日本人は「幸福度,エンゲージメント等が諸外国より低い?」過度の心配無用!!
日本人の「幸福度」や「エンゲージメント」等が諸外国より低いという報道が多いが…
よく日本人の「幸福度調査」や
,エンゲージメント等の数値が諸外国より低い」
という報道を目にします。
客観的実態が全般的に悪ければ大問題ですが、
一般的に経済的、社会的環境から
そういう実態は考えにくく、
過度の心配は無用と考えます。
粛々とアンケートデータの示唆する実態の
改善を進めればよいと考えます。
その理由と社会調査等アンケートデータの
読み方と活用方法について述べます。
日本人のデータが悪く出る原因は?
日本人のアンケート回答データが「幸福度」や
「エンゲージメント」に限らず、
とかく否定的に表れる傾向は確かにあります。
その原因として考えられるのは次の四つです。
客観的実態が悪い
日本人の回答心理に否定的バイアスがある
他国人の回答心理に肯定的バイアスがある
外国語と日本語の質問文の違い
1.は先に述べた通りですし、4.では
おしなべて否定的にデータが偏る傾向の説明
としは妥当性が低いと考えられます。
従って2.3.について具体的に述べます。
日本も外国もお互いバイアスだらけ
一般的傾向として下記の傾向があるとされています。
日本人はネガティブ(否定的)に回答する傾向
欧米人はポジティブ(肯定的)に回答する傾向
日本以外のアジアは中心化(尺度の真ん中に集まる)傾向
特に日・韓は厳しめ
中国は日・韓と比較的似るが、よりポジティブな傾向
要するに日本も外国もバイアスだらけ
なので同列の比較は不可能です。
日本人の回答数値が低い理由
😒控えめな評価傾向(中庸志向)
日本人は極端な評価
(例:5段階評価で「5」や「1」)を避け、
中間的な回答を選ぶ中心化
(尺度の真ん中に集まる)傾向があります。
(欧米が一般的にポジティブな回答のため、
相対的に低い回答となる)
😢批判的・慎重な視点
日本人はサービスや製品に対して
高い期待値を持ち、
細かい点にまで注意を払う傾向があります。
そのため、満足度調査などで「完全に満足」
という回答を避け、
改善点を意識した低いスコアを付ける
ことが多いです。
これは「よりより良くできる」という
改善への意識の表れでもあります。
例えば、
米国のIT企業の日本法人の人事担当役員から
「米国本社及び世界中の現地法人で
毎年同じアンケートを実施しているが、
いつも業績に関係なく
日本が一番数値が低いけどなぜか?」
と質問され、上の理由をご説明したことが
あります。
🤢神経質傾向が日本人は諸外国より強い
私の考察として日本人は神経質傾向が強いことも
影響していると考えます。
神経質傾向の人は一般的に
悲観的にとらえる傾向があり、
私の調査でも「幸福度」に
悲観的に回答する傾向が強く、
統計的にも有意な差があります。
😃謙虚な日本人の精神文化
謙虚な日本人の精神文化も影響している
と考えられます。
自己卑下とも言えるほど自己評価が低い
日本人は少なくないです。
😊組織への信頼が強く正直に答える日本人
一般的に日本人は会社や組織に対する
信頼感が強く、
匿名のアンケートであれば
正直に回答してくれます。
例えば、あるメガバンクで
中国の現地法人と日本の
全支店合同のES調査の実施を
担当したことがありますが、
中国の現地行員のデータが日本と比べ、
極端にポジティブな結果となったことに
驚きました。
聞けば「中国の行員は経営陣に対する信頼が低く、
匿名のアンケートと言っても信用していない。
人物が特定され解雇の対象にならないように
ポジティブに回答するバイアスが
かかっていると思う。」
と言われたことがあります。
※参考資料を最下部に記載(注*1)
欧米人がポジティブ回答の理由
これに対して、
欧米(特にアメリカや西ヨーロッパ諸国)では、
アンケートの回答数値(満足度や評価のスコア)
が日本や東アジア諸国に比べて
ポジティブ(高評価)になる傾向が
多くの研究で指摘されています。
■欧米のアンケート回答がポジティブな傾向の理由(注*2)
😁個人主義的文化
欧米諸国(特にアメリカ)は個人主義(Individualism)が強く、
自己表現やポジティブな感情の表明が
奨励されます。
これにより、満足度調査や意識調査で
「非常に満足」「強く同意」といった
高評価を選ぶ傾向があります。
👍楽観的傾向
欧米の回答者は、
将来やサービスに対する楽観的な見方を反映し、
高いスコア(例:5段階評価の「5」)
を選びやすい傾向です。
特にアメリカでは「ポジティブ思考」が
文化的価値として根付いています。
👌サービス評価の基準の違い
欧米では、サービスや製品が標準的でも
「良い」と評価する傾向があり、
細かい欠点を重視しない場合があります。
対照的に、
日本では高い期待値から「普通」を選びがちです。
😉社会的期待と回答バイアス
欧米では、ポジティブな回答が
社交的に好ましいとされる場合があり、
アンケートで高評価を付けることで
好印象を与えようとする傾向
(社会望ましさバイアス)があります。
望ましいデータの活用法
批判的にデータを読む必要性―国際比較は実態を見誤る危険
上記のようにアンケート回答は
主観的データですから、
日本人、諸外国ともに回答バイアスがあります。
