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未経験で入社した若手は、どうやって「考えて動ける人」になるのか

採用情報では、「未経験でも成長できます」という言葉をよく見かけます。

ただ、その言葉だけで、入社後の自分を具体的に想像するのは難しいかもしれません。

どのような仕事から始まり、何につまずくのか。先輩から何を指摘され、いつ頃から自分で考えられるようになるのか。

実際の成長は、入社してすぐに大きな仕事を任され、一人で正しい答えを出すところから始まるわけではありません。

問い合わせ内容を正確に読み、過去の対応履歴や手順書を確認した上で、分からないところがあれば回答する前に先輩へ相談する。

議事録では会議の発言を聞き漏らさずに記録し、報告では確認した内容を整理して伝える。

一つひとつは、目立つ仕事ではないかもしれません。

それでも、こうした日常の仕事を続ける中で、若手が見る情報と考える範囲は少しずつ変わっていきます。

最初から、一人で判断するわけではない

未経験で入社した若手が、最初から例外対応や改善提案を任されるわけではありません。

問い合わせ対応であれば、まず相談内容を正確に読むところから始めます。

どのシステムの問い合わせで、対象となる機能や処理は何か。いつ発生し、過去に同じ問い合わせがなかったか。手順書には何と書かれているか。

確認した内容を基に回答案を作り、先輩に相談してから利用者へ回答します。

この段階では、自分だけで答えを決めないことも仕事の一部です。

分からない状態で推測し、そのまま利用者へ案内すれば、誤った操作につながる可能性があります。手順を確認して過去事例と比較し、自分では判断できないところを相談することで、利用者が安全に業務を続けられる回答へ近づけます。

手順書を見たり、先輩へ確認したりすることは、考えていない行動ではありません。

正しい情報を探し、今の自分が判断できる範囲を把握した上で必要な確認を行うことが、仕事を安全に進めるための考え方を身につける最初の段階です。

若手の成長を、最初から自分の意見を出せるかどうかだけで測ると、この基礎が見えにくくなります。

同じ問い合わせでも、見る範囲が変わっていく

問い合わせ対応を始めた頃は、まず「何を聞かれているのか」を理解し、質問に合う手順を探して、間違いのない回答を返すことに意識が向きます。

経験を重ねると、問い合わせ文に書かれている内容だけでなく、その前後も見るようになります。

なぜこの問い合わせが発生し、利用者は何をしようとしていたのか。この回答を返せば業務を再開できるのか。同じ問い合わせが繰り返されているなら、操作方法ではなく、手順や画面、説明の仕方に原因がないか。

例えば、利用者から「処理の方法を教えてほしい」と聞かれたとします。

最初は該当する操作手順を案内しますが、その後、利用者が本当に必要としているのは操作方法そのものではなく、月末までに特定の処理を完了させることだと分かるかもしれません。

