通常ダメージが50程度、ルカニで70程度になると推測できますので、本作では「ちから」の上がりが悪い性格がどれだけ不利なのかがわかりますね。やめたら? 性格での成長補正システム。


「とくぎ」の威力

いやいや、特技があるでしょう。なんで通常攻撃にこだわるんだ老害。
そう言いたいお気持ちはとても良くわかります。

ですが、今作では物理系の特技威力もルカニやバイキルトと同様の倍率補正で算出されます。つまり、上述の足切りラインの話は何も変わりません。
なんで攻撃の威力自体が上がらないんだ
なお「かまいたち」や「石つぶて」のほか、ブレス系の特技は呪文系の計算式を参照します。石を投げるけれど物理攻撃力は無関係です。

「うんのよさ」補正

さらに悪材料として、HD-2D版では「うんのよさ」によって取りうる乱数補正の値域が変わるようになりました。またこの「うんのよさ補正」は、最終ダメージへの補正ではなく計算式の途中に入り込むタイプの乱数となっています。
言い換えると、足切りラインを左右するものになっています。たとえば「うんのよさ」が『悪い数字』だった場合には、先ほどのグラフはこのように「下振れ」することになります。

先ほどのグラフと同条件で「下振れ」になったときのダメージ変化グラフ。
HD-2D版ではうんのよさによって乱数値の取り幅が違うため、
うんのよさの数値が悪く、かつ乱数でも最低値を引いたときの結果となる。

見ての通り、攻撃力が200を超えないとダメージが出ないケースが出てきます。攻撃力が230程度だと、下振れれば通常ダメージが25くらいルカニでも40くらいしか出せないことになります。これはドラゴンキラー装備ならちからが150程度なので、バラモス到達時にあり得る想定の範囲です。
また言うまでもないんですが、バラモスより後の敵はもっと守備力が上がります。終盤でせいぜい1桁か2桁前半ダメージという数字を目の当たりにすると、物理攻撃は役に立たないと思うのも無理はないでしょう……


スカラが打ち消せない

ルカニが変更された一方で、スカラ/スクルトの効果は据え置かれ、防御力の実数値を操作するものになりました。厳密にいうと加算ではなく乗算になったようですが、まだ小さな変更と言っていいでしょう。
めでたしめでたし……

ではないのです。別系統の呪文として設定されたことで、スカラで上がった防御力をルカニで下げられなくなってしまいましたし、逆もまた然りです。スカラで足切りラインが一度上がったらルカニでは下げられない宿命を負いました。蟹と亀がヤバい
数ターンを耐えるか武闘家Lv43~の「いてつく波紋」を当てない限り、物理ダメージが激減してしまいます。

また別の問題点として、自分たちがスカラを使うとダメージ量が大きく下がるということがあります。敵側はブレスや呪文など多彩な攻撃を放ってくるので一筋縄では行かないとはいえ、物理攻撃のダメージが大きく減ればなんとか喰らいつけてしまうことが増えます。
すると、ダメージは通せないがこちらも耐えられるゆえに戦闘が泥沼化するというバランスが完成する可能性があります。悪いことにスクルトもターンで切れるのでスクルト維持で泥沼が深くなるのですが。


武闘家の会心率

会心の一撃は相手の防御力を無視できるものであり、足切りラインの上下や凍てつく波動に対するカウンターと先ほど書きました。

しかし本作では、武闘家の会心発生率も原作より大幅に下げられています。たしか最大で6%だったかな?  しかもレベル上昇で変動しません。
会心必中があることとバランスを取るという意図かもしれないのですが、覚えるのがLv47~と遅いうえにMP消費が64という武闘家にはあまりに酷な設定となっています。
というかベホマズンの62を超えて本作最大のMP消費を誇っています。ラスボス戦でも何発打てるかなという。

「夢の大技」の代償はあまりにも重い

足切りラインの調整が難しい一方で会心発生率も抑えられているため、一発逆転を狙うのもなかなか難しいといえます。まぁ会心が発生しても魔物使いの1ターンと比べて雀の涙しか出ないという問題があるのですが……


