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無機質ないらっしゃいませの連呼

「いらっしゃい、いらっしゃい、いらっしゃいませ〜」

昔の八百屋顔負けの低音が、店内に響く。
しかも一人ではない。何人もの店員が、同じ言葉を連呼している。
活気のある店に見せたいのだろうか。

だが彼らは、客の目を見ない。
いや、そもそも客を視界に入れてすらいない。

その日は棚卸しと思われる作業をしながら、機械的に「いらっしゃいませ」を繰り返していた。

私にとってそれは、もはや“雑音”でしかない。
他人がする、携帯電話の通話中の言葉のようなものだ。

本来、「いらっしゃいませ」とは、来店してくれた客への感謝の言葉のはずだ。
それなのに、顔も見ず、誰に向けているのかも分からないまま連呼されても、気持ちがいいはずがない。

さらにひどいのは、録音音声をスピーカーから流している店だ。
あれはもう接客ではない。単なる騒音だ。
うるさい以外の何者でもない。

だから私は、その店には行かない。
効率を建前にした、横柄さが透けて見えるからだ。

「挨拶は大切にしなさい」と教えられてきた世代の僻みかもしれない。

それでもやはり思う。
うるさいだけの「いらっしゃいませ」は、いらない。

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