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兵庫県338億円違法借換第6稿 承認の射程〜三度議決され、一度も質されなかった〜

前稿の結論は、承認は存在した、だった。490億円の借換に関わる予算議案を、議会はすべて可決していた。そのうえで、どの議案にも全体は書かれていなかった。

残っていた宿題が一つある。3.9ポイントの段差が印字された見通し表を含む行財政運営方針そのものは、いつ、どの議案として議決されたのか。そして議決した議会は、あの表を審議したのか。

今回は会議録を全部読んだ。答えを先に書く。方針は議決されていた。三度。そして三度の議決を通じて、段差が質された記録は一度もない。


二日違いの議決

2018年9月25日、第341回定例会が開会した。この定例会に、二つの議案が並んでいる。第101号議案、行財政の運営に関する条例。第112号議案、兵庫県行財政運営方針の策定。

条例が10月3日に可決され、方針は二日後の10月5日に可決された。条例が方針に議決を要求する枠を作り、その枠に方針本体をはめる。二段構えの設計だ。会派態度の記録を見ると、条例は共産党を除く全会派と無所属5人全員の賛成。方針は共産党に加えて、無所属の一人が反対に回っている。枠には賛成し、段差付きの見通し表を含む文書本体には反対した議員が、一人だけいた。後に基金と会計の間の資金の流れを一つずつ質すことになる竹内英明県議の会派は、どちらにも賛成している。

可決された方針の3ページ目に、財政運営目標の見通しの表がある。県債管理基金積立不足率の行は、2018年度23.8%、2019年度23.8%、2020年度19.9%。二年目から三年目にかけて3.9ポイント落ちる、あの段差だ。他の年度の改善幅は0.2から0.7ポイント刻みで、この一箇所だけが違う。第四稿で書いたとおり、490億円を償還せず全額借り換え、売却代金を基金に積む前提を置かなければ出てこない数字である。

つまり段差は、公表されただけではない。議決された文書に、印字されていた。

出てこない言葉

では議会は、この表を審議したのか。

県議会の会議録検索システムで確かめた。対象は2018年2月の第339回定例会から2019年3月の第343回定例会まで、本会議と全委員会。検索語は「積立不足率」。

第341回定例会の会議録に、この言葉は出てこない。本会議に、ない。付託された委員会に、ない。同じ時期に開かれていた平成29年度決算特別委員会にも、ない。段差付きの表を議決した定例会の記録のどこを探しても、表のこの行を指した発言が見つからない。

代表質問四会派の項目に方針関連はなく、一般質問で条例案と方針案を正面から取り上げたのは10月3日の共産党議員の質疑だけだった。反対した会派である。賛成した側から、見通し表の数字を質す声は記録に残っていない。

議決の前、言葉が一度だけ現れる場所がある。

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