魔物使いの存在

そんなわけで最大の問題児である魔物使いにメスを入れましょう。この方のnoteでも書かれている通り、コレ以外を使うなと言わんばかりな理由をまとめておきます。

まもの呼び

なにはともあれ、特技「まもの呼び」です。その効果は以下の通り。

  • モンスターの群れを呼び出し、防御半無視無属性ダメージを敵全体にランダムに4回分与える(消費MP8)。保護モンスターの数によって威力がアップする

防御半無視というのは、呪文系と物理系のダメージ計算式を一部ずつ参照するというのを便宜的にそう書いています。まぁ概ね防御無視と考えてよく、それゆえ足切りラインのことを一切考える必要がありません。その意味では会心の一撃と同じ特性です。
また、無属性であることから軽減もされません。撃ちさえすればダメージが確約されます(いちおうミスは起きますが)。

さらに、ストーリーの進行とともに火力が増します。防御無視なので増加した火力は直接ダメージに変換されますし、多くのボスは単体なので4倍ダメージが入ることになります。まぁ弱いわけはありません

呪文との比較

呪文や一部の特技(石つぶてなど)のダメージ量は、単純に言えばその呪文に設定された威力と同等の値を与え、防御力を参照しません。乱数を除けば固定ダメージであり、つまり防御無視なのでこれもある意味で会心の一撃と同じような特性といえます。

序盤で石つぶてが妙に強いなと感じるのもこの特性が原因です。
要するに魔法使いLv11~MP5イオに相当する全体攻撃を商人Lv5~MP3で使えるので(ダメージは3程度低いようですが)。

しかし、呪文の威力はほぼ変動しません。かしこさによって多少は変わるのですが、メラで物足りなくなったらメラミを使えという仕組みですね。
一方でまもの呼びは威力が変わる一方で、MP消費は据え置きです。しかも基礎威力もどうやら呪文より高いと見えます。

私の場合は終盤なら140×4=500弱ダメージを毎ターンコンスタントに与える活躍をしてくれました。さらに魔物使いは無駄なくビーストモードという2回行動自己バフを覚えてくれますので、転職無しで1000ダメージ弱を毎ターン叩き出す職業へと落ち着きます。
余談ですが勇者のギガデインは200前後をMP30で与えてくれます。

また先述の通り、足切りにより物理攻撃職は息をしていません……


それにしても雑では?

というわけで、魔物使いが非常に強いのですが……

  • とおぼえ」はオオカミの群れを呼び出し、防御無視10~20ダメージを敵全体からランダムに4回分与えてくれます(消費MP4)。

  • まものよび」はモンスターの群れを呼び出し、防御無視(可変)ダメージを敵全体にランダムに4回分与えてくれます(消費MP8)。

「とおぼえ」の次に覚える攻撃技が「まものよび」です。モンスター集めをきちんとやれば、ダンジョンひとつ分ない程度の時間差で手に入ります。
これ「とおぼえ」覚える必要ある?

メラとメラミやヒャドとヒャダルコは、それぞれ燃費の違いと威力の違い、また次を覚えるまでのレベルが遠いことで下位呪文の存在意義がありました。
しかし、とおぼえはそういうジレンマとは無縁です。序盤はMP消費という点で意味がありそうに見えますが、そもそも序盤はしょっちゅうレベルアップでMPが全回復してしまうので……

うん。オオカミくんはとりあえず泣いていいよ🐺


これは評価にどう繋がったか?

ここまで色々と見てきましたが……魔物使いというかまものよびが非常に優遇されている一方で、物理攻撃や特技の肩身が極端に狭くなっています。
本作の評価が絶賛と絶望というレベルで大きく異なった理由として、私はこの戦闘システムが大きく貢献?したと考えています。

