土用の主役は、鰻より梅干し
夏の土用が始まっている。
夏の土用といえば、鰻と相場が決まっている。
でも私は、鰻がなんとなく苦手だ。
皮の感じと、少し泥くさいような身の風味が、どうにも好きになれない。
だから土用の丑の日も、ほんの気持ち程度の鰻と、それに見合わないくらいたっぷりのタレで満足できる。なんなら、タレだけでも十分なくらいだ。
そんな鰻だけど、ただひとつだけ例外がある。
名古屋・蓬莱軒のひつまぶしだ。
初めて食べたときは、本当に衝撃だった。
「あれ? 同じ鰻だよね?」
と思いたくなるくらい、おいしかった。
食べ方も衝撃だった。
一杯目はそのまま。
二杯目は薬味を添えて。
三杯目はだしをかけて。
「ドラマティックあげーるよー♪」
と、ひつまぶしに歌われているようだった。
一口ごとに味が変わり、そのたびに「鰻ってこんなにおいしかった?」と驚く。
まるで別の料理を食べているような感覚だった。
とはいえ、それ以外の鰻では、まだそこまで感動したことはない。
人生でまだ三回しか食べていない蓬莱軒のひつまぶし。
胃袋が元気なうちに、あと何回かは食べておきたい。
さて、夏の土用には、梅干しを干すといいらしい。
ということで、本日さっそく干してみた。
世界と日本の歴史がたっぷり詰まった梅干しは、梅酢もよく上がり、赤紫蘇もいい仕事をしてくれた。
今年は初めて赤紫蘇を入れてみたけれど、なかなかいい出来だ。
あとは三日間、天日干しするだけ。
実はそのために、昨日、東京・蔵前でザルを買ってきた。

なんと450円。
「このザルに出会うために、私は蔵前へ行ったのかもしれない。」
そんなことまで思ってしまった。
はるばるTOKIOから運んできたザルに、一キロ分の梅を並べる。
きれいに並んだ梅を眺めているだけで、なんだかうれしい。
今日は一日目。
あと二日、しっかり太陽の力を借りよう。
世界と日本の歴史を背負った梅干しが、どんな味になるのか。
今から楽しみでならない。
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