【遊戯王マスターデュエル】Season50環境における魔術師の現在地【覇王魔術師】
皆さんこんにちは.沙里葉(Sariha)です.連日の投稿になります.
今回は,マスターデュエル(MD)の魔術師について軽く語りたいと思います.
結論から言うと,現在の魔術師は「弱くはないが窮屈なデッキ」です.
全文無料です.よろしければ最後までお付き合いください.
以下,「だ・である調」で失礼します.
はじめに
OCGがバカ強い新規で盛り上がる中,一方のマスターデュエルはと言うと…
アストログラフ・覇王スターヴ・エレクトラムの規制解除に加えて滅びの黒魔術師もついに実装された上に,OCGでは禁止のスプライト・エルフが無制限で使える状況である.

OCG新規が未実装とはいえ,カードプールだけ見れば悪くはない状況だ.特にエレクトラムが無制限で使えるレギュレーションというのは中々興味深い点である.
しかし「今のマスターデュエルの魔術師って結局どう組むの?」という話題を聞くことが増えたので,マスターデュエル版魔術師を現時点での使用感ベースで整理してみることにした.
筆者は,本業での多忙に加えダイヤ帯で一時完全にスタックしていたため残念ながら今月はMaster帯に到達できていない.したがって,今回はMaster1到達記事や最適解の提示ではなく,あくまで実際に回しながら感じている構築傾向とカード選択理由の共有が目的になることに注意してほしい.
また,基本的に前提知識(ペンデュラムの基本や従来展開)は省略し,ある程度魔術師を触っている人向けの内容となることに留意されたし.
今のMD魔術師を一言で言うと
端的に言って,残念ながら現在のTier1デッキに比べ手数不足かつ自由枠不足なのは否めない.
ただし,回った時の出力は依然として異常に高い.
現在の覇王魔術ズァーク型は,
必須パーツが多い
EXデッキ枠が圧迫されている
汎用カードを入れる余裕が少ない
という特徴があり,構築自由度は見た目よりやや低い.
その一方で展開が通った際の制圧力は高く,天龍→ズァークで止まれるためドロー系誘発相手にも比較的止まりやすい側面がある.
「弱い」というより,「若干要求値が高い」テーマという印象を受ける.
現在の構築

現時点での私が使っている覇王魔術師の構築は上の通りである.要点だけ簡単に解説する.
ダークヴルム:3枚

結論:現カードプールでは素引きして強い初動札のため最大枚数
ダークヴルムを2にするか3にするかはかなり意見が分かれるだろう.おそらく,私の体感では2枚派閥が多い.理由としては,やはり「ドクロバットと召喚権が被る」というのが大きいのではないかと感じている.
しかしながら私の見解として,少なくとも現在のマスターデュエルのカードプールにおいてはダークヴルムは非常に強力なカードであり3積みしても損はしないと考えている.ドクロバットと合わせ引きしたとしてもP効果からスタートして覇王門にアクセスしつつ,ドクロバットでは調弦か覇王門を加えればよいし,ダークヴルム同士がハンドに被ったとしてもダークヴルムP効果→ダークヴルム通常モンスター効果で展開可能である.要するに「とれる役割が多い」カードなのである.
現時点でのカードプールでは,やはり素引きして強力なカードだと判断し3積みに踏み切った.
調弦3枚+賤竜1枚


結論:ダークヴルム同様に現カードプールでは初動兼貫通札として強いため最大枚数
調弦+賤竜は,採用するかどうかかなり悩ましい.確かに強いが,「必須」とも言い難い微妙な強さのカードである.実際に一時期不採用にしていたこともあった.
調弦は,一応Pスケールに張ることもできるとはいえ,基本はP召喚しなければ仕事をしづらいカードである.賤竜も,素引きするとイマイチパッとしないし,覇王門とスケールが被ることになるので,積極的に採用すべきカードかと聞かれると難しい.しかし今回は採用に踏み切った.
まず,調弦を素引きしていると,P召喚に成功しさえすれば相手にドロバを撃たれた場合でもドロバをかいくぐって盤面を伸ばせる.これができるのは大きい.特に,今環境ではVSK9および巳剣のメタでドロバがそこそこ流行っているように感じるので,ドロバへの回答は個人的には必須と考える.
加えて,本来はもっぱら調弦でP召喚してバロネスを狙う賤竜も,ドロバ適用下では慧眼から張り替えたのちP効果を使って手札を増やせる.これも,賤竜採用の強みである.
さらに,バロネスの存在である.現在のマスターデュエルのカードプールでは新アストロが未実装のため,滅び→ドラグーンでニビルケアをする要求値がやや高い.これに対し,調弦であれば,P前エレクの択を失う代わりに5回目でバロネスを着地させニビルケアを完遂できる.一応,クロノグラフ+ライトヴルムを使ってもバロネスは立てられるが,回してみると分かるがクロノグラフ+ライトヴルムでバロネスを立てるのは中々難しい.
したがって,これらの要素を考慮し調弦と賤竜を採用する運びとなった.
クロノグラフ:3枚