負の連鎖という罠

本作で評価が割れた大きな理由として、慣れているプレイヤーほど足切りに引っかかりやすい設計が背景にあったと考えています。
多いですが列挙すると……

  • ストーリーの流れを把握しているために戦闘回数が少なくなり、レベルが上がりにくい

  • 最初から「しのびあし」を狙って習得するため、戦闘回数が少なくなりレベルが(以下同文

  • ダンジョン構造が丸見えで、宝箱の位置さえ把握していれば素通りになるため(同文

  • メタル狩りの聖地も把握しており、通常戦闘を避けがちで(

  • 慣れてればほぼ間違いなく「いばらの道だぜ」を選ぶのでレベルがとても上がりにくい

  • 「いばらの道だぜ」の経験値減少補正が割合式なので、終盤へ行くほどに経験値不足が顕著になる

  • おまけにAIが賢くなくMPをバカスカ使うため、レベルアップ回復に期待しづらい後半ほどMP節約のために戦闘を避けがち

  • というか、ただでさえ同時出現数が増えた雑魚雑に妨害行動をばらまくようになったうえに行動回数も雑に増えたので事故りやすいし雑魚と戦う旨味が少ない

  • 戦闘スピードの超はやいがあまりはやくないので、遅延行動をしてくる敵を相手するモチベが維持できず逃げの選択を取りやすい

  • しかも逃げに失敗してもオートセーブがあるので前の戦闘の場所からノーリスクで復帰できる。前の戦闘で逃げていたとしても。

  • バトルロードの賞金が法外かつ、キラキラやひみつの場所で装備も全部揃うので買い物もせず、ゴールドが大量に余るので戦う理由がない

既プレイヤーやゲーム慣れした人ほど低レベルでボス戦に挑む条件が揃っています
従来作なら足切りラインをルカニや会心で打開できましたが、本作ではレベルを上げる(ちからを上げる)以外の解決策はありません。なのに、耐えるだけなら耐えられるから適正レベルは満たしていると勘違いしてしまいます。

また上述のように足切りラインとの乖離が大きくなる終盤に雑魚戦が急激に厳しくなる負のスパイラルに陥りますが、これを専門用語でダメージインフレといいます。一般的にゲームバランスを考えるときに最初に除外すべきとされるものです。

本作はちいさなメダルの報酬が追加されていることもあり、アリアハン脱出まではチュートリアルと言えるほど難易度が低くなっています。ブーメラン投げてるだけで勝てる
当然のように「いばらの道だぜ」を選択した私も、序盤これで大丈夫か(簡単すぎないか)と感じつつ、そのままゲームを進行したのですが……


理不尽な雑魚戦

本作の雑魚戦は数の暴力がすさまじく、「かえんムカデが3匹出たらひのいきを6発食らって壊滅した」みたいなことがよくあります。防御無視全体ダメージのブレスをフバーハ唱える前にやられるとどうしようもありません。
根本的な対策は「殺られる前に殺る」または「そもそも戦わない」のいずれかです。

HD-2D版では今までが4:3だった画面比率が16:9になったことをフルに活かしたかったのか、あまい息を吐くキノコが原作以上の大所帯で襲ってくるなど妨害行動をコレでもかと押し付けてきがちです。
さらに困ったことに何故かパーティアタックができないために仲間を殴って睡眠や混乱を解除できません。

パーティアタックができないのは、これもまたスマホ版以降の仕様であるらしいのですが……ザメハやツッコミを使えという話なのでしょうけれども、原作で出来ていたことを単純に削られると「なんで?」という気持ちは正直拭えません。
特に原作ドラクエ3ではラスボスに関してある重要かつ意図的な仕掛けがあるので、その要素を削ったことには戸惑いが大きくあります。
そこまでして削る必要あった? そんなに難しい実装じゃないよね? まさか面倒だから削っただけなの?

本作における雑魚戦は、せいぜい3発の攻撃しか飛んでこないボスより囲んで殴ってくる大群という意味で遥かに厄介です。
しかもこれは先述のレベルが上がりにくいという話と関連し、ゲームを進めるほど理不尽を押し付けられる=ク○ゲー化してしまうという感想をプレイヤーに与えるのだと思います。

実はSteamでの評価を見ていると、リリース直後より数日経って以降のほうが低評価が増える傾向が確認できました。要するにクリアしたか終盤に差し掛かったあたりで心が折れた可能性が高いという意味で、ある程度この説の補強はできるのではないかと思います。

