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第46話 General Terms and Conditions-交渉の技法(4)

前回に1語、数語の追加で、条項を自分の側に寄せることが出来るという話をしました。

他にも例はありますか?

もうひとつよく出てくる ’substantial’ という言葉を見てみましょう。この言葉は「実質的な、本質的な」などと訳されます。「かなり重大な」といった意味合いで使われます。副詞で出てくる場合もあります(「副詞」については国際契約英文法ー契約書に副詞は出てきますか?もご覧下さい)。

The Company may terminate Executive’s employment …:

(iii) substantial and continuing neglect or inattention by Executive of the duties of his employment …;

和訳:
会社は以下の場合に執行役員の雇用を解除することができる:

(iii) 執行役員によるその勤務上の義務の実質的、及び係属した懈怠、又は放置;

もし ’substantial’ という語がなかったら、大したことのない懈怠、放置でも首を切られるおそれがあります。なお、ここでは ’continuing’ ということも要求されています。

逆に働く場合に注意!

このように厳格な適用に少し手加減を加えるような言葉には、その他にadverse(ly)、possible(ly) などがあります。

ただ注意してほしいのは、このような1語、ないし数語の挿入が常に自分に有利に働くわけではなく、こちらに不利な効果があることもありうるということです。

次の例を見てみましょう。ライセンサーがライセンシーにライセンスをし、ライセンシーはその下に公認の小売店網をもっている、という構図です。もし末端の小売店が十分な売上などを達成しなければライセンシーはその代理店をシステムから切り捨てなければならない、という規定です。 

If the Licensor determines that any Approved Retailer does not satisfy the criteria in Article 9, the Licensee shall withdraw the approval as a member of the Selective Distribution System, possibly after a reasonable notice to cure if the applicable violation is curable.
 
和訳:
もしライセンサーがいずれかの公認小売店が9条の基準を満たしていないと判断したら、ライセンシーはもし当該違反(注:基準の不達成を意味する)が治癒可能なものである場合は、可能であれば合理的な通知後に選定代理店システムのメンバーとしての公認を取り消さなければならない。

’possibly’ が入っていなければ、小売店が基準を満たさなかった場合に、合理的通知をした上で切り捨てることになるのですが、この語があるために切り捨て義務の内容が曖昧になってしまいました。

もともと小売店の違反が「治癒可能なものである場合」というすっきりしない基準がある上に、「可能であれば合理的な通知後に」というわけの分からない条件が追加されてしまっています。

ついでながら、この規定には ’if’ が2つあることが、解釈をややこしくしているところがあります。

「可能であれば」とはどういう意味でしょう?どんなときに通知がなくてもすむのでしょう?可能でなければ通知内容は合理的でなくてもいいのでしょうか?出来たら切り捨てたくない小売店があって、通知を出すのを渋っていたら、ライセンシー自身が切り捨て義務違反をおかしたことになるのでしょうか?疑問は尽きません。

’possibly’ を外すだけで、大分ライセンシーにとってすっきりします。

こういう例は結構あるものです。ドラフトを見たら「この語があったらどうなるか」「なかったらどうだろう」と考えて、声を出して読んでみるとよいと思います。


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