【勝手にLP診断#06】Amazon|他のサイトでは迷うのに、Amazonだと気づいたら買っていませんか?
Amazonって、あまり考えずに買ってしまいませんか。
洗剤を1本だけ買うつもりで開いたのに、気づいたらカートに3つ入っている。
しかもそのまま注文まで進んでいる。
他のサイトだと「ここで買って大丈夫かな」と一度手が止まるのに、Amazonでは止まらない。
今回はロボット掃除機を探している状態のAmazonのページを、あらためて見返してみました。
(なぜロボット掃除機かというと、長年使った我が家の愛用品の調子が悪く買い替え検討中だからです)
ログインした状態のトップページ、検索結果、商品詳細ページ。
この3画面を見ていくうちに、これはLP診断というより「分解」に近いなと感じました。
なので今回は改善案ではなく、購入導線の設計そのものを追いかけていきます。
まず、Amazonはボタンの言葉を変えられない
前提としてお伝えしておきたいことがあります。
Amazonの出品ページで「カートに入れる」「今すぐ買う」のボタン文言を、出品者側で自由に変更できるという公式の仕様は確認できません。
店舗側が触れるのは、商品タイトル、説明文、画像、A+コンテンツあたり。
楽天市場も似た構造です。
つまりAmazonの購入導線は、個店ではなくプラットフォーム全体で設計されたもの。
だからこそ「ページ単位の工夫」ではなく、「システム全体のマイクロコピー設計」として見る価値があります。
① トップページ|一度も「何を買いますか」と聞かれない
ログイン後のトップには、大量の情報が並びます。
・閲覧履歴に基づくおすすめ商品
・セール商品のお買い物を続ける
・保存した商品に関連するセール
・ショッピングを続ける
・再び購入
ここで気づくことがあります。
Amazonは「何を買いますか?」とは、一度も聞いてきません。
代わりに置かれているのは、思考を再開させる言葉です。
「続ける」
「再び」
「閲覧履歴」
買い物を始めさせるのではなく、途中だった買い物に戻してくる。
そして、全部が「あなた」向けになっている。
・閲覧履歴に基づくおすすめ商品
・最近見た商品に関連するおすすめのお得な商品
・お客様の閲覧履歴に含まれている商品を閲覧した人は、こんな商品も見ています
一般論の棚ではなく、自分の棚。
言葉のうえで、しっかり自分ごとになっています。
② 検索結果ページ|言葉の長さが、役割で分かれている
検索結果は、マイクロコピーの宝庫でした。
商品カードに並んでいた言葉を、そのまま拾ってみます。
・在庫あり
・翌々日
・残り17点
・タイムセール
・ダブルポイント
・ベストセラー8位
・過去1か月で500点以上購入されました
・無料配送 7月25日 土曜日にお届け
並べてみると、長さが2種類に分かれています。
短いほうは、状態を伝えるラベル。
「翌々日」「残り17点」あたりは、読むというより目に入るだけで届きます。
長いほうは、事実そのもの。
「過去1か月で500点以上購入されました」は、削ってしまうと意味が消えます。
短くすることが目的ではなく、判断に必要な分だけ書く。
削れるものは削って、削れないものは残す。
その線引きが、かなりはっきりしています。
そしてクリックする前の段階で、星評価、レビュー数、価格、割引率、配送日、ポイントまで揃ってしまう。
判断材料が、先に配られている状態です。
「大人気!」とは、書いていない
ここが個人的にいちばん唸ったところでした。
「大人気!」「売れています!」という煽りは、どこにもありません。
置かれているのは「過去1か月で500点以上購入されました」という数字だけ。
数字は、信頼性と具体性を一気に上げます。
言い切らずに、判断はユーザーに返す。
社会的証明の使い方として、とても静かです。
ボタンは、説明しない
そのうえでボタンは「カートに入れる」だけ。
装飾も、補足も、ひとつもありません。
まわりの言葉が判断を終わらせているので、ボタンが説明する必要がないんですよね。
③ 商品詳細ページ|聞かれる前に、答えている
ここはとても参考になります。
価格とボタンの周辺に並んでいた情報を見てください。
・在庫あり
・無料配送 7月25日 土曜日にお届け(9時間47分以内にご注文の場合)
・出荷元 Amazon
・販売元
・支払い方法 お客様情報を保護しています
・アフターサポート
これ、全部「質問される前の回答」なんですよね。
いつ届く?
