"レジリエンス"は持続的「幸せ」の鍵-"幸福"の10大要因-7
「幸福」には様々な要因が関係しています。
本記事はプロローグ【下記記事↓】に続く追加解説編です。
10大要因は、さらに個人のパーソナリティ要因とウェルビーイング要因に区分されます。本記事では
パーソナリティ要因の「レジリエンス」について解説します。
なお、本記事のエビデンスは弊社が独自に調査した2万人超のデータの分析に基づいています。
幸福とは、立ち直る力の上に築かれる
人生における幸福は、
順風満帆な日々の連続ではなく、
嵐の中でもなお灯を絶やさぬ
心の在り方に宿るものです。
挫折や喪失、予期せぬ
困難に直面したとき、
それでもなお前を向き、再び歩き出す力
それが「レジリエンス」です。
持続的な幸福を手にするためには、
この心のしなやかさが不可欠なのです。
「レジリエンス」(resilience)とは何か?—折れない心が幸せな人生を支える
「レジリエンス」(resilience)という言葉は、
一般的に広く用いられる概念としては、
病気・不幸な出来事・困難・苦境等に遭っても
回復する力、立ち直る力、復活する力です。
語源はラテン語の「resilire(跳ね返る)」
に由来します。
今日、多く用いられるようになったのは、
上記の精神医学、心理学、行動科学等の用語
として広まった意味です。
類義語として「buoyancy」
(浮力、浮揚性、回復する力)があります。
元々は物理学の用語であり
「外力による歪み=ストレス」に対して
「外力による歪みを跳ね返す力」
としてレジリエンスが使われ始めました。
転じて精神医学では
「極度の不利な状況に直面しても、
正常な平衡状態を維持することができる能力」
という定義がボナノ※によってなされ、
これが契機となり
広く人間に必要な社会的能力
として用いられるようになりました。
※ボナノ(Bonanno,G.)が2004年に述べた「極度の不利な状況に直面しても、正常な平衡状態を維持することができる能力」(※出所;ja.wikipedia.最終更新 2021年3月18日 (木) 20:28)
「幸福度」の観点からは、
困難や苦境から迅速に回復・復元・復活する力
がどの程度あるかによって
「幸福度」が大きく左右されます。
心理学者マーティン・セリグマンは、
ポジティブ心理学の中で
レジリエンスを「逆境に対する適応力」と定義し、
幸福感や人生の満足度と密接に関係
していると述べています(注1)。
レジリエンスは単なる「我慢強さ」ではなく、
自己効力感や楽観性、社会的支援など、
複数の心理的資源が絡み合って形成される
複合的な能力なのです。
幸福の持続には「回復力」が必要である
人は誰しも、人生のどこかで壁にぶつかります。
失恋、病気、仕事の失敗、愛する人との別れ
これらは避けがたい人生の一部です。
こうした出来事に直面したとき、
しばしば「幸福」を見失いがちです。
しかし、レジリエンスを備えた人は、
痛みや喪失を経験しながらも、
そこから意味を見出し、
再び前を向くことができます。
2024年の研究では、大学生における
幸福感とレジリエンスの間に有意な正の相関がある
ことが示されました(注2)。
職場においても、
レジリエンスの高い従業員はストレスに強く、
仕事の満足度や幸福感が高い傾向にあること
が報告されていますし(注3)、
弊社の調査、毎月実施している
「幸福度毎月統計」
(ハピネス*ウェルビーイングメーター)
でも確認できています。
レジリエンスは一過性の感情ではなく、
人生全体にわたって幸福を支える基盤なのです。
レジリエンスを育む—習得可能な心の技術
レジリエンスは、
生まれつきの性格だけで決まる
ものではありません。
むしろ、後天的に育むことができる
「心の技術」として、多くの研究者が
その育成方法を探求しています。
感情の自己調整能力、
ポジティブな再評価、
社会的支援の活用、
マインドフルネスの実践などが、
レジリエンスを高める要因
として挙げられています(注4)。
日々の小さな成功体験を積み重ねることや、
自己肯定感を育てることも、
レジリエンスの強化に寄与します。
レジリエンスの能力要素
私が開発し個人向けに実施している
「幸福度調査」では、
レジリエンスの具体的能力要件として
以下の5つの要素を指標にしています。
◼セルフエスティーム(自尊感情、自己肯定感)
「自分は価値がある、有能である」という実感があるか
◼感情の自己統制
感情の変化を自己統制できるか
◼楽観的人生観
自己の将来に楽観的希望を抱いているか
◼機会開発
機会開発的思考・行動力を持っているかどうか
◼ソーシャルサポート
支援を獲得できる親密な対人ネットワークを持ってい るか
レジリエンスは意識的な努力と
環境の支援によって
高めることができるのです。
人生の荒波に備えるために、
私たちは日々の中で
この力を育てていく必要があります。
ウェルビーイングとレジリエンスの相互作用
近年注目されている
「ウェルビーイング(well-being)」は、
単なる幸福感にとどまらず、
身体的・精神的・社会的に良好な状態
を意味します。
ウェルビーイングを長期的に維持するためには、
レジリエンスが不可欠です。
なぜなら、
人生には必ず変化と不確実性が伴い、
それに適応する力がなければ、
幸福は一時的なものにとどまるからです。
レジリエンスは、
ウェルビーイングを支える
「見えない土台」として、
私たちの人生を静かに、
しかし確かに支えているのです。
まとめ
レジリエンスとは、逆境から立ち直り、成長する力である。
挫折や困難は人生に不可避であり、レジリエンスが幸福の持続を可能にする。
レジリエンスは後天的に育むことができる心の技術である。
レジリエンスは、長期的なウェルビーイングを支える不可欠な要素である。
次回以降の記事でも、続いて
「幸福」の10の要因について解説します。
今後も幸福に関連する記事を
毎週数回は投稿してまいりますので、
好き・コメント・フォローなど
いただけますとありがたいです。
イーハピネス株式会社 代表取締役 松島紀三男*プロフィール*
注
(注1)マーティン・セリグマン『ポジティブ心理学の挑戦』日本経済新聞出版社、2012年、p.45 (注2)孫孔子「大学生における主観的幸福感に対する平静回復感とレジリエンスとの関連性の検討」桜美林大学修士論文、2024年、p.5 (注3)田川和夏ほか「執務者の心理的レジリエンスがWell-beingに与える影響」『日本建築学会環境系論文集』第89巻第824号、2024年、p.598 (注4)韓暁璐・滝沢龍「成人における心のレジリエンスの効果的な要因と理論的枠組み」東京大学大学院教育学研究科、2023年、p.12 (注5)末永カツ子ほか「Well-beingの動向と基本的知識」『大学のWell-beingの醸成の手掛かり』、2023年、p.2
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