メタル狩りの弱体化

そして影のMVPでもあるのがメタル狩りの難易度が上がったことでレベル上げがスムーズでなくストレスフルな部分にあります。

  • 会心必中を覚えないと会心率が心もとない武闘家をLv47~にあげないと会心必中を覚えられないため、服を買いに行く服がない状態からスタート

  • その会心必中も消費が重いのでMP補充のため稼ぎの中断を余儀なくされる

    • 他のぼうけんのしょから武闘家を連れてくる手を半分塞がれている

  • 混乱した敵の同士討ちによるダメージ計算が変更となったため、メダパニや「どくがのこな」で確殺する戦法が封印

  • ピオリムの弱体化ドラゴラム状態での先行が困難になり、はぐれメタルの62.5%の逃走率を2ターンお祈りする必要が発生

アサシンアタックなどの確率即死手段が増えたり素早さで先行が取りやすくなった点を差し引いても、はぐれメタルがガンガン逃げるさまを眺めざるを得ず、ドラゴラムで複数体を焼き払える爽快感もありません。完全に作業ゲーなのです。


レベルさえ上げれば……?

単純にビーストモードを併用したまもの呼びだけでも、裏ボスを制限ターン内に倒すことは可能とされているようです。というかこれが正攻法とすら示唆される始末。
しかし一方で、ある程度以上にレベルを上げて足切りラインがまったく気にならない程度に成長すると、今度は別の手段で味方側のダメージ量が一気にインフレします

ヒュプノスハントは眠りや混乱している相手に通常攻撃の約6倍のダメージを与えます。バイキルトがかかっていればさらに2倍
たとえば通常攻撃で100ダメージ出せるようになったなら、バイキルト+ヒュプノスハントで1200ダメージ以上を出せるわけです。もちろんビーストモードになれば2400ダメージです。
さらに、はやぶさのけんで2回攻撃しつつ100ダメージが出せるようになれば、4800ダメージ。つまり48倍にまでなります。
また、ルカニも倍率計算で1.2~1.8倍になっているので……

もちろんこれは基準値となる攻撃力を確保し、足切りを大きく超えた場合の話です。そうでなければ「ゼロを何倍してもゼロ」なので、低レベル攻略や打開などには一切使えません。元が10ダメージでは、24倍でも240ダメージにしかならないのです。

というか、ヒュプノスハントは過去作においてラリホーが効きにくいことと相手の睡眠を必ず解除するというデメリットの代わりに超ダメージを与えるロマン技でした。なんでラリホー手段が豊富でしかもよく効くゲームバランスで睡眠を解除しない仕様にしちゃったんですか?

本当に睡眠を解除しないかどうかは確認していませんが、少なくとも私はヒュプノスハントが睡眠を解除したシーンに出くわしたことがありません。当然の権利のように複数人が同一ターンに2回ずつぶち込めます。

何故この話をしたかというと、今作は「まものよび」か「ヒュプノスハント」withラリホー以外の価値を露骨に地に落としているのが問題なのです。

「地に落としたんじゃなく、たまたま落ちちゃっただけだ」って? それを「バランス調整を放棄した」というんですよ。
発売元が調整しなかったら他に誰が調整できるっていうんですか
あっMODかぁ!


まとめると

戦闘システムだけを追ったとしても、やはりストーリーこそ良かったけど追加要素と称して余計なことすんじゃねぇという皆さんのレビューと概ね同じ結論へと収束します。
ただ強いて言えば、「楽ちんプレイ」と「いばらの道だぜ」では難易度の差とかいうレベルではなくゲーム体験というレベルでの格差が生じる調整であったのではないかと推測できます。はい、わかりやすく言えば難易度調整すら雑だということです。

これを現代人向けとかライト層向けと称してよいのでしょうか?
私は否であると断言します。ライト層向けというのはライト層以外の人がプレイして不快に感じるものという意味ではないでしょう。ライト層がプレイして楽しいというもののハズです。

ていうか、本作についてスクエニ社は一言もライト層向けとは喧伝していません。それなのに期待して買った人の多数が残念や不快に思うというのは商品として(商品を売る企業の姿勢として)どうなのでしょうね?
私達はそういうレベルの話をしています

本作は非常に売れているようです。そりゃまぁプレイしないと文句も言えませんし……しかしスクエニ社の歴史を紐解けば、FF8という反面教師を忘れたとは言わせません。


そんなわけで、本作の戦闘システムについて触れました。
これで本作に関しての問題点の指摘の一部が終わりました。
もちろん戦闘以外のシステムや演出についても山のように問題点があります。

いい加減記事も長くなりますので、今回はここで締めまして、明日辺りにそれ以外の部分をアップしたいと思います。
今年の不満、今年のうちに。

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