Li-sa-Xは、“神童”を卒業していた。 ――エリック・マーティン・バンドで見た、「バンドギタリスト」への進化
ポール・ギルバートを追いかけていると、
嫌でも名前を知ることになるギタリストがいる。
それが、Li-sa-Xだ。
“天才少女ギタリスト”。
そのイメージは、たぶん今でも強い。
幼い頃から超絶技巧でYouTubeを席巻し、
さらに本人が憧れ続けたPaul Gilbertから
オンラインで直接指導まで受けていた。
そりゃ有名になる。
むしろ、ならない理由がない。
でも今回、Eric Martinの来日公演で彼女を見て、
僕の中の印象はかなり変わった。
「うますぎるギタリスト」ではなく、
“バンドの人”になっていたのである。
有名すぎる天才少女
Li-sa-Xといえば、まず思い浮かぶのは圧倒的な技巧だ。
速い。
正確。
しかも幼少期から完成度が異常。
特にHR/HM好きなら、一度は彼女の動画を見たことが
あるはずだ。
というか、Paul Gilbert周辺を追っていると自然に辿り
着く。
「ポール系統の申し子」。
そんなイメージすらあった。
実際、彼女のプレイには当時から“ポール愛”が滲んで
いたし、フレーズ感や運指にも影響は強く見えていた。
だから今回も、ある意味では“超絶技巧ギタリストを
見る”感覚でライブに行っていた部分があった。
でも、実際に見たLi-sa-Xは、そこからかなり先へ進ん
でいた。
今のLi-sa-Xは「バンドの人」になってる
今回の来日公演で初めて知ったのだが、Li-sa-Xは
現在、KOIAIというバンドに所属している。
その情報を見た瞬間、ふと思った。
「ああ、“うますぎるギタリスト”から、
“アンサンブルの人”になってるんやな」と。
これはかなり大きい変化だと思う。
ギターが上手い人は世の中にたくさんいる。
でも、“バンドを成立させる人”は実は少ない。
そして今回のEric Martinバンド、
僕の中ではかなり特殊な期待があった。
もし仮に、Mr. BigからPaul Gilbertが抜けたとして、
その後継者は誰になるのか。
その問いに対して、Li-sa-Xはどう答えるのか。
つまり僕は、このバンドに“疑似Mr.Big”みたいな
ものを少し期待していたのである。
“Paul Gilbert直系”なのに、今っぽい
そしてライブが始まって、すぐ思った。
「あれ……めちゃくちゃ現代的やな?」
もちろん速弾きはできる。
そんなのは前提。
でも今回印象的だったのは、そこじゃない。
ピッキング精度
リズムの食い込み
ミュートの綺麗さ
音の粒立ち
この辺りの整い方が異常だった。
だからライブで見ていて、
「うまっ!!」
より先に、
“なんでこんなに聴きやすいん?”
が来る。
これ、実はかなりすごいことだと思う。
しかもステージアクションは意外とおとなしい。
最初は「緊張してるんかな?」とも思った。
でも違った。
彼女は“ギターヒーロー”として前に出るより、
完全にバンド全体を成立させる方向で弾いていたのである。
特に前半はそれが顕著だった。
しかし後半、
「Addicted To That Rush」や
「Colorado Bulldog」では、一気に跳ねる瞬間も出てきた。
「あ、やっぱり根っこはポールチルドレンや🤣」
と思ったし、同時にかなりテンションが上がった。
そして何より印象的だったのは、
「Green-Tinted Sixties Mind」。
あの切ない音色でギターを奏でるLi-sa-Xを見て、
ちょっと胸熱になった。
だって、8歳の頃の「Green-Tinted Sixties Mind」
のYouTube動画、見てたんよ。
“あの天才少女”が、
今、Eric Martinの後ろで、バンドギタリストとして
この曲を弾いている。
なんか妙にグッときた。
……しかも今さら気づいたけど、あの頃からちゃんと
「Li-sa-X」名義やったんやな🤣
これからのLi-sa-X
今回のライブで、Li-sa-Xは十分すぎるほど大役を
果たしていたと思う。
少なくとも、“Paul Gilbertの系譜を継ぐ存在”としての
説得力は、完全にあった。
でも個人的には、もう「後継者」という言葉すら超えて
いってほしい。
彼女には彼女の音がある。
そして今は、KOIAIというバンドで活動し、
そこには佐藤奏のような強烈なプレイヤーもいる。
だからこそ、
これからは“ポール・ギルバート直系”ではなく、
「Li-sa-Xというジャンル」
に進んでいく気がしている。
今回のライブは、その入口を見た気がした。
