現場から見えた成長の瞬間 #04|異業種からITへ。仕事を覚える側から、運用を変える側になるまで
前職は、カフェのバリスタで接客業でした。
ITの実務経験はありませんでしたが、入社が決まってから勤務を始めるまでの約1か月で、基本情報技術者試験に合格しています。
入社後に配属されたのは、顧客の情報システム部門を支えるIT運用の仕事です。
現在は日常運用に加えて、運用に関わるプロジェクトにも参画し、複雑な業務を整理してサービスデスクへ移管できる形を作る仕事も始めています。
異業種からITへ転職した人は、何を積み重ねることで、仕事を覚える側から、運用の回し方を作る側へ進むのでしょうか。
今回の成長は、資格を取得したことや、担当できる作業が増えたことだけでは説明できません。
現場で得た知識を自分だけのものにせず、別の担当者やチームでも使える形へ変え始めたところに、役割の大きな変化がありました。
入社前から、不足している知識を取りに行く
IT企業への入社が決まった時点で、本人にITの実務経験はありませんでした。
そこで、勤務開始までの約1か月で基本情報技術者試験の学習に取り組み、合格しました。
基本情報技術者試験では、ITエンジニアに必要な基礎知識を幅広く扱いますが、資格に合格したからといって、すぐに顧客のIT運用を担えるわけではありません。
個別の顧客環境、製品、契約、業務手順は、現場へ入ってから理解する必要があります。
この資格取得から見えるのは、実務能力がすでに完成していたことではなく、IT実務が未経験であるという状態を入社後までそのままにせず、必要になる知識を先に取りに行ったことです。
分からないことがあれば、まず調べる。自分だけでは判断できなければ、何が分からないのかを整理して確認する。
この姿勢は、入社後の仕事にも続いていきました。
IT運用では、同じ依頼でも確認する条件が変わる
入社後、本人は顧客の情報システム部門を支えるIT運用管理へ配属されました。
IT運用という言葉から、決められた手順を繰り返す仕事を想像する人もいるかもしれません。
実際には、同じ種類に見える依頼でも、対象となる製品、契約、組織、利用者によって確認する内容が変わります。
何のための依頼で、どの製品や契約が対象なのか。標準手順で対応できるのか、例外となる条件はないか。誰の確認や承認が必要で、どの記録を残し、何をもって完了とするのか。
手順を正しく実行することは運用の基礎ですが、手順どおりに進められない場合には、今回の条件がどこで違うのかを見つけ、誰へ確認するかを判断しなければなりません。
本人は日常運用を通じて、個別の操作だけでなく、その背景にある業務や判断条件を理解していきました。
ライセンス管理は、一覧表を更新する仕事ではない
本人が関わる業務の一つに、ソフトウェアライセンス管理があります。
ライセンス管理は、購入した数と利用している数を一覧表で照合するだけの仕事ではありません。
どのような利用権を保有し、実際には誰が利用しているのか。申請、利用開始、更新、廃止にはどのような条件があり、製品ごとに契約や運用の違いはあるのか。必要なときに利用状況を確認できる記録が残っているか。
こうした情報を継続して管理する必要があります。
製品ごとに契約条件や手順が異なるため、扱う製品が増えるほど、確認すべき対応パターンも増えていきます。
ある製品では利用者単位の確認が必要になり、別の製品では端末や利用環境との関係を見ます。更新時に再申請が必要な場合もあれば、利用終了時に廃止処理や記録が必要になる場合もあります。
本人は、それぞれを個別の知識として覚えるだけでなく、依頼ごとに条件を確認し、標準手順と例外を分けながら対応していきました。
この経験が、後に業務を整理し、別のチームへ渡すための土台になります。
自分だけで学ばず、学ぶ場をつくる
入社前に自ら学習を始めた行動は、入社後にも続きました。
本人は学習を自分だけで完結させず、周囲と継続して学べる場として、もくもく会を企画しています。
学ぶ内容を会社から与えられるまで待つのでも、一人で抱えるのでもなく、仕事で分からなかったことを学習へ戻し、学んだ内容を次の仕事で試す。その循環を、周囲とも続けられる場へ広げました。
学習した内容は、知識として持っているだけでは仕事になりません。
目の前の依頼でどの情報を確認し、手順から外れたときに何を調べるのか。別の担当者へ、どのように説明するのか。
実務で使い、振り返り、もう一度学ぶことで、知識は現場の判断へ変わっていきます。
必要な知識が足りなければ自分で学び、自分だけで学び続けるのではなく、周囲も学べる場をつくる。
入社前の資格取得と、入社後のもくもく会は、同じ行動の延長にあります。
顧客から、継続して担当してほしいと望まれる
日常運用を続ける中で、本人は顧客から信頼を得ていきました。
体制を検討する場面では、今後も継続して担当してほしいという強い要望が寄せられています。
評価されていたのは、この人に安心して任せられる、人柄と仕事への向き合い方でした。
顧客から継続を望まれることは、顧客の業務を支える担当者として一つの重要な変化です。
一方で、本人へ依頼が集まり、その人にしか分からない仕事が増えれば、別の問題が生まれます。
本人が不在のときには対応できず、新しい担当者も業務へ入りにくい。判断の理由が本人の記憶にしか残らず、本人自身も同じ個別対応を抱え続けることになります。
顧客から必要とされる担当者になった後、その知識をどのように運用全体へ戻すのか。
本人の次の役割は、自分にしかできない仕事を増やすことではありませんでした。
日常運用の知識を、プロジェクトへ持ち込む
現在、本人は日常的なIT運用だけでなく、運用に関わるプロジェクトにも参画しています。
日常運用を知る担当者がプロジェクトへ入る意味は、現在の作業内容を説明することだけではありません。
文書上の手順と実際の業務にはどのような差があり、どの依頼で例外が発生するのか。誰へ確認しなければ進められず、変更後にはどの記録や確認が必要になるのか。
現場で日々対応しているからこそ、新しい運用が実際に回るかどうかを考えられます。
資料の上では一つの作業に見えても、実際には製品ごとの条件や担当者の判断が含まれている場合があります。
その違いを整理しないまま別のチームへ渡せば、必要な権限が足りない、質問先が決まっていない、完了条件が曖昧、複数の製品を一つの手順では扱えないといった問題が起こり、例外のたびに元の担当者へ確認が戻ります。
日常運用で得た知識があれば、こうした不足を見つけ、変更後の運用へ反映できます。
本人の役割は、自分が日常業務を正確に行うところから、運用を変更するために必要な条件を整理するところへ広がっていきました。
自分が知る仕事を、別のチームでも回せる形へ
今回の成長が最もはっきり見えるのは、複雑な業務を覚えたときではありません。
本人が理解した複雑さを整理し、別のチームでも対応できる形へ変え始めたときです。
例えば、ライセンス管理を別のチームへ渡すには、操作手順を書くだけでは足りません。
共通して確認する項目と製品固有の条件は何か。申請、更新、廃止によって手順はどう変わり、どの場面で判断が必要になるのか。どのような例外があり、担当者だけで判断できない場合には誰へ確認するのか。どの記録を残し、何をもって対応完了とするのか。
本人の中で一続きになっていた仕事を、こうした要素へ分けていきます。
サービスデスクへの業務移管も、手順書を渡して終わる仕事ではありません。
移管する業務と移管しない業務を分け、標準的に対応できる範囲を決める。判断が必要な場面を明らかにし、例外時の質問先やエスカレーション先をそろえた上で、受け入れる側が実際に業務を進められるかを確認します。
現在、本人は複雑な業務を整理・標準化し、サービスデスクへ移管できる状態を作り始めています。
以前は、自分が業務を理解し、正確に対応できることが役割の中心でした。
現在は、自分が理解している条件や例外を分解し、別のチームでも扱える運用へ変える仕事に関わっています。個別の作業を抱える立場から、運用の構造を整理し、他者が仕事へ入れる状態を作る立場へ進んでいます。
仕事を覚える側から、仕事の回し方をつくる側へ
この成長は、資格を取得したことだけで生まれたものではありません。
入社前から不足する知識を自ら学び、入社後は顧客の情報システム部門を支える日常運用を担当しました。
製品や契約、依頼ごとに異なる条件を確認しながら標準手順と例外を理解し、自分だけで学習を終わらせず、周囲と学べる場も企画しました。
顧客から継続して担当してほしいと望まれる信頼を得た後は、日常運用で蓄えた知識をプロジェクトへ持ち込み、自分が知る複雑な業務を別のチームでも扱える形へ変え始めています。
担当できる仕事を増やす段階から、仕事の回し方を作る段階へ、本人の役割は少しずつ変わっています。
ディーシステムでは、異業種から入社した社員を、決められた作業だけを行う人材として固定していません。
日常運用を通じて業務の背景や判断条件を理解し、その知識をプロジェクト、標準化、移管へつなげることで役割を広げていきます。
ただし、機会が用意されるだけで役割が変わるわけではなく、不足する知識を学び、現場で得た情報を整理して次の仕事へ使う本人の行動も必要です。
仕事を覚えるだけでなく、自分が理解した仕事を、別の人も判断し、進められる形へ変える。
現場から見えた成長の瞬間は、本人の知識が、組織の運用へ変わり始めたときでした。
異業種からITの仕事へ進むために
異業種からITへ転職する場合、入社時点ですべての知識を持っている必要はありません。
ただ、分からないことをそのままにせず、自ら学び、現場で得た知識を次の仕事へ使う姿勢は必要になります。
ディーシステムでは、日常運用から業務理解を深め、運用に関わるプロジェクトや標準化へ役割を広げている社員がいます。仕事の内容や採用情報については、採用ページでも紹介しています。
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