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ペンキの処理と、ごみの値段

物置の奥から、ひとつのペンキ缶が顔を出した。
10年前、DIYで使おうとしてそのまま忘れていたものだ。

「お前、長い“かくれんぼ”だったな〜」

そう言いながら手に取ると、缶はあの頃のままの姿をしている。
だが中身はきっと、時間に負けているはずだ。
分離しているだろうし、仮に使えたとしても耐久性に不安がある。
結局、使うことなく処分することにした。

ごみ袋の中にペーパータオルを大量に敷き詰め、そこへペンキを流し込む。
10年間、眠り続けていた塗料は、どこか抵抗するように缶に残った。

ゴム手袋をはめた手を突っ込み、最後までかき出す。

「ごめんな……役割を果たさせてやれなくて」

使われることのなかったペンキに、思わずそう言っていた。

あとは乾燥を待つだけ。
燃えるごみとして出せる状態になるまで、静かに放置する。


ところで、もしこのペンキが缶の中で完全に固まっていたらどうなるか?

私の住む地域では、燃えるごみにも不燃ごみにも出せなくなる。
その場合は産廃業者に依頼するしかなく、たった一缶でも数千円の出費だ。

そう考えると、今回は“まだ処理できる状態だった”から、少し救われた気がする。

最近、ごみの有料化の話を耳にすることが増えた。
確かにメリットは分かる。

ごみの削減、リサイクルの促進、費用負担の公平性。
焼却場や最終処分場の延命にもつながる。

ただ、現実の生活に当てはめると、少し違う顔も見えてくる。
たとえば我が家なら、
『生垣の剪定ごみ』が一番の悩みになる。

緑化を推進する一方で、その維持に伴うごみが有料になる。
自治体によっては無料回収やチップ化の制度もあるらしいが、地域により制度はまちまちだ。
結局のところ、「出さない努力」だけでは限界がある。

ごみ問題は、捨てる側だけを規制しても解決しない。
発生源をどうするか。
つまり、様々な製品が「ごみを出さない設計」になっているか?だ。

そこに手を入れなければ、イタチごっこになる。

たとえば、
昔ながらの蚊取り線香のような、シンプルで廃棄しやすいもの。
そういった選択肢の見直しも必要なのかもしれない。

さらに言えば、
リサイクルが常に環境に優しいとは限らない。
場合によっては、新しく作るよりエネルギーを消費することもある。
「分別すれば正しい」ではなく、
“本当に意味があるのか”を考える必要がある。

10年ぶりに見つかったペンキ缶は、
そんなことを考えるきっかけをくれた。
使われなかった資源。
そして、処分にかかる手間とコスト。
ごみは、最後に捨てる瞬間ではなく、
「買ったとき」から始まっているのかもしれない。

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