中国ネット通販の闇:地域ブラックリスト
今回は中国のネット通販で起こっている人と人のせめぎ合いを紹介します。
通販の地域ブラックリストとは「通販が届かない地域」のことで、このブラックリストができたキッカケは、多くのECプラットフォームが導入した消費者保護ルール「返品なしの全額返金」です。
これは「安かろう、悪かろう」というネットショッピングのイメージ払拭を狙ったサービスですが当然ながら悪用するユーザーも出てきます。
今回の物語はサービスを悪用するユーザーと、それに対抗する店舗。そしてそれに巻き込まれる一般ユーザーの姿です。
「返品なしの全額返金」とブラックリスト
今年5月、浙江省・杭州市の市民は奇妙な現象に気づいた。
高級ブランドのネットショップで、届け先を指定しても、画面に「ご購入いただいた商品は制限エリアのため、現在は購入できません」という一文が表示されるのだ。
これはシステムの不具合ではなく、店舗が意図的に行っているものだった。この地域は多くのライブコマース関連企業が集まっており、若いライバーの間で「ライブコマース用に一度着てから返品」という悪癖が定着していた。
多くの店舗が、こうした悪質な返品対応に悩まされ、地域全体をブラックリスト化したのである。
こうした「地域ブラックリスト」は、すでに広範囲へ広がっている。中には人口1億人超の省全体を販売禁止にしているケースもある。
これはやむを得ない措置だった。大手ECプラットフォームが顧客獲得を競うなか、消費者保護としてユーザー優位の返品制度を相次いで導入し、それに便乗する悪質ユーザーが現れたからだ。
やがて、店舗は全ての消費者が悪意を持っているわけではなく、問題の本質はプラットフォームにあることに気づく。しかし、プラットフォームへ権利を主張するルートは用意されていなかった。
最終的に互助会が誕生した。その主催者は車を走らせ、スピーカーを持って悪質消費者の自宅まで行き、直接呼びかけを行った。やがて、そこにビジネスチャンスを見出し、ついにはプロの取り立て屋へと転身したのである。
地域ブラックリスト
山東省・煙台市の女性、肖雲(シャオ・ユン)はスマホの前で10分以上も待っていた。画面から目を一瞬たりとも離さない。抖音(TikTok)のライブ配信ルームは熱気に包まれていた。
アイテムの紹介スピードは速く、商品へのリンクは次々と切り替わっていく。ようやくお目当ての品が登場し、カウントダウンが始まった。肖雲は「これは最速で勝ち取るしかない」と確信した。

彼女が気に入ったのはインナー、カーディガン、ショートパンツの3点セットで、合計40元(約900円)。「本当に安い」と思った。返品不可と書かれていたが、それも受け入れた。
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