第42話 General Terms and Conditions-交渉に先立って
前回に一般条項といえども交渉不可ではないというお話をしました。今回からは具体的な対処方法を考えてみます。
まず出発点です。前回に一般条項は「交渉の簡素化を図るため」に作られるといいましたが、本当は作成者は交渉したくないのです。そのことを理解した上で考えてみましょう。
交渉するもの、しないものを選定する
不満かもしれませんが争点を最少にしぼって下さい。それが得点率をあげる最短の道です。内容だけでなく、文法、体裁にいたるまで何十項目もの意見を出したとしたら、相手の法務担当者は検討する前に「書式の変更には応じない!」と答えるでしょう。
せっかく修正を要求するなら、相手に受け入れて欲しいものです。そのためには小さいことには目をつぶって、本当に気になることだけを議論します。争点は少なく、追及は鋭い方が交渉ははかどります。「ダメもと」は出さない方が賢明です。(☚これがポイント)
そこで、あまり法律的な議論ではありませんが、最初に各条項について、わざわざ交渉する価値があるかどうかを考えることが必要です。 ’negotiables’をリストアップしたら、その内で ’acceptables’(これらの言葉については前回参照)に格下げできるものがないか検討します。
例えば「個人情報」に関する条項は意味のあるものですが、その内容が仮に相手に有利なものであったとしても、目の前の取引にあまり関係なければ「無害」ということで放っておくこともできます。
その他にまず双方ともに、自分たちの思ったとおりにはできないけれども、受入れ可能な中間的な着地点がある条項があります。例えば「準拠法」条項がそうです(第14から16話参照)。
‘unacceptables’をいつ交渉するか
交渉を必要とする事項のうちで、「譲歩すらも不可能(‘unacceptables’、’deal-breakers’)」(この言葉についても前回参照)と位置づけたものをどのタイミングで交渉のテーブルに載せるか、については考え方があります。
なお念のためですが、こちらにとって受諾、譲歩不可能な条項は、相手にとっても「交渉の余地がない(’non-negotiable’)」と思い込まないで下さい。やってみなければ分かりません。
早いうちに片付ける
ひとつは最初に持ち出すというやり方です。何しろ「この条項は、削除してくれないかぎり、今回の取引には応じない」ことにしたのですから、早く言った方が時間の節約だというわけです。相手が「我が方も交渉不可能」と言えば、それでお終いです。取引全体への心理的影響なども考慮して決めることでしょう。
最後に持ち出す
もうひとつは、それ以外の部分をどんどん交渉、合意・確定した上で、満を持して最後におっとり刀で「削除」を要求するという方法です。案外、相手方は「ここまで話がつまったのだから、削除に応じることもやむを得ない」と考えるかもしれません。商談成立を人質にとって、削除をせまるという戦法です。
途中で出すことも
もっともある条項について、相手に「ははぁーん、重大なことだと考えているな!」と思わせないのも大事なことです。相手に弱みを握られることになりかねないからです。ポーカーフェイスで「えーっと、次の条項は削除でいいですね」と何気なく切り出すのもテクニックのひとつです。