本当に在庫ある?
誰が売ってる?
カード情報は大丈夫?
購入直前に浮かぶ疑問が、聞かれる前に消されています。
ボタンを強くするのではなく、押せる状態をつくる
ボタン自体は「カートに入れる」だけ。
飾りも、感嘆符も、長い説得もありません。
その代わり、まわりが安心材料で囲まれている。
ボタンの上は、行動へのモチベーションを高める要素。
ボタンの下は、顧客が抱く懸念を先回りして取り除く要素。
マイクロコピーの基本そのままの構造が、そこにありました。
Amazonは、ボタンを強くしていません。
ボタンを押せる心理状態をつくっているんです。
ふたつのボタンは、コピーではなく行動設計
商品ページには、ボタンが2つ並んでいます。
「カートに入れる」
「今すぐ買う」
どちらも短くて、説明ゼロ。
でも役割は、はっきり分かれています。
まだ比べたい人と、もう決めている人。
同じ「購入」でも、行動のスピードが違う。
言葉を足して説得するのではなく、出口を2つ用意して分岐させる。
これはコピーの工夫というより、行動設計に近いと感じました。
AIの入口まで、マイクロコピーになっていた
商品ページの上部には「Rufusに尋ねる」というAIの入口があります。
面白いのは、その下に並んでいた言葉です。
・この掃除機はペットの毛に対応していますか?
・このロボット掃除機は自動で充電しますか?
・この掃除機は壁ぎわまで掃除できますか?
FAQではありません。
ユーザーが聞きそうなことを、質問文のまま置いている。
「検索する」という手間も、「何を聞けばいいか考える」という手間も、先に減らしています。
ここまで来ると、もはや接客ですね。
Amazon全体を通して見えたこと
3つの画面を見終えて、いちばん印象に残ったのはこれでした。
Amazonは、売るためのコピーをほとんど書いていない。
代わりに徹底されているのは、次の4つです。
・次に何をすればいいか迷わせない
・購入前に浮かぶ疑問を先回りして消す
・数字・評価・配送・在庫を短い言葉で提示する
・行動を促すより、行動しやすい状態をつくる
マイクロコピーというと、どうしてもボタンの文言に目が向きます。
でもAmazonで本当に参考になるのは、ボタン以外の短い言葉の積み重ねでした。
画面全体が「迷いを減らす言葉」でできている。
その積み重ねが、あのスムーズな購入体験になっています。
私たちが持ち帰れること
Amazonのカート周りの情報量は、私も独自ドメインのページをつくるときに参考にしてきました。
「在庫あり」と書いてあるだけで、注文が増えることがあります。
「何時間以内のご注文で、いつ届く」も同じです。
自社のページに置き換えるなら、こんな問いになります。
・ボタンの近くに、届く日は書いてあるか
・誰が売っていて、誰がサポートするのかは分かるか
・購入直前に浮かぶ不安に、聞かれる前に答えているか
・「人気です」ではなく、数字で置き換えられないか
どれも、デザインを作り直さずに試せることばかりです。
まとめ
強い言葉で背中を押すページは、たしかに目立ちます。
でもAmazonが積み上げていたのは、その逆でした。
背中を押すのではなく、前の壁をどけていく。
「買ってください」と言わないのに買ってしまうのは、そういう設計だからなんだと思います。
私なら、まずボタンの真下に「在庫あり」と「お届け日」の2つを置いてテストしてみます。
たった2行ですが、購入直前の不安がいちばん厚い場所です。
そこが動くかどうかで、ページ全体の打ち手も変わってきます。
ボタンの言葉そのものより、その前後で何を消すか。
このあたりの設計を、190社以上の改善事例からまとめた記事はこちらです。
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