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顧客の未来は、市場レポートより先に現場に現れる


顧客の未来は、市場レポートより先に現場に現れる

AI、DX、人材不足。

ここ数年、経営者向けのセミナーや記事では、同じ言葉を目にする機会が増えました。実際に、企業を取り巻く環境は大きく変化しています。

2025年版中小企業白書では、中小企業にとって人材確保が重要な経営課題になっていると示されています。また、同白書では2024年の人材不足感について、中小企業の6割超が「不足」または「やや不足」と回答しています。

経済産業省のIT人材需給に関する調査では、2030年にはIT人材の需給ギャップが最大で約79万人に拡大する可能性があると試算されています。

さらにIDCは、国内AI市場支出額が2025年の2兆3,725億円から、2029年には6兆8,897億円へ拡大すると予測しています。2024年から2029年までの年平均成長率は36.0%です。

数字だけを見ると、多くの企業がAI活用やDX推進に向かっているように見えます。

実際、その通りです。
ただし、顧客の現場で聞こえてくる相談内容は、少し違います。

「AIを導入したい」という相談の奥には、もっと具体的な悩みがあります。

・知っている人がいなくなる
・業務が複雑になりすぎて整理できない
・データはあるが活用できない
・属人化した業務を標準化したい
・現場の情報を経営判断につなげたい

こうした相談が増えています。

つまり企業が本当に困っているのは、AIそのものではありません。
AIを使える状態になっていないことです。

市場レポートに出る前に、現場では変化が始まっている

市場レポートは重要です。

市場規模、投資動向、人材不足、技術トレンド。

こうした情報は、経営判断の前提になります。
しかし、私たちが約30年にわたり様々な業界の現場に関わる中で感じているのは、変化の兆候は市場レポートよりも先に現場に現れるということです。

最初は小さな相談として現れます。

「この業務、特定の人しか分かっていません」
「過去の問い合わせを整理できませんか」
「データはあるのですが、分析に使える状態ではありません」
「新人が入っても、立ち上がるまでに時間がかかります」

こうした相談は、一つひとつを見ると個別の課題に見えます。
しかし複数の顧客、複数の現場で同じような相談が増え始めると、それは市場変化の兆候です。
例えば、数年前はクラウド移行やシステム更改の相談が多くありました。その後、データ活用やダッシュボード化の相談が増えました。
現在は、生成AIの活用相談と同時に、文書管理、ナレッジ共有、権限管理、業務標準化の相談が増えています。

つまり、顧客はAIの前に、AIが参照できる情報や業務の整理に課題を感じ始めています。ここに、現場から見える未来があります。

人材不足と言われるが、本当に不足しているのは何か

人材不足という言葉は、いまや珍しいものではありません。
採用市場を見ても、多くの企業が人材確保に苦労しています。ただ、顧客と話をしていると、課題は単純な人数不足だけではないことが分かります。

本当に不足しているのは、知見です。

ある現場では、長年業務を支えてきたベテラン人材の退職が課題になっていました。問題は、その人が抜けることだけではありません。
その人が持っていた判断基準が失われることです。

・どの問い合わせを優先すべきか
・どの障害はすぐに報告すべきか
・どの顧客にはどの説明が通りやすいか
・どの運用手順には例外があるか
・過去にどのような失敗があったか

こうした情報は、マニュアルに書かれていないことが多いものです。
業務としては存在している。しかし、情報としては残っていない。
この状態が、企業の中に多く存在しています。

人材不足とは、単に人が足りないという話ではありません。

経験が引き継がれないこと。
判断基準が組織に残らないこと。
過去の失敗や改善が次の現場に活かされないこと。

ここに本質的な課題があります。

顧客が投資しているのはAIではなく、その前段階

AI市場は急速に拡大しています。しかし、実際の現場では、AIの導入そのものより前に整備すべきテーマが多くあります。
最近増えている相談は、例えば次のようなものです。

