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危ないのは、最初の5年ではない

変動金利の住宅ローンで、本当に警戒すべき時期はいつか。借りた直後だと思われている。違う。返済の最後の5年である。ここまで3回かけて集めた各行の文書から、実務として使える部分だけを抜き出す。


しわ寄せは解消される、一度を除いて

auじぶん銀行の説明書が、仕組みを最も正確に書いている。

金利が上がると、毎月の返済額は変わらないまま利息の取り分が増え、元金の返済が減る。減った分の元金は次の返済日に繰り延べられ、積み重なって最終返済期日にしわ寄せされた状態になる。

ただし、5年ごとの返済額見直しでは、この繰り延べられた元金も含めて新しい返済額を計算し直す。だから見直しのたびに、しわ寄せは一度解消される。

例外が一つだけある。最後の見直しのあとだ。

最終回の返済額変更後、引続き借入金利の引上げが行われた場合、利息の増加分だけ元金が最終返済期日にしわ寄せされるため、最終回の返済額が膨らむことになります。同行の説明書はそう書いている。

35年ローンなら、最後の見直しは30年目。そこから完済までの5年間に起きた金利上昇だけは、調整の機会がないまま最終回に直行する。年齢でいえば、35歳で借りた人の65歳から70歳である。

この時期の危険を想定している借り手は、ほとんどいない。住宅金融支援機構の調査では、今後5年間に1.0%を超える金利上昇を想定している変動金利利用者は16.4%にとどまる。5年先の想定ですらこの水準である。30年先の5年間を織り込んで返済計画を立てている人は、さらに少ないだろう。

借入直後の上昇は、実は吸収される

これを裏返すと、借入初期の金利上昇は見かけほど怖くない。

5年目の見直しで繰り延べは一度精算され、10年目、15年目にも同じ精算が来る。125%の上限に当たるほどの急上昇でなければ、しわ寄せは残らない。

125%の上限は、どのくらいの上昇で当たるのか。発動ラインは借入額・期間・見直し時期によって動くが、おおむね当初金利プラス1.5〜2.0%程度である。SBI新生銀行の例、3,000万円・35年・当初0.5%の借入で5年目の見直しなら、約1.6%の上昇で発動する。10年目の見直しなら残高が減っている分、発動には約1.9%の上昇が要る。単一の数字ではなく幅で覚えておくのが正しい。

2024年3月のマイナス金利解除から2年余りで政策金利は1%程度まで来たが、この速度でも、多くの契約はまだ発動圏の手前にいる。

なお、発動すれば無傷という意味ではない。125%で抑えられた差額分は繰り延べとして残高側に残り、次の見直しで精算されるまで利息を生み続ける。吸収されるのは「返済額の急変」であって、「負担」ではない。

問題は、上昇が返済後期に来た場合である。同じ上昇幅でも、意味がまったく違う。

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