結論:手数のために必須なので最大枚数
個人的には,現在の魔術師にはクロノグラフは必須と感じている.
滅び→ドラグーンの素材になれる
アンヘル,バロネスの素材になれる
ドロバ適用下でもアドバンテージを伸ばせる
アストロと重ね引きしたときにクロノP効果から入るのが非常に強力
など,挙げだせばキリがない.
手数に大きく貢献するカードのため,3枚フルに採用している.
ドロバ:2枚

結論:強いとは言い難いが無難な札なので採用
ドロバはいまだに採用が正解なのかどうか,私でもよくわかっていないカードである.「強い」とも言えるし「弱い」とも言えてしまうカードである.
まず,VSK9はVSとK9のキメラデッキであることから両方のギミックでサーチ効果を使う上に,VSのメインギミックが手札を参照する効果なので,ドロバはかなり重く被弾する.ヤミー,ドラゴンテイル,リシドにはほとんど効かないが,巳剣,月光,白き森にはドロバはかなり強い.魔術師が採用できる誘発で,なおかつ環境をメタるのに「相対的にマシ」な誘発がドロバだった,という運びである.
また,可能性としては高くはないが,ダークヴルム,ライトヴルム,調弦,クロノグラフなどのドロバ適用下でも動きやすいカードを多く引いている状況では,自分のターンにドロバを撃ちドロー誘発を弾く立ち回りをすることもあるだろう.要するに2枚目,3枚目の指名者としての役割も,わずかながら期待できるカードである.
ドロバが本当に採用に足るカードかどうかは今後精査していく予定である.
墓穴の指名者:1

結論:現環境必須.必ず入れたい1枚
墓穴は,一時期不採用にしていたこともあったが,再度採用することとなった.
理由としては,K9の存在が大きい.
覇王魔術師は覇王門効果やアストロ,クロノ効果でイヅナを誘発してしまうため,そのままだとルプス→RipperやNASHで妨害されてしまう.先攻展開中であっても相手のメインギミック(ないし出張)の妨害を受けることになり,展開が通りにくくなる.これを回避するために,墓地のルプスを除外するための墓穴は現在採用すべきであると判断した.
後手を取った場合でも,VSK9のルプス,巳剣の儀式体,月光のハウンドなど,墓穴がActiveになる状況がそれなりにあるので,今回の採用に至った.
星霜:1

結論:展開札としてもミッドレンジのアドバンテージ確保としても優秀な1枚.できれば採用したい.
星霜は採用するか好みが分かれるカードである.
筆者はかつて2024年ごろは星霜を不採用にして時空のみの採用としていたが,現在は星霜を採用している.
星霜不要派の主張としてはおそらくこうだろう.
サベージを採用している場合,星霜+時空+サベージの装備で魔法罠ゾーンが埋まる
星霜と時空をサーチしきるには,虹彩を2回割る必要があり要求値が上がる
星霜と時空のどちらをサーチするかでの判断ミスが発生しうる
どれも一理あるし,間違ってはいない.
逆に,私が今星霜を採用する理由はこうだ.
星霜効果で往復で2枚手札が増える→ミッドレンジに強くなる
3ターン目でのP召喚,および手数によるリーサルの可能性がより強固なものになる
ドラグーンの手札コストが捻出しやすくなる
虹彩を2回割るのは今の構築ではそこまで難しくない
エレクトラム,スターヴのエレクトラムコピー,軌跡,バロネスなど,虹彩を2回割る手段はそれなりに多い
現状サベージを不採用にしているので,魔法罠ゾーンが埋まる心配は少ない
初動および展開札として強い
覇王門や調弦を状況に応じて万能サーチできるので,素引きしたとしても初動として強く,軌跡効果でスケールを2枚破壊した時でも星霜効果でサーチした魔術ネームでスケールを張りなおせる
星霜を叩き割ってくるライゼオルがほぼ絶滅危惧種状態
今後の構築変遷次第では不採用にする可能性もあるが,現状は採用に足るカードだと判断し採用している.
アンヘル