案内した操作の後に別の承認や処理が必要なら、問い合わせ文への回答が正しくても、利用者の仕事はまだ先へ進みません。

仕事を続ける中で変わるのは、回答を作る速さだけではなく、質問された範囲から、利用者が行おうとしている仕事まで見る範囲が広がることです。

議事録は、発言を書き残すだけではない

議事録も、若手が仕事の見方を変えていく場面の一つです。

最初は、会議で話された内容を聞き漏らさず、専門用語や発言者を間違えずに記録することへ意識が向きます。

これらは必要な仕事ですが、会議後に関係者が必要とするのは発言の記録だけではありません。

何が決まり、何が決まらずに残ったのか。誰が次の作業を担当し、いつまでに行うのか。次回の会議までに何をそろえる必要があるのか。

発言をそのまま記録しただけでは、参加者が議事録を読み返し、次に何をすればよいかを自分で探すことになります。

決定事項、保留事項、担当者、期限まで整理されていれば、関係者は会議後の作業へ移りやすくなります。

議事録を速く書けるようになることも成長ですが、同じ会議から、次に仕事を進めるための情報を読み取れるようになることも別の成長です。

担当する仕事が大きく変わらなくても、その仕事から何を読み取るかは変わっていきます。

「考える」とは、一人で答えを出すことではない

仕事で「自分で考えて動くこと」を求められると、何でも一人で決めなければならないように感じる人もいるかもしれません。

しかし、業務では、分からないまま一人で進めることが適切とは限りません。

考える力には、状況を整理し、適切なタイミングで適切な相手へ相談する力も含まれます。

若手が相談するとき、最初は「分かりません。どうすればよいですか」と伝えることがありますが、経験を重ねるにつれて、相談前に整理する内容が増えていきます。

何が、いつから起きていて、誰に影響しているのか。どの手順書や過去事例を確認し、どこまでは分かっていて、どこから判断できないのか。先輩に何を確認したいのか。

こうした情報が整理されていれば、相談を受けた先輩も状況を最初から聞き直さず、次に確認する場所や、別の担当者へ連携すべきかを一緒に考えられます。

成長とは相談しなくなることではなく、自分で確認できる範囲を広げた上で、判断できないところを明確にし、必要な助言を得られる相談へ変わっていくことです。

最初から原因を当てるのではなく、次に何を見るかを考える

問い合わせや障害対応では、最初から正しい原因を当てられないことがあります。

例えば、「数字が合わない」という相談だけでは原因を特定できません。

対象期間や集計条件が違うのかもしれませんし、入力時刻とデータが反映される処理時刻がずれている場合もあります。参照しているマスタや利用者ごとの条件が異なっている、前回の処理後に手作業でデータが変更された、周辺処理が完了していないといった可能性もあります。

若手に求められるのは、こうした候補の中から最初に原因を言い当てることではありません。

対象期間を確認すれば期間の違いを候補から外せますし、集計条件を比較すれば設定差の有無が分かります。入力時刻と処理時刻を確認すれば反映待ちかを判断しやすくなり、前回正常だったときとの違いを調べれば、今回だけ変わった条件を見つけられるかもしれません。

一つ確認することでどの可能性を減らせるのかを考え、次に見る場所を選びます。

問いを立てる力は、難しい問題を作る能力ではなく、今の状況を前へ進めるために次に何を確認するかを選ぶ力として、日々の仕事の中で身についていきます。

報告は、答えが出た後だけに行うものではない

若手は、原因や対応結果が確定するまで報告できないと考えることがあります。まだ結論が出ていないため、伝えられることがないと感じるからです。

実際に関係者が知りたいのは、最終結果だけではありません。

何がいつから起き、どの範囲へ影響しているのか。何を確認して、現時点でどこまで分かっているのか。まだ確認できていないことは何で、次に何を調べるのか。誰へ相談していて、次はいつ報告するのか。

結果が出ていなくても現在地が整理されていれば、先輩や関係者は次の行動を考えられます。

影響範囲が広ければ別の担当者を加えられますし、確認に時間がかかるなら利用者へ途中経過を伝えられます。必要な情報が不足していれば、別の部署や顧客へ確認を依頼できます。

