国際契約英文法ー文章の主語は1つに(2)
1つの主語が2回以上出てくる場合はどうでしょうか?
前回に読みやすい文章を書くには、主語を1つにするとよいといいました。「1つ」と言っても、実際には文中で主語が繰り返して使われる場合は少なくありません。そのことを考えてみましょう。
まず、主語が1つということは、文中での使用回数が1回であるということではありません。(☚これがポイント)
次の例を見てみましょう。この規定にはなすべきことが2つ書いてあります。その両方の主語が ’the Buyer’ です。
The Buyer shall examine the goods as soon as possible after their arrival at ultimate delivery destination and shall notify the Seller in writing of any lack of conformity of the goods within 15 days from the date when the Buyer discovers or ought to have discovered the lack of conformity.
和訳:
買主は、商品が最終引渡地点に到着次第速やかに検査し、買主が適合性の欠如を発見し、又は発見すべきときから15日以内に、適合性の欠如を書面で売主に通知しなければならない。
読む人は文頭にある ’the Buyer’ を念頭に置いて、最後まで読み進んでいくことが出来ます。’and’ でつながれて少し長い文章ですが、’and’ のすぐ後の ’shall notify’ は、頭に残っている主語 ’the Buyer’ に直接続くので、特に立ち止まって考え直すことはないでしょう。
次の例は企業買収契約書、ローン契約などに出てくる「表示と保証」条項です。
Each Party represents and warrants to the other Party, as of the Effective Date, that: (A) it is a corporation duly organized, validly existing and in good standing under the laws of its jurisdiction of formation; (B) it has full corporate power and authority to execute, deliver and perform this Agreement, …
和訳:
各当事者は相手方当事者に対して、発効日において、以下の通り表示し、かつ保証する:(A) その設立国の法の下で、適法に設立され、存在し、何の瑕疵もない;(B) 本契約を締結し、履行するに必要な会社としての能力と権限を備えている、……
’Each Party’ という出だしに続いて、いくつかの段落が続くのですが、段落の頭にある ’it’ は ’Each Party’ を受けています。このように書けば流れに乗って読み進んで、容易に理解することが出来ます。
文中に異なった主語が出てくるときは、どう考えればいいのでしょうか?
さて、文章中に主語は1つといいましたが、実は文の構造によっては主語が2つ以上あっても、読みやすさの問題を生じない場合もあります。次回はそれを取り上げましょう。
