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現地校に転校して1年。インター育ちの娘が“英語スピーチ大会”でクラス1位になるまで。


はじめに:1年前に現地校へ入ったときのこと

このタームが終わると、ちょうど長女が現地校に転校してから丸1年になります。

たった1年、されど1年。
今日は、そのはじまりの瞬間を少しだけ振り返ってみようと思います。

長女は、4歳の頃からずっとインターナショナルスクールに通っていて、
英語で困った経験というのは、ほとんどありませんでした。

むしろ、英語環境が“当たり前”になっていたので、
現地校への転校も、それほど大きなハードルにはならないのでは…と、正直思っていました。

でも、実際は違いました。

まず彼女が最初に驚いたのは、ネイティブの子たちの“話し方”でした。
とにかくスピードが速い。

そして、スラングや省略が多くて、何を言っているのか全然わからない…。
そう感じる場面が、思っていた以上に多かったそうです。

授業に関しては、先生の話す内容や指示は問題なく理解できていたようです。
ただ、先生が使う単語の中には、インター時代にはあまり出てこなかったような、難しい表現もちらほら混ざっていて、そこにも違いを感じていました。

聞いたことのない単語は、その場でなんとなく音だけ覚えて帰ってきて、
家で「あの言葉ってどういう意味なんだろう?」と調べる。
そんな日々を、転校して最初の頃はずっと続けていたように思います。