国際比較に客観性はなく、
実態を見誤る危険性が大きいのです。
バイアスが非常に大きい主観の集合データを
横断的に比較することに
あまり意味はないどころか、
ミスリードの可能性大と言わざるを得ません。
同列には比較できず、
バイアスを考慮するクリティカルシンキング
を発揮して、データを読み込む
リテラシーが必要です。
定点観測で信頼度を高める
上のように国別のような横断的比較は
国別のバイアスが非常に大きいのですが、
同じ日本人、同じ会社の定点観測のように
垂直間(時系列)の比較はバイアスが
発生せず信頼度が高いです。
従って条件を揃えて日本や会社の体質、
回答のクセを知って、
体温や血圧のように定点観測をすることで、
判断の精度が高まります。
主観データで可視化された潜在的問題の示唆を手がかりに客観的実態を改善
アンケート回答は主観的データですが、
強みや問題の所在に一定の示唆を与えてくれます。
アンケートを手がかりとして、
インタビューや客観的な実態の
精密な調査を進めることで、
潜在化している問題の発見や実態の改善に
つなげていくことができます。
最後まで記事をご覧いただき、
誠にありがとうございました。
これからも幸福に関連する記事を投稿
していきますのでご覧いただければ幸いです。
最後まで読んでいただき
ありがとうございます。
今後も幸福に関連する記事を
毎週数回は投稿してまいりますので、
好き・コメント・フォローなど
いただけますとありがたいです。
イーハピネス株式会社 代表取締役 松島紀三男*プロフィール*
(注*1)
・日本財団18歳意識調査(6カ国比較)
概要:日本、韓国、中国、インド、アメリカ、イギリスの若者を対象に「国や社会に対する意識」を調査。日本は「自国の将来が良くなる」(11.1%)や「国際社会でリーダーシップを発揮できる」(8.8%)といった項目で最も低いスコアを示し、保守的・悲観的な回答傾向が明確。
出典:日本財団 (2024). 「第62回テーマ『国や社会に対する意識(6カ国調査)』」https://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/18sai_ishiki
クロス・マーケティングの調査分析
概要:日本のアンケート回答は正確性が高いが、中庸志向が強く、設問が複雑だと低評価や中間回答が増える。グローバル比較では、欧米のポジティブな回答傾向と対照的。
出典:クロス・マーケティング (2015). 「日本の“当たり前”が通用しないグローバル調査」https://www.cross-m.co.jp/report/
リッカート尺度の文化的影響に関する研究
概要:リッカート尺度(例:5段階評価)を使った調査では、日本人が中間回答を選ぶ「Mid-point Response Style (MRS)」が強い。欧米では極端回答(Extreme Response Style, ERS)が一般的で、高評価が出やすい。
日本の文化的謙虚さや調和重視が、低めのスコア(例:「3」や「4」)に繋がる。たとえば、顧客満足度調査で「非常に満足」の割合が欧米より低い。
出典:Levin, J., & Miller, J. (2005). 「Cross-cultural differences in response styles on surveys」Journal of Cross-Cultural Psychology, 36(3), 346-361.
ヘルスリテラシー調査(HLS-EU-Q47)
ヨーロッパのヘルスリテラシー調査を日本に適用した研究で、日本人は健康情報への評価や活用に関する質問で慎重な回答をし、スコアが低めに出る傾向。
出典:Nakayama, K., et al. (2018). 「日本におけるヘルスリテラシーの測定:HLS-EU-Q47の適用」Journal of Health Communication(日本での研究)。
(注*2)
・Hofstedeの文化次元モデル
アメリカやイギリスは個人主義スコアが高く(米国:91、英国:89)、自己主張やポジティブな表現が強い。日本(46/100)や韓国(18/100)に比べ極めて高い。
出典:Hofstede, G. (2001). Culture’s Consequences: Comparing Values, Behaviors, Institutions and Organizations Across Nations. Sage Publications.
・日本財団18歳意識調査(6カ国比較)
概要:日本、韓国、中国、インド、アメリカ、イギリスの若者を対象に調査。アメリカ(51.2%)とイギリス(45.7%)は「自国の将来が良くなる」に肯定的な回答が多く、日本(11.1%)や韓国(18.4%)と対照的。
出典:日本財団 (2024). 「第62回テーマ『国や社会に対する意識(6カ国調査)』」https://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/18sai_ishiki
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