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「いる必要がない」と大統領が言った19日目

前回、「問いの中に、日本の名前が入った」と書いた。

19日目。問いは答えを出す前に、次の問いに上書きされた。


ドバイ国際空港が止まった

3月16日未明、イランのドローンがドバイ国際空港(DXB)近傍の燃料タンクに着弾した。大規模な火災が起き、全便が運航を停止した(Reuters、Washington Post、Al Jazeera、Gulf News、Jerusalem Post、UPI)。

DXBは年間旅客数で世界最大級の国際ハブ空港だ。ドバイメディアオフィスは「drone-related incident」とだけ発表した。負傷者なし。民間防衛が鎮火した後、一部便が再開したが完全復旧には至っていない(WAM=UAE国営通信、Euronews)。振り替え先はマクトゥーム国際空港(DWC)。同日、フジャイラの工業地帯でも再びドローン攻撃が報じられた(Al Jazeera live blog)。

ドバイだけではない。ISWの3月15日夜版報告によれば、イランのドローンがクウェート国際空港とアリ・アル・サレム空軍基地にも着弾した。空軍基地では航空機シェルターが損傷している。クウェート軍は14機のドローンを検知し8機を迎撃したが、3機がインフラに着弾、3機が空き地に落ちたと発表した。

3月14日にフジャイラ。16日にドバイ空港。その間にクウェートの空港と空軍基地。湾岸の空港が次々と標的になっている。

ドバイ国際空港が止まるとは、世界中の乗り継ぎが止まるということだ。ビジネス、観光、出稼ぎ労働者の帰国便。戦争が「遠い国の話」でなくなる瞬間がある。出発ボードが全便キャンセルに変わったとき、それは届く。

「いる必要がないかもしれない」

同じ3月16日。トランプがエアフォースワンの機内で記者団に語った。

“You could make the case that maybe we shouldn’t even be there at all, because we don’t need it. We have a lot of oil.”
「そもそも我々がそこにいる必要すらないかもしれない。我々には大量の石油がある」

WSJ、HuffPost、Reuters、AP、CNBC、Euronews、Heather Cox Richardsonが報じた。HuffPostの見出しは「Stuns(仰天させる)」。

同じ日、同じ口からもう一つの発言が出ている。

AP、CNBC、NBC、Euronewsによれば、トランプは「約7カ国に艦船派遣を要求した」と明かした。「協力してもしなくても、我々は覚えている(We will remember)」。国名は公式には伏せたが、先行報道で日本、中国、韓国、英国、フランスが名指しされている。

「7カ国に軍艦を出せ。出さなければ覚えている」と脅した同じ日に、「そもそも俺たちがそこにいる必要がない」と言った。

Xの日本ユーザーが書いていた。「人の家に放火して、『自分の家だろう、自分で消すのは当たり前だ』」。

2月28日にイスラエルと共に奇襲攻撃を始め、ハルグ島を爆撃し、ホルムズ海峡を事実上閉鎖させ、原油を100ドル超に押し上げ、ドバイの空港を燃やすきっかけを作った当事者が、19日目に「我々には関係ない」と言い始めた。

この人物の言葉のどれを信じて、高市首相は19日にワシントンに向かうのか。

高市首相、3つの「ない」

3月16日午前、参議院予算委員会。高市首相は3つの「ない」を並べた。

「米側からまだ求められていない」(読売新聞、毎日新聞、Reuters Japan、47NEWS、日テレNEWS)。

「イラン攻撃の国際法上の法的評価を議論するつもりはない」「事実関係を把握する立場にない」(読売、毎日、時事通信、FNN)。

「護衛艦派遣は一切決めていない」(朝日新聞)。

そのうえで「日本独自として何ができるか検討を続けている」「日本の法律の範囲内で、必要な対応を行う方法を検討中」とだけ述べた(Reuters Japan、FNN、共同通信)。

前日、石破前首相がフジテレビで「まず米国のイラン攻撃が合法かどうかから始めないと話が前に進まない」と発言している。高市は法的評価を正面から退けた。「議論するつもりはない」。合法かどうかを問わない。問えば、答えが出てしまうからだ。

「まだ求められていない」は時間稼ぎの最後の壁になっている。トランプはTruth Socialで日本を名指しし、テレビで「7カ国」と言い、エアフォースワンで「覚えている」と念を押した。だが公式の外交チャンネルで正式に要請したかどうかは確認されていない。高市はその一点にしがみついている。

19日まであと3日。正式に「求められた」瞬間、この壁は消える。

ロシアがドローンを送り始めた

3月15日、ウクライナのゼレンスキー大統領がCNNで語った。「ウクライナの情報機関が100%確認した。イランはロシア製のシャヘド・ドローンを、ロシアの部品が入ったものを、米軍基地と湾岸諸国への攻撃に使っている」。ロシアがイランと情報(intelligence)も共有していると付け加えた。

ISW(戦争研究所)の3月15日夜版報告が裏付けている。ロシアは2023年からイランの設計をもとにシャヘドを国内生産し、改良も加えた。ロシア版シャヘドにはVerba携行式防空ミサイル(MANPADS)が搭載され、迎撃機への自衛能力が追加されている。イランは2025年12月にロシアからVerba 500基と9M336赤外線誘導ミサイル2,500発を購入した(Financial Times 2026年2月報道)。

これまでロシアの支援は「情報共有」と「戦術的助言」にとどまっていた。ドローン本体の提供をISWは「notable shift(顕著な転換)」と書いた。物的支援への一段階の格上げだ。

ウクライナ戦争で使われたドローンが、イラン戦争で米軍基地を攻撃している。2つの戦争が兵站で繋がった。

前日にアラグチ外相がMSNBCで「ロシアと中国から軍事的協力を受けている」と公言した。言葉と行動の時系列が一致している。

セジール

3月15日、IRGC航空宇宙軍司令官マジド・ムーサヴィ准将が発表した。セジール(Sejjil)弾道ミサイルをイスラエルに向けて発射した、今回の戦争で初の実戦使用だと(ISW、NDTV、Economic Times、EFE、PressTV)。

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