結論:後手捲り最強クラス.完全体腕組みで拾える試合も少なくない.準レギュラー,準必須枠.
アンヘルの画像
アンヘルは,過去に筆者が書いたnoteの時点でも採用しており,続投しての採用となる.
https://note.com/eastern_yumemi/n/nedaa28113460
以下,採用理由を過去記事より抜粋する.
捲り性能が非常に高く、光・闇属性が多いこのデッキではかなり出しやすい1枚です。
デッキによっては完全体アンヘルに対する回答がほとんどないこともあるため、狙える状況なら積極的に完全体を目指したいカードです。
完全体アンヘルは、
《ライトヴルム》+《クロノグラフ・マジシャン》
《慧眼の魔術師》+《クロノグラフ・マジシャン》
《時読みの魔術師》+覇王門
などから比較的簡単に作れるため、「捲り札」として見たときの優先度はかなり高いと考えています。
以上が過去記事からの抜粋である.
一応追記しておくと,他にもアンヘルを採用すべき理由は存在する.
MDでは,天盃龍,後手ジェムナイト,古代の機械,後手閃刀姫など,後手デッキにもまれに当たる.
相手が後手を取ってきた場合,とにかく相手ターンを耐えることを考えなければならないので,完全体アンヘルの戦闘破壊耐性を使って耐久する状況もそれなりにある(それでもサンダーボルトなどでは倒されてしまうが).
取れる役割が多いカードであり,現状不採用にする理由が無いためここでは採用を続投している.
不採用カード
全ては網羅しきれないので,質問のあったカードについてのみ説明する.
星読みの魔術師

星読みは素引きすると弱いが,主にアストログラフP効果で出すことを期待して採用されるケースもある.実際に筆者も採用していた時期もあった.
星読みを採用していると,アストログラフを重ね引きした場合にアストログラフP効果を使って星読みをリクルートしながらアストログラフSS→3枚目のアストログラフをサーチする動きができる.これは確かに強力である.
しかしながら,逆に言えば,余程の大事故で星読みから動かなければ初動が無いケースや,アストログラフを重ね引きしているケースでないと強く使えないカードである.星5なのでノーコスでは通常召喚できない上にスケールが1なので覇王門と競合する点でも低評価である.
「アストログラフP効果を使わなければ動けない」ケースがもし今後頻発するなら採用可能性もあるが,現時点では採用を見送っている.
おろかな埋葬(竜の霊廟)


長らく覇王魔術師を支えてきたカードである.召喚権を使わずダークヴルムが盤面に供給できる点がかつて高評価であったが,筆者は随分前からこれらを不採用としている.
理由は以下である.
名称ターン1がついているため被った時に弱い
ダークヴルム墓地効果にわらし等の墓地メタを被弾する
アストログラフ・クロノグラフが3枚使えるので,展開札が充足し採用の必要が無くなった
特に,「墓地メタに弱い」というのが無視できない弱点である.ペンデュラムは本来墓地を使わないことから一般的な墓地メタが効かないデッキであるが,霊廟やおろ埋を入れてしまうとドラゴンテイルのスティングやリシドのソウルドレイン,M∀LICEのWHITE BINDERを重く受けるようになってしまうため,現在は採用を見送っている.
現在の構築軸:覇王魔術ズァーク
現状は,私の考えでは覇王魔術ズァーク軸が前提になりやすい.
EM魔術師のような純粋な展開・ミッドレンジ特化の構築でも覇王幻奏やドレミコードのような誘発や汎用で粘る構築でもなく,結果的に中間的な構築に収束しやすいのではないだろうか.
ただし問題はここで,必要カードが多いため自由枠がほとんど残らない.
「何を入れるか」よりも「何を削るか」 を考える時間の方が長くなる.
誘発枚数の体感
現在はおおよそ 6枚程度 に落ち着く印象だ.リシドやラビュリンスのような罠ビートは例外として,一般的なTier1デッキや環境デッキと比較するとかなり少なくなってしまう.ただ,むろんこれには理由がある.
魔術師には1枚初動が依然として存在しないため,覇王ギミックを以てしても初動の要求値が高くなるため展開札に枠を持っていかれる.その気になれば展開札を絞って誘発を積むこともできなくはないが,先攻の事故率が上がってしまう.このため誘発の枠があまり残らない.
覇王魔術師は光属性と闇属性を両方使うため,現在のマスターデュエルのカードプールに実装されている「聖王の粉砕」「霊王の波動」はどちらも採用が困難である.また,アストログラフやクロノグラフを連打するため「列王詩編」も入らない.つまり,いわゆる「強い誘発」が採用しづらくなっており,採用する誘発の種類も限られてくる.
現在の環境はかなり荒れている.VSK9が非常に強いのは言うまでもないが,ヤミーも同レベルで強いしよく見かける.次いで,巳剣,リシドに加えて,月光,白き森,ドラゴンテイル,閃刀姫などもそれなりに見かける印象だ.つまり,「メタる側」からすると「分布が散りすぎていてメタりにくい」環境なのである.メタりにくい環境ということは,当然採用する誘発や汎用札の種類も選ぶのが難しくなり,結果として誘発を絞って展開札に構築を寄せざるを得ないというのが実情である.
ご存じの通りマスターデュエルはBO1である.BO3のOCGであれば,メインのマルチャミーをサイド後の先攻札に全入れ替えするなどが可能だが,BO1のマスターデュエルではそれができない.したがって,フワロスやプルリアのような「先攻で絶望的に弱い誘発」を採用するのは私はかなりリスクのある選択だと思っている.これが例えば,千年スネークアイのように神殿で魔法罠ゾーンに埋めたり,アザミナ白き森のように欺きのコストにできるなどの活用方法があれば話は変わってくるが,魔術師はせいぜいP召喚してリトルナイトの素材にしたり,滅びで出したドラグーンのコストにするくらいしか活用方法が無いので,「先攻で十分に活用できる」とは言い難いと感じている.そのため,魔術師はマルチャミーを無理なく採用できるデッキとは言い難いと判断した.
実際,
先攻で誘発過多になり展開不能(しかもマルチャミーしか誘発を引かない)
という負け方が非常に多く,ここは構築段階で常に悩まされる部分であった.
新規カード所感
滅びの黒魔術師


