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公表の前に、条件を置く〜遺族の緊急要望書〜 辺野古転覆事故・第55稿

八月十四日、遺族が動いた。昼、共同通信が独自の見出しで配信し、秋田魁新報の電子版などが掲載、時事、産経が午後に続いた。夜八時二十七分、遺族のnoteが更新され、要望書の原文がPDFで添付された。報道から数時間で、誰でも原文が読める状態になった。宛先は学校法人同志社と同志社国際高等学校。同じものが文部科学省にも送られている。


五つの要望

柱は五つある。検証の体制を明らかにし、中立性を確保すること。関係者への聞き取りで事実を確かめること。遺族と卒業生にも聞くこと。今の生徒の安全対策は検証を待たずに実行すること。教職員の処分は根拠を示して行うこと。そして五項の全体に、八月というめどにこだわらず、しっかりとしたプロセスを経て結果を出してほしい、という時間の要望が重ねられている。

要望が向くのは、七月三十一日の調査報告書そのものより、その先にある。報告書が対象外とした教育の適切性について、法人が別に進めている検証だ。文科省の報告書によれば、有識者による検証が行われ、八月をめどに公表される予定だという。誰が、どのような体制と方法で検証しているのか。遺族は、その詳細が分かっていない、と書いた。

一つ、報道との差を記しておく。第四項の、安全対策は検証を待たずに実行してほしい、という要望である。安全配慮義務違反の有無は特別調査委員会が既に認定しており、検証の完了を待つ必要のない対策は待たずに実行できるはずだ、と原文は述べる。今も学校に通っている生徒がいる、とも。共同、時事、産経、日経の記事は、いずれもこの第四項に触れていない。

順序の反転

文書の性質は、提出の理由を説明したくだりに集約されている。公表を待ってから意見を言うことはできる。ただそれでは、出てきたものが不十分だったとき、後から批判することしかできず、解決にはならない。遺族はそう書き、検証と報告が備えているべき条件を、公表の前に示す道を選んだ。

事後の批判から、事前の要件へ。この連載が数えてきた遺族の文書は、県議会への要望も告訴状も、起きたことへの応答だった。今回は違う。まだ出ていない報告書に向けて、先に基準を置いた。

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