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ジェネラリストは、何を担う専門職なのか──複数の専門性が関わる仕事を、前へ進める人

会議は開かれている。
課題表も更新されている。
毎週の進捗会議では、未完了の項目が確認される。

業務部門は、判断に使う材料がそろっていないと言う。
情報システム部門は、業務側の方針が決まらなければ動けないと言う。
ベンダーは、確認依頼への回答待ちだと報告する。

会議の記録は残る。課題表の行も増える。

業務側確認中。
ベンダー調査中。
方針検討。
次回確認。

文字は入っているし、担当者名も期限も入っているのに、次に誰が、何を持って動くのかが見えない。


会議は開かれている。課題表も更新されている

複数部門が関わる仕事では、会議体が整っていることがあります。議事録もあり、課題表もあり、期限も管理されています。

それでも、案件が前へ進まない日があります。

ERP統合で、業務部門は例外処理の扱いを確認したい。情報システム部門は、周辺連携への影響を知りたい。ベンダーは、仕様変更の範囲が決まらないと見積もれない。三者とも止まっている理由を説明できます。

運用移管でも似た状態が起きます。障害時の一次連絡先は書かれている。夜間に誰が判断するかは、担当者の記憶に残っている。過去の対応履歴はあるが、新しい運用先が同じ順番で動ける形にはなっていない。

AI導入では、利用部門が出力を試しています。情報システム部門は、どのデータを入力してよいかを気にしています。推進担当は、利用ルールを作ろうとしています。出力が誤っていた時、誰がどこで止めるかは決まっていません。

それぞれの担当者は、仕事をしていないわけではありません。自分の範囲で確認し、回答し、次の会議に持ち込んでいます。

会議が続くほど、まだ決まっていないものも見えてきます。

関係者が増えると、止まる場所も増える

関係者が増えると、情報の置き場所が分かれます。

業務部門には、日々の例外処理があります。
情報システム部門には、システム構成や運用ルールがあります。
ベンダーには、製品や契約範囲があります。
専門担当者には、設定、連携、データ、権限の知識があります。

それぞれが持っている情報は正しいことがあります。正しい情報が分かれたままだと、判断に使えないことがあります。

ERP統合では、ある部門では例外処理として扱っていたものが、別の部門では通常処理として認識されていることがあります。運用移管では、障害時に連絡する順番が、手順書ではなく前任者の記憶に残っていることがあります。複数ベンダー運用では、問い合わせ先は分かれていても、利用者から見た影響範囲は一つにつながっていることがあります。

課題表には、担当者と期限が入ります。
判断者と判断材料がそろっていないと、行は閉じません。

業務側が決めること。技術側が確認すること。ベンダーへ聞くこと。管理職へ持ち上げること。次の担当者へ渡すこと。

それらが一つの課題行に混ざったまま残ると、誰も止めているつもりがないのに、仕事は止まります。

ジェネラリストは、専門家の代わりになる人ではない

ジェネラリストという言葉には、専門が薄い人という見方がつきまとうことがあります。

技術の深い判断は専門家が行います。ERPの設定、クラウドの構成、データ連携、AIの利用条件、PMOとして扱う進行管理。そこには、それぞれの専門領域があります。

ジェネラリストが担うのは、専門家の答えを代わりに出すことではありません。

業務部門が何に困っているのかを聞く。情報システム部門が何を確認したいのかを分ける。ベンダーが回答できる形まで問いを整える。専門担当者の説明を、次に判断する人が読める形へ置き直す。

会議の場で、論点が混ざることがあります。

運用上の困りごととして出た話が、実際には権限設計の問題を含んでいる。業務部門の要望に見える話が、周辺システムの連携タイミングに関わっている。ベンダーへの質問に見える話が、社内で先に方針を決める話だった。