英語が“できる”つもりだったからこそ、
そのギャップに少し戸惑い、面食らった1年前のあの日。
そこからすべてが始まりました。

インター育ちの「盲点」だった


正直、ある程度は予想していました。

インターにもよりますが、少なくとも娘たちが通っていた学校では、
英語を第二言語として学んでいる子の割合が圧倒的に多かったんです。

もちろん、第一言語が英語の子も一部にはいたけれど、
クラスの雰囲気としては、「英語学習者同士で成り立つ英語」が中心だった気がします。

先生たちはネイティブで、教育熱心な方も多かったですし、
生徒の英語力に配慮して、表現やスピードを調整してくれていたと思います。

でも、やっぱりそれは「英語ネイティブ社会のど真ん中」で飛び交う会話とは違ったということですね。

現地校では、ネイティブの子どもたちが自然に使うスラングや、
ものすごいスピードでの会話、単語の省略が当たり前。

しかもそれがグループ内のやり取りでどんどんテンポよく進むから、
ただ“英語が話せる”だけでは、聞き取るのが難しい場面がたくさんあったようです。

これは、おそらくオーストラリア特有の表現やアクセントも影響していると思います。

いくら英語力があっても、土地特有の言葉や言い回しには、
実際にそこで生活しないと慣れない部分がありますよね。

そうした現実に、長女自身もある程度覚悟はしていたと思います。
それでもやっぱり、実際に“食らう”と、ショックはある。

「思ってたより通じない」「思ってたより聞き取れない」

そんな現実にぶつかって、自信を失いかけた日も、きっとあったんじゃないかなと思います。

それでも、あえて現地校に飛び込んだのは、
今のレベルからもう一歩先に進みたいという、本人の強い意志でした。

私はその決断を、心から応援したいと思ったし、
きっとこの経験が、今後の大きな糧になると信じていました。


スピーチ大会で見たオージーキッズのすごさ


最初のころは、友達づくりも一筋縄ではいかず。
それでも少しずつ優しい子たちに恵まれて、
長女なりに時間をかけて関係を築いていったと思います。

そして、転校からちょうど一年が経ったころ――
学校で「Speak Up」といってスピーチ大会が開催されることになりました。

このスピーチ大会、実は私たちも今年初めて知ったんですが、
段階を踏んで、最終的には他校と競い合うという、わりと本格的なもの。

まずクラスごとに一人ずつ発表し、先生が代表を選出。
その後、学校代表と進み、地域大会へとつながっていくそうです。

スピーチのテーマは自由。

でも驚いたのは、その準備プロセス。

原稿づくりはすべて学校の授業内で完結するルール。
リサーチ時間までちゃんと設けられていて、
“親のヘルプは禁止”というスタンスが徹底されていたんです。

「内容がよくなるから、親に手伝ってもらうのはNG」――
そういう方針、私はとてもいいなと思いました。

原稿も、話す練習も、基本的には全部自分の力で。
大変そうだけど、それだけ「パブリックスピーキング」に重きを置いてるんだなと実感しました。

正直、それまではちょっと“ナメてた”ところがあったんです。

「オーストラリアって勉強そんなにガツガツしてないよね?」
「この学校、アカデミックなタイプ少ないし…」

そんなふうに思っていた私の固定観念が、
スピーチ練習の話を聞くたびに、どんどん覆されていったんです。

特に印象的だったのは、練習中のフィードバックのやりとり。
3人グループで交代で発表し合い、聞いていた2人が発表者にアドバイスするスタイル。

長女がもらったアドバイスの内容が、もう…すごすぎたんです。

「もっと抑揚をつけた方が聞き手に伝わるよ」
「ジェスチャーがあるともっと引き込まれると思う」

――って、いや、みんな小学生⁉と思うほど的確。

ある子なんて、4年生のときに「動きが少なすぎて代表に選ばれなかった」と言い、
翌年は「動きすぎて逆に話が伝わらなかった」という自己分析をしてたらしいです。

その子が「だから動きの“バランス”も大事だよ」って長女にアドバイスしてくれたらしく。
もう、その成熟した視点に私はただただ感心するばかりでした。

長女も本気で取り組みはじめ、
スピーチ原稿は提出後いじれないというルールの中で、
“話し方”にフォーカスして家でも練習を重ねました。

私はTEDトークのアンジェラ・ダックワースさんの「Grit」のスピーチを一緒に観て、ナチュラルだけど引き込む話し方というのを共有しました。

個人的にあのスピーチが大好きなんです。


言葉に感情を乗せる練習をするために、
私と次女が“観客役”になって何度も何度も練習につきあいました。

原稿は3分半〜4分の長さ。
長女は、カンペを手に持たずに発表する選択をしました。

でも、ただ丸暗記するのではなく、
内容をちゃんと頭に入れた上で、その場の流れで言い方をアレンジするスタイル。

これはもう、小学生の域を超えてるなと驚きました。

スピーチ前日。
私は長女にこう言いました。

「思ったようにいきな!とにかく楽しんで。
細かいことは気にしなくていい。
自分の思いを、まっすぐ言葉に乗せれば、絶対にいいスピーチになるよ。」

結果はいかに?


クラスでの発表は保護者非公開。
だから私は、いつものように学校のお迎えに行ったときに聞いたんです。

「ねえ、今日どうだった?」

長女は落ち着いた声で、
「うん、練習通りにはできたと思う」って言ってました。

でも、どうやらクラス内には手ごわいライバルが何人もいたらしくて。
特に、去年の学校代表になった子が2人もいたこと。
そして、本人も「この子上手だな」と思う子が何人かいたそうです。

それでも、発表を聞いたクラスメイトたちが
「すごくよかったよ!」って声をかけてくれたらしく、
それが長女にとってはとても嬉しかったようでした。

ただ、その時点ではまだ代表に選ばれるかなんて、
まったく分からないし、自信満々という様子でもなかったです。

──そして翌週、結果発表。

なんと長女は、「First choice」に選ばれていました。
クラスの代表、つまり“クラス1位”。

先生からそう伝えられた瞬間、
それはそれは嬉しかったみたいで…

本人はどちらかというと感情を控えめに表現するタイプなので、
跳びはねて大喜び、みたいな感じではなかったですが、
それでもじわ〜っとこみ上げるような喜びは、その表情からしっかり伝わってきました。

ただ、まさかの展開がここでひとつ。

このクラス代表の次に控えていた「学校代表決定戦」、
なんとその日は、私たちが夫のいるアジアの国に
旅行で行く予定とドンかぶりだったんです……!

よりによって、こんなときに〜〜〜〜っと悔しがりながらも、
これはもうしょうがないと割り切るしかなく。

事情があってどうしてもこの日程でなければならず、随分前から決まっていたことでした。

そんな中、担任の先生から私宛に、わざわざメールが届きました。

「娘さんから“家族でお父さんに会いに行く”と聞きました。
来週の登校は難しいようですが、
どうしてもこの素晴らしい結果をお伝えしたくてメールしました。
彼女のスピーチは、原稿の内容も、スピーチそのものも素晴らしかった。
彼女がどれだけ努力したかが、私たちにもよく伝わりました。」

こんなふうに言葉をかけてもらえることが、
どれだけ本人の、そして親としての私の心に残るか。

努力をちゃんと見てくれる大人がそばにいてくれることって、
本当にありがたいなぁと思いました。

たとえ、次のステージに進めなかったとしても。
「クラス1位」まで行けたこと、
そして何より、それまでに積み上げてきた努力と周囲の温かさ。

それが全部、長女の心の中にちゃんと刻まれた時間だったと思います。

この1年で何が変わったのか?成長したのは?


