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『オソラクツバキ』 そんな名がついた椿の正体とは?

おそらく椿
(オソラクツバキ)


ツツジ目、ツバキ科、ツバキ属の常緑低木


江戸時代初期の大名として名を馳せた人物がいた。
茶人、作庭家、美術愛好家としても著名な人物が
『小堀遠州』(コボリエンシュウ)である。


本名は、小堀政一(コボリマサカズ)、将軍家にて
茶道の指南役や、作庭の名手、または茶の湯での
『綺麗さび』の精神を体現した人物でもあり、閑寂
や枯淡の中にも、華やかさや麗しさのある風情を
指し『遠州流茶道の神髄』ともいわれ、千利休の
『わび茶』を継承しもって、より洗練された優美さ
としての『雅』を追求した人物とされてて、この
コボリエンシュウの名は、晩年に使われたもの。


そんな小堀遠州が催した茶会の場にて、床の間に
一輪のツバキが静かに生けられていた。


客の一人がその花の佇まいを見て、遠州へ尋ねる。
『この美しい花の名前は何というものでしょう?』


遠州は、はっきりとしたツバキの品種名を答える
ことはなく、こう答えたのだという。


『おそらく椿でござろう』


遠州は、茶会を催した側の人物であると同時に
その椿の品種名を知らぬほどの人物ではない。


では何故、この客人からの問いに対しての回答が
『おそらく椿でござろう』の回答だったのか?


その理由は、彼の持つ日本的な美意識、特に茶道
に通じる『間』や『余白』、『控え目の美学』
にあるとの解釈も考えられる。問うた者に対して
曖昧な回答を与え、名を断定しないことで想像の
余地を残してその解釈を委ねる美学、なのだとも
考えられる。


または名で縛らず、そのままに咲いている花の姿
を受け入れさせる。『名より姿』『理より趣』
という自然観がそこにあると考えられる。これは
遠州の中にある断定を避ける事で曖昧さを残す美学
の説や、対話を拡げる余地を残す遊びもあるもの
とされる。


さて、ではこのツバキの正体を確認しよう。


伏見の御香宮神社に、小堀遠州遺愛と伝えられる
椿があるが これは五色八重散椿と同種のものと
考えられている。八重に咲くそのツバキは五色の
表現にある通り、色変化に富んだものである。


小堀遠州の『おそらく椿でござろう』の言葉の裏に
『おそらくこの椿の花ほど良いものは無いだろう』
と愛でた言葉が『おそらく椿』の名で残る逸話とも
なったのである。




和名 椿 (ツバキ)
洋名 ジャパニーズ カメリア
   (JAPANESE CAMELLIA)
学名 カメリア ジャポニカ
   (CAMELLIA JAPONICA)
品種 五色八重散椿
   (ゴシキヤエチリツバキ)
   おそらく椿
   (オソラクツバキ)
分類 ツツジ目、ツバキ科、ツバキ属
種類 常緑低木
草丈 1〜3m 
開花 3〜5月 
花色 白、淡桃、桃、濃桃
咲型 八重咲、宝珠咲
花径 6〜9cm 中輪〜大輪
言葉 誇り
   控えめな優しさ
撮影 霊鑑寺

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小堀遠州(コボリエンシュウ)

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