誰の担当とも言い切れないところに、確認が残ります。

その残った確認を拾い、名前を付け、次に渡す仕事があります。

課題表を更新しても、判断が進まないことがある

課題表には、進捗を管理する力があります。

未完了の項目が見えます。担当者が見えます。期限も見えます。会議のたびに、赤や黄色の行が確認されます。

更新しても動かない行があります。

業務側確認中と書かれている行の中に、実際には三つの確認が混ざっていることがあります。現行業務のやり方。新しい運用で残す例外処理。システム側へ反映する設定。どれを誰が判断するかが分かれていなければ、業務側確認中のまま時間が過ぎます。

ベンダー調査中と書かれている行でも、ベンダーが調査できる情報を受け取っていないことがあります。再現条件がない。発生時刻が曖昧。どの部署で起きたかが分からない。顧客側で先に確認する範囲が残っている。

方針検討と書かれている行では、判断者が見えないことがあります。現場担当者は困っています。管理職は報告を受けています。システム担当者は影響を把握しています。誰が方針として決めるのかが残っています。

課題表の行を増やす前に、行の中身を分ける仕事があります。

何が事実か。
何が未確認か。
誰の判断が残っているか。
判断後、誰に何を渡すか。

この分け方がないまま更新された課題表は、仕事が進んでいるように見えて、同じ場所を回ることがあります。

管理職と横断調整を担う人は、責任の範囲が違う

管理職は、人員配置、評価、収益、案件全体の責任を持つ場面があります。どの体制で進めるか。誰に任せるか。顧客とどの条件を握るか。判断の重さが別の場所にあります。

横断調整を担う人は、その責任を代わりに持つわけではありません。

判断者が判断できるように、材料をそろえます。会議で出た話をそのまま並べるのではなく、業務の確認、技術の確認、運用の確認、契約や体制に関わる確認を分けます。決める人が誰かを見つけ、決める前に欠けている情報を出します。

管理職が判断する前に、状況が荒れたまま持ち込まれることがあります。

業務部門は影響があると言っている。ベンダーは仕様上は可能だと言っている。情報システム部門は運用負荷が高いと見ている。現場担当者は、どの案でも追加作業が出ると分かっている。

この状態で、決めてくださいと渡されても、判断は重くなります。

横断調整を担う人は、決定そのものを引き受けるのではなく、決定の前に残っている情報を見えるようにします。A案では誰の作業が増えるのか。B案ではどの部署の確認が要るのか。期限までに決めない場合、何が止まるのか。

責任の範囲は違います。
見ている場所も違います。

社内効率化や業務知識の集積にも、横断調整が必要になる

横断調整は、顧客案件の会議だけで起きる仕事ではありません。

ディーシステムでは現在、社内の効率化や製薬業務知識の集積に関する社内プロジェクトを進めています。ここでも、複数の関係者から情報を集め、業務知識を整理し、社内で再利用できる形へ整える役割があります。

社内効率化という言葉は、ツール導入の話に見えることがあります。実際には、先に見なければならないものがあります。

どの業務が何度も繰り返されているのか。
どの作業が、特定の人の工夫で回っているのか。
どの情報があれば、新しい担当者が早く動けるのか。
似た問い合わせに、部署ごとに違う説明をしていないか。
確認のたびに、同じ経験者へ聞きに行っていないか。

担当部門ごとの要望を集めるだけでは、重なりは見えません。

ある部署では資料探しに時間がかかっている。別の部署では、同じ業務の前提を新しいメンバーへ毎回説明している。別の担当者は、問い合わせのたびに過去の案件記憶をたどっています。

ツールを決める前に、繰り返されている作業と、分かれたままになっている知識を見つける仕事があります。

製薬業務知識を、個人の経験で終わらせない

製薬業務知識は、用語を並べた表だけでは足りません。

問い合わせ対応でよく出る確認事項があります。
顧客が気にする説明の順番があります。
品質や手順に関わる判断があります。
新しいメンバーがつまずきやすい業務背景があります。
過去の案件で、そこを理解していないと会話が止まった場所があります。

経験者は、それをまとめて思い出していることがあります。

問い合わせを受けた時、この言葉が出たら先にここを確認する。顧客へ説明する時、この順番を外すと話が戻る。新しい担当者には、最初にこの業務背景を渡しておかないと、手順だけ覚えても会話が止まる。