この1年で何が変わったかって聞かれたら、まず間違いなく言えるのは――英語力
話すスピードも、言葉のなめらかさも、語彙も、表現の幅も。
「うわ、1年前と全然ちがう…!」って、親として何度も驚かされています。

でも、変わったのはそれだけじゃない。
むしろ、本当の変化はそこじゃなかったのかもしれないと思いました。

うちの長女、もともと「前に出たい!」ってタイプじゃないんです。

クラスのイベントでも、前の列がいいとか、目立ちたいとか、そんなの一切ない子なんです。
「どこでもいいよ〜」って、ほんとに自然体。

勝ちたいとか、一番になりたいとか、そういう“ギラギラ”した気持ちもそんなに強くなくて。

それは優しさだし、よさでもあるけど、どこかで「もうちょっと競争心もあっていいのかも」と思ってた部分も、正直ありました。

なので、まさかこの子が、スピーチの練習でこんなに堂々と話すなんて、想像していませんでした。

私はというと、正反対で。
人前で話すなんて、いまだに声震えそうになるくらい苦手なのに、
そんな私の娘が、みんなの前でしっかり話してて。

その姿を見た時、
「ああ、この子はこの1年で、きっと“自信”を育ててきたんだな」って思いました。

周りの子どもたちから受けた刺激、先生からのフィードバック、
そして何より、自分で感じた「できた」「伝わった」っていう経験が、
一歩ずつ彼女の背中を押してきたのかなと思いました。

ちなみに、彼女がスピーチで選んだテーマは、
「なぜ学ぶことは大切なのか」っていう、めちゃくちゃ真面目で王道なトピック。

でね、私、ちょっと思っちゃったんですね。

「いやそれ、オーストラリアの現地校ではあんまウケないんじゃない?」って。

なんか、もっとユニークで笑えるテーマとか、
“映える”構成のほうが受けるんじゃない?っていう偏見が自分の中にあって。

……でも、結局彼女は、そのテーマでクラス代表に選ばれたんですよね。

私、思ったんです。
“信じなきゃいけなかったのは、親である私の方だった”って。
反省しました。

この1年、長女はきっとたくさんの壁にぶつかったはず。
言葉の壁だけじゃなく、文化の違い、空気の違い、思い通りにいかないこともあったと思います。

でも、そんな毎日を、ちゃんと乗り越えてきたんだなって。

しかも長女って、コミュ力高いわけでもないし、人前に出るのも得意じゃない。
ただ、好奇心だけは異常に強いんですよね。

だから今、私たちは次の選択を考えてて――
日本に戻るか、夫のいるアジアに戻るか、また違う国に行くか。

そんな中で、普通なら「また転校なんてイヤだよ〜」ってなりそうなところ、長女は「え!新しい学校?楽しみ〜!」って言うんです。

英語力だけじゃない。
自信、好奇心、そして「挑戦してみたい」っていう気持ち。

全部ひっくるめて、
「この1年で、ほんとうに“大きくなったな”」って思えるのです。

おわりに:親として見守るということ

うちの長女は、今でもたぶん、人前に出るのが好きなタイプではないです。

でも、家でスピーチの練習をしている姿を見て、「あれ?この子、思ってたよりずっと上手じゃん」って驚かされました。

私は自分自身がすごく苦手だったから、「うちの子もそんな得意じゃないでしょ」ってどこかで思い込んでたのかもしれません。

思い返してみれば、小さいころからずっとやってた“ごっこ遊び”の中に、そのベースがあったのかもしれません。

とにかく大好きで、3歳くらいから10歳くらいまでは本当に毎日やっていました。
週末なんて何時間もやっています。
そして今は毎日とまではいかないものの、暇さえあればやっています。

長女のごっこ遊びは、ただの遊びじゃないような気がします。

図書館に行けば“図書館ごっこ