報告は、答えが出た後に結果を伝えるだけでなく、現時点でどこまで分かり、何が残っているのかを整理し、関係者が次に動ける状態を作る仕事でもあります。

話し方や資料作成の技術だけではなく、自分が扱っている状況を分けて捉える力が、報告の内容に表れます。

自分の作業が終わったかではなく、相手の仕事が進んだかを見る

若手が仕事を覚える中で、見る範囲は自分の作業の外側へも広がります。

問い合わせに回答を送り、議事録を提出し、設定変更を完了すれば、自分に依頼された作業は終わっています。

それでも、仕事全体が終わったとは限りません。

問い合わせへの回答を受け取った利用者が作業を再開できたのか、追加の確認が必要ではないか、同じ問い合わせが繰り返されていないかまで見る必要があります。

業務システムのデータを修正した場合も、システム上で処理が成功したことだけでなく、その後の業務処理が進められる状態になったかを確認します。

自分が担当した操作を完了しても、後続処理が動かなければ利用者の仕事は止まったままであり、システム上の完了と相手の業務上の完了は同じとは限りません。

最初からすべての業務背景を理解するのは難しくても、問い合わせを受けた理由を確認し、作業後に利用者が次へ進めたかを見る。分からなければ、先輩や利用者へ聞く。

こうした経験を重ねるうちに、自分の作業が業務のどこに位置しているのかが見えるようになります。

考えて動ける人になることを、すぐに改善提案を出せることだけで説明する必要はありません。

まず、自分の作業の前後にいる人が何をしようとしているのかを見ることから始まります。

成長は、実務と振り返りを往復しながら進む

同じ仕事を繰り返すだけで、自動的に考えられるようになるわけではありません。

実務を経験し、先輩や利用者からフィードバックを受け、自分の確認や伝え方を振り返って次の仕事で試す。その往復によって、仕事の見方や行動が変わっていきます。

問い合わせへの回答で、質問に書かれた範囲しか見ていなかったと指摘されたなら、次は利用者が何をしようとしているのかまで確認してみる。

議事録に発言は記録されていても担当者と期限が分からないと言われたなら、次の会議では決定事項と未決事項を分け、誰が次に動くのかを意識して聞く。

相談したときに確認内容が不足していると分かったなら、次は手順書と過去履歴を確認し、どこから判断できないのかを整理してから相談する。

会社側にも、若手へ仕事を渡すだけではない役割があります。

最初から難しい判断を任せきりにせず、仕事の目的と相談相手を明確にする。結果だけでなく、どのように確認したのかを見てフィードバックし、少しずつ任せる範囲を広げる。

若手本人にも、分からないことを放置せず、確認した内容を整理し、指摘された理由を考えて、次の仕事で同じ問題を減らす行動が必要です。

会社の制度があれば自動的に成長するわけでも、本人の努力だけですべてを身につけるものでもありません。

実務に取り組み、振り返り、もう一度試せる環境と行動が重なることで、仕事の見え方が変わっていきます。

「考えて動ける人」は、少しずつ作られる

未経験で仕事を始めたとき、最初から正しい仮説を出す必要はありません。

手順書を確認し、過去の事例を探し、分からないところは先輩へ質問する。分からないまま勝手に進めないことも、仕事を安全に行うために必要です。

その上で、確認した内容と何が分からないのかを整理し、次に何を見れば状況が進むのかを考える。結果が出る前にも現在地を報告し、自分の作業が終わったかだけでなく、相手の仕事が進んだかを見る。

指摘や失敗をその場だけで終わらせず、次の仕事で行動を変える。

こうした積み重ねによって、若手が一つの仕事から読み取れる情報は増えていきます。

ディーシステムでは、若手に最初から一人で正しい判断を求めているわけではありません。

手順や過去事例を確認し、先輩へ相談しながら正確に仕事を進めるところから始め、少しずつ状況の整理や問いの立て方、相手の業務を見る範囲を広げていきます。

仕事を任せることと、任せきりにすることは同じではありません。

実務の中で考える機会を作り、確認した過程へフィードバックし、次の仕事で試せるようにすることも、会社側の役割だと考えています。

「考えて動ける人」は、最初から一人で答えを出せた人ではなく、目の前の仕事を正確に進め、状況を整理して問い直し、必要な相談をしながら、その経験を次の仕事へ使ってきた人です。

未経験から、仕事の見方を広げるために

ITの仕事に興味があっても、「未経験の自分に考えて動く仕事ができるのか」と不安に感じる人はいると思います。

最初から一人で答えを出す必要はありません。目の前の仕事を正確に進め、分からないことを整理して相談し、フィードバックを次の仕事へ使う積み重ねによって、仕事の見え方は少しずつ変わっていきます。


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