頭の中ではつながっている知識も、次の人にはそのまま渡りません。

横断調整や企画を担う人は、経験者からその断片を聞き出します。問い合わせでよく出る確認事項。説明の順番。判断が分かれる条件。新しい人が最初につまずく言葉。後で探せる単位へ分け、次の担当者が使える形に置きます。

それは大きな理論ではなく、次の現場で使うための小さな単位です。

この問い合わせでは、先に何を確認するか。
この説明では、どの順番で話すか。
この手順では、どこに判断が入るか。

専門家が増えるほど、境目の仕事が残る

専門家が増えると、仕事は細かく分かれます。

ERPの担当。クラウドの担当。データの担当。AI利用の担当。運用の担当。ベンダーの担当。業務部門の担当。

分かれることで、深い確認ができます。分かれることで、誰の範囲にも入り切らない仕事も残ります。

ERP統合では、業務の例外処理と周辺連携のあいだに確認が残る。
運用移管では、手順書に書かれた内容と実際の夜間対応のあいだに差が出る。
AI導入では、出力結果をそのまま使うのか、利用者へ返す前に誰が判断するのかが決まっていない。
社内効率化では、現場ごとの工夫と共通で使う仕組みのあいだに整理されていない作業が残る。
製薬業務知識の集積では、経験者の記憶と新しい担当者の立ち上がりのあいだに、渡し方が決まっていない知識がある。

その境目を放置すると、会議のたびに同じ確認が戻ってきます。

業務側に確認を依頼する。
ベンダーにも問い合わせを行う。
次回までに論点を整理する。

言葉は進んでいるように見えても、次の担当者へ渡る材料が増えていないことがあります。

偶然の調整役に頼り続けない

案件には、自然と人が集まることがあります。

あの人に聞けば分かり、会議で整理し、ベンダーと話し、過去の経緯も覚えている。

その人がいる間、仕事は進みます。

多忙になった時。異動した時。別の案件へ移った時。休んだ時。誰が何を知っていて、どこに何が残っているのかが分からなくなることがあります。

ディーシステムでは、横断調整や企画で全体を支える役割を、キャリアコースの一つとして位置づけています。会議を開く人、議事録を書く人という意味ではありません。未決事項を見つけ、判断者を確認し、次の人が使える形へ情報を整える仕事として扱います。

社内効率化や製薬業務知識の集積でも同じです。

経験者の頭の中にある知識を聞き出す。複数の現場で繰り返されている作業を見つける。次の担当者が探せる単位に分ける。会議で出た話を、その日限りの共有で終わらせない。

誰か一人の器用さに任せたままでは、仕事の進み方も知識の残り方も、その人の動きに寄ります。

会議後、誰が何を持って動いたか

会議が終わります。

議事録には、決定事項と未決事項が並びます。課題表には、担当者と期限が入ります。次回会議の日程も決まります。

その後に見たいものがあります。

業務部門がどの判断材料を持ち帰り、情報システム部門がどの前提を確認し、ベンダーにどの条件まで渡り、次の担当者が何を見れば同じ説明を繰り返さずに済むのか。

社内プロジェクトでも同じです。

経験者から聞いた製薬業務の知識は、どの単位で残ったのか。問い合わせ対応で先に確認することは、次の人が探せる場所にあるのか。新しいメンバーがつまずいた言葉は、次の立ち上がりで渡せる形になったのか。

会議後、誰が何を持って動いたか。
その日聞いた業務知識は、次に同じ現場へ入る人が使える形で残ったか。


ディーシステムのキャリアコースについて

ディーシステムでは、管理職、スペシャリスト、ビジネス開発、ジェネラリストの4つのキャリアコースを設けています。

各コースの役割や、制度を設けた背景については、こちらの記事で紹介しています。

→ 管理職を目指さないと、キャリアは積めないのか。ディーシステムがキャリアコースを分けた理由

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