・文書管理
・権限管理
・監査対応
・ナレッジ共有
・データ整備
・業務標準化
・問い合わせ履歴の整理
・属人化した判断の可視化

これらは一見すると、AIとは別の話に見えるかもしれません。しかし実際には、AI活用の前提です。

生成AIで文書検索を行いたくても、文書が整理されていなければ検索できません。
AIで問い合わせ対応を行いたくても、過去のナレッジが蓄積されていなければ回答できません。
AIで経営判断を支援したくても、顧客情報、案件情報、売上情報、人材情報が分断されていれば、意味のある示唆は得られません。

AIに投資する企業は増えています。

ただし、成果を出す企業と出せない企業の差は、AIモデルそのものよりも、AIに渡す情報の質に出ます。

IPAのDX動向2025でも、日本企業のデータ整備・管理・流通における課題として、人材確保、データ管理システムの未整備、全社的なデータ利活用方針や文化の不足が挙げられています。
これは、まさに現場で起きていることと重なります。

AI活用の成否は、AI導入前の情報整理で決まります。

多くの企業は、すでに未来予測の材料を持っている

多くの企業は、自社には十分なデータがないと考えています。しかし実際には、すでに多くの情報を持っています。

・顧客との会話
・案件情報
・問い合わせ履歴
・業務記録
・人材情報
・評価情報
・会議記録
・失敗事例
・改善提案

問題は、情報がないことではありません。
経営判断につながる形で整理されていないことです。

例えば、複数の顧客から同じ相談が増えていたとします。
それは市場変化の兆候かもしれません。

複数の現場で同じ技術が求められていたとします。
それは次に育成すべき人材領域を示しているかもしれません。

同じ種類の問い合わせが繰り返されていたとします。
それはサービス化や業務改善の余地かもしれません。

しかし、多くの場合、こうした情報は個別の会話や報告として流れていきます。

顧客の声は営業担当者の頭の中に残る。
現場の工夫は担当者の経験として終わる。
失敗事例は一度振り返られて終わる。

その結果、企業はすでに持っている未来予測の材料を活かしきれません。

未来予測の材料は、外部の市場レポートの中だけにあるわけではありません。日々の現場の中にも存在しています。

知見は顧客提案だけでなく、人材育成にも使われる

現場で蓄積された知見は、顧客提案だけでなく、人材育成にも活用できます。IT業界では未経験者採用や若手育成が珍しくありません。
しかし、資格取得だけで現場で活躍できるようになるわけではありません。資格試験では学べないことがあります。

・顧客はどこを見ているのか
・どのタイミングで報告するべきか
・どんな問い合わせが多いのか
・障害対応では何を優先するのか
・どうすれば現場で信頼されるのか

こうした知識は、現場経験の中にあります。

ディーシステムでは、過去の現場で蓄積された情報を継続的に整理しています。

顧客から評価された行動。現場で発生した失敗。立ち上がりが早かった社員の特徴。つまずきやすいポイント。そうした情報を、新入社員や若手社員へのフィードバックに活用しています。

一人の先輩が数年かけて得た経験を、次の世代がより短期間で吸収できる状態を目指しています。

育成対象は個人です。しかし、活用しているのは組織全体で蓄積された知見です。この考え方は、顧客企業にも応用できます。

ベテランの判断をどう残すか。
現場の暗黙知をどう言語化するか。
新人や異動者が早く立ち上がるために、どの情報を整備すべきか。

これは人材育成の話であると同時に、経営効率の話でもあります。

技術知見は、人と一緒に退職させない

技術知見についても同じです。新しいメンバーがプロジェクトへ参画するとき、多くの場合は引継ぎから始まります。

業務を覚える。システムを覚える。顧客を覚える。

もちろん必要なことです。ただ、そのためには既存メンバーの工数も使われます。立ち上がりにも時間がかかります。
そこで重要になるのが、過去のプロジェクト活動から蓄積された情報です。

・どのような問い合わせが多いのか
・どのような障害が発生しやすいのか
・顧客はどの観点を重視しているのか
・過去にどのような改善が行われたのか
・どの判断がうまくいき、どの判断が失敗したのか