やや要求値は高いものの,アストログラフorクロノグラフ素引き+手札コストを確保していればドラグーンでニビルケアができる.
展開パターンにも依存するが,アストログラフが最終盤面に残る場合には無理なくドラグーンに繋げられる.ハンドコストを切るとはいえ万能無効が1枚増えることになるので,非常に強力な新規カードと言って差し支えないだろう.EM魔術師に比べて手札の伸びは鈍いとはいえ,多くの場合展開を続けていればドラグーンのハンドコストくらいは自然に手札に残ると思うので,無理なく運用できると思う.
実質「リンク1」のため,アストログラフかクロノグラフを引いてさえいれば出しやすく,耐性と万能無効で後手の捲りにも寄与するため,今後は個人的には必須枠になってくるのではないかなと感じている.
■W:P ファンシボール

まさかの,OCG・TCGともに未実装でMDに先行実装された完全新規カード.
結論:現状は不採用.
理由は主にリンク値と役割.
リンク3のため展開途中で出しづらい(エレクトラム2枚目が欲しくなる構造)
マスカレーナを蘇生できるスプライト・エルフやア・バオア・クーなどを採用しないと性能を活かしきれない

加えて,このカードは「先攻盤面をさらに強くする」タイプのカード.
現状の魔術師は先攻性能自体は既に十分であり,優先すべきは後手や安定性側と判断したため採用は見送り.
■ K9ギミック



実装前はかなり期待していたが,想定ほどの魔術師強化にはならなかった印象.
後手でも使用可能ではあるものの,
RipperをX召喚しても決定的な妨害になりづらい
強力な妨害(NASH等)を採用しようとするとEX枠が足りない

結果として,
後手札というより
先攻で誘発を貫通する補助寄りのカード
という評価に落ち着いた.
EX枠の圧迫を考えると優先度は下がるという結論.
現在感じている課題
後手勝率の低さ
手札事故
EXデッキの圧迫
手札誘発の質の問題
強い手数の不足
ニビルケア問題
どれか一つを改善すると別の部分が歪むため,まだ構築が収束している段階ではないと感じている.
まとめ
現状の覇王魔術ズァークは,
自由度は低い
要求値は高い
しかし通った時の出力は依然トップクラス
という,かなりピーキーな立ち位置にあるテーマだと思う.
まだ「これが完成形」と言える段階ではなく,調整余地はかなり多い.
だからこそ,今はマスターデュエルでもOCGでも魔術師を触っていて一番面白い時期なのかもしれない.
もし同じように試行錯誤している人がいれば,ぜひ一緒に研究していきたい.
おわりに
筆者は現在Discord上で「魔術師」研究サーバ「魔術師の右手」を運営しています.
参加をご希望の方は,XまたはDiscordで私に連絡をください.
一緒に魔術師を盛り上げていきましょう.
謝辞
本記事は本公開前に,「魔術師の右手」メンバーよりレビューをいただきました.
この場を借りて深く感謝申し上げます.
ありがとうございました.
