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学校はなぜSNSで晒される前に動けなかったのか〜文科省緊急会議の本当の論点〜

栃木の事件で、動画がSNSで拡散された後、県警は「異例の速さ」で捜査を開始しました。大分の事件でも、動画拡散を受けて教育委員会が急遽説明の場を設けると報じられています。

この「異例の速さ」という言葉。裏を返せば、通常であればこれほど迅速には動かなかった、ということです。

被害者や保護者が学校に相談しても、「調査中」「双方の話を聞いてから」と時間だけが過ぎていく。SNSで世間の目に晒された途端、手のひらを返したように対応が加速する。この落差こそが、被害者や社会の怒りの根源ではないでしょうか。


「知らなかった」は本当か

学校側や教育委員会は、しばしば「把握していなかった」と釈明します。

大規模校では全生徒の動向を把握するのが困難なのは事実です。加害者側が巧妙に隠蔽していれば、教師の目が届かないこともあるでしょう。

問題の本質は別のところにあります。「知っていたのに動かなかった人」と「知る立場にあったのに知ろうとしなかった人」の存在です。

被害者からの相談、周囲の生徒の噂、保健室への頻繁な来室、成績の急落、表情の変化。兆候は必ずどこかに現れます。それを「見て見ぬふり」してきたのではないか。

「見て見ぬふり」は、積極的な隠蔽ほど悪質に見えない。だからこそ蔓延しやすい。自分の担当ではない、確たる証拠がない、騒ぎになると面倒。そうした小さな消極性の積み重ねが、被害者を孤立させてきたのです。

文科省、緊急オンライン会議開催へ

1月9日、松本洋平文部科学大臣は閣議後の記者会見で、来週にも全国の都道府県・政令指定都市の教育長らを対象とした緊急オンライン会議を開催すると発表しました。

松本文科相は「安全安心であるべき学校で暴力行為やいじめは決してあってはならない」と強調し、「顕在化していないいじめをどう把握し、対応していくかが課題だ」と述べています。

「顕在化していないいじめをどう把握するか」。まさに、ここが核心です。

現場からの悲鳴

Yahoo!ニュースのコメント欄には、現場からの切実な声が寄せられていました。

「もう教員だけでは無理でしょう。学校は警察ではないから、判断に限界があります。それでなくても、欠員補充も足りず、授業すら苦しくなっている現場もあるのですから」

「学校・教員の権限を縛ってきたのだから、これ以上学校現場に責任と負担を押し付けないで頂きたい。犯罪を調査し加害者を処分する権限は学校にはない、それは教育活動ではない」

教員不足、長時間労働、保護者対応。その上で「いじめ対応もしっかりやれ」と言われても、物理的に不可能だという訴え。これは甘えではありません。

「いじめ」という言葉の罪

コメント欄には、こんな指摘もありました。

「動画に一切の加工がなく、事実なのであれば、これをイジメと捉えることのほうがおかしいと思う。イジメとしてではなく、暴行・傷害事件と捉えるべきではと思う」

今回の事案を「いじめ」と呼ぶこと自体に違和感があります。

トイレで複数人に囲まれて殴る蹴るの暴行を受ける。後頭部を繰り返し蹴られる。これは「傷害罪」であり「暴行罪」です。

「いじめ」という言葉には、どこか「子供同士のトラブル」「成長過程での摩擦」というニュアンスがつきまとう。だから学校は「指導」で済ませようとし、警察への通報をためらう。

同じ行為を大人が職場でやれば、即座に逮捕・起訴される犯罪です。被害者が未成年だから、加害者が未成年だから、学校内で起きたから。それで罪が軽くなる道理はありません。

山形マット死事件から何を学んだのか

「山形でマット死事件が起きた際、『教育』は再発防止を誓ったのではないのか?今回の件や、各地で続くいじめはその反省が全く生きていない事を示している」

1993年の山形マット死事件から、すでに30年以上が経過しています。

その間、2011年の大津市いじめ自殺事件を契機に、2013年には「いじめ防止対策推進法」が施行されました。学校にいじめ対応の義務が課され、被害者が声を上げやすくなったとも言われています。

では、数字はどう変わったのか。

2024年の文科省調査によれば、いじめの認知件数は73万2568件。重大事態は1306件。いずれも過去最多です。

しかも、重大事態の約4割は、「重大事態」と把握するまで学校側がいじめとして認知していなかった。つまり、被害が深刻化するまで放置されていたということです。

都道府県によって認知件数に最大19倍の格差があるという調査結果もあります。法律はあっても、調査方法が統一されていないから、自治体によって対応にばらつきが出る。

法施行から10年以上。何度「再発防止」を誓い、何度「緊急会議」を開いてきたのか。そして、何が変わったのか。

学校に「教育」以外の役割を押し付けてきた社会

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