こうした情報が整理されていれば、新規参画者は事前に学ぶことができます。手順書だけでは分からない背景まで把握した状態で、現場へ入ることができます。
結果として、引継ぎ期間の短縮や早期立ち上がりにつながります。
重要なのは、技術知見を人に閉じ込めないことです。人が異動しても、退職しても、プロジェクトで得られた経験が組織に残る状態を作ることです。

これは単なるナレッジ管理ではありません。
企業の利益構造に関わるテーマです。
立ち上がりが早くなれば、教育工数は下がります。問い合わせ対応が標準化されれば、品質は安定します。過去の失敗を再利用できれば、手戻りは減ります。
現場知見の活用は、業務効率化であり、品質改善であり、利益改善でもあります。

AI経営インテリジェンスという発想

こうした取り組みを続ける中で、一つの考え方が生まれました。

それが、AI経営インテリジェンスです。

企業の中には、すでに多くの知見が存在しています。

顧客との会話。現場で起きた失敗。技術的な試行錯誤。人材育成の経験。案件の勝ち筋。利益を圧迫している要因。
それらは日々生まれています。
しかし、多くの場合は十分に活用されていません。

AI経営インテリジェンスの目的は、AIを導入することではありません。現場で得られた情報を整理し、経営判断や利益改善につながる形で活用することです。
例えば、次のような問いに答えられる状態を目指します。

・どの顧客で相談が増えているのか
・どの業務領域に新しい需要が生まれているのか
・どの案件で利益が残りにくいのか
・どの人材がどの現場で活躍しやすいのか
・どのナレッジを整備すれば立ち上がりが早くなるのか
・どの業務を標準化すれば工数を削減できるのか

これらは、外部の市場レポートだけでは分かりません。自社の中にある情報を見なければ分かりません。市場レポートは、世の中の大きな流れを示します。一方で、自社の現場データは、自社にとっての次の打ち手を示します。

この二つをつなぐことが、これからの経営には必要になると考えています。

おわりに

市場の変化は、ある日突然現れるわけではありません。
顧客の相談内容に現れます。
現場の課題に現れます。
日々の業務の中に現れます。

私たちは約30年にわたり、様々な業界の現場でその変化を見続けてきました。そして、その経験から一つの結論にたどり着いています。企業が持つ最大の資産の一つは、現場で蓄積された知見です。
設備でもありません。
ツールでもありません。
現場で得られた経験と判断基準です。

AI時代に重要なのは、AIを導入することだけではありません。

自社の中にある知見を見つけ、整理し、経営に活かせる状態にすることです。

現在、ディーシステムではAI経営インテリジェンス事業の一環として、企業向けの利益改善診断を実施しています。
利益改善のヒントは、外部の市場レポートの中だけではなく、自社の中に眠っているかもしれません。

現場にある情報を経営判断へつなげる。

そこから、次の成長の打ち手が見えてきます。


現場知見を経営資産へ

かんたん実行、ばつぐん効果、らくらく継続。

私たちは約30年にわたり、製薬、製造、流通、金融、公共など、さまざまな業界の現場と向き合ってきました。
そこで見えてきたのは、多くの企業が必要な情報を持っていないのではなく、活かしきれていないということです。

顧客との会話。案件の記録。現場での判断。業務報告や面談の内容。

企業の中には、未来のヒントが毎日生まれています。
企業の未来は、市場レポートより先に現場に現れる。

私たちは、現場で蓄積された情報や経験を整理し、経営判断や利益改善につながる形で活用する「AI経営インテリジェンス」に取り組んでいます。

▼お問い合わせはこちら

ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。

・業務が属人化している
・ナレッジが蓄積されていない
・データはあるが活用できていない
・ベテラン社員の退職に備えたい
・利益改善のヒントを見つけたい

貴社でも上記のお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。市場レポートでは見えない、自社ならではの成長機会が見つかるかもしれません。


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