コト消費への移行:中国ライブコマースの変容(後)
前回の記事では中国におけるライブコマース変容の前編として、かつて「ライブコマース城」と呼ばれたマンションを舞台に、従来型ライブコマースの衰退を描きました。
後編となる今回はマクロ視点へと移し、ライブコマースを取り巻く構造変化を見ていきます。中国におけるEコマースの変化は、この国の消費が「モノ消費」から「コト消費」へ確実に移行しつつあることを映し出しています。
変化の背景:高止まりしたネットユーザー
まず、Eコマースの変化の背景を整理します。かつて右肩上がりで増え続けていた中国のインターネットユーザー数は、近年では普及率80%前後で高止まりするようになりました。

高齢者や低所得者といった一部の層を除けば、ほぼすべての人がインターネットの恩恵を享受する時代に入ったと言えるでしょう。そして、それに伴いEコマースにも苦境が訪れています。
この環境では、これまで有効だった「市場拡大→ユーザー獲得→売上拡大」という成長モデルは成り立ちません。
売上を伸ばすためには、新規市場を開拓するのではなく、既存市場の中で他者の顧客を奪う必要がある。中国のEコマースは “パイの奪い合い” の段階へ移行したのです。
変化の背景:増え続けるコスト
こうした環境で増加したのが、Eコマースのコストです。広告費等による顧客獲得のためのコストは右肩上がりで増加し続けました。

アリババ(阿里)、京東、拼多多(TEMU)
こういった環境で、Eコマースサイトに出店しているショップの売り上げと利益はどうなるでしょうか。これは中国SNSに投稿された事例です。

売上高は1,308万元だったが、財務計算を行うと純利益はわずか5.3万元に過ぎなかった。内訳は次のとおり。
損益内訳
売上:1308万元
販促費:582万元
商品原価:437万元
人件費・物流:216万元
その他(罰金・返品・家賃・税等):約74万元
廃品収入:6万元
→最終利益:5.3万元
1308万元の販売で最終利益は5.3万元。利益率は約0.4%です。
本人はこう嘆きます。
「今年、国内のECサイトで出店しているショップは十数店あるが、赤字にならず、しかも利益が出ているのは私だけ。他の低価格競争をしている店は、だいたい3〜6%の赤字で、結局プラットフォームのために働いている」
Eコマースサイトの出店者グループ内では「Eコマースは本当に儲からない」と嘆く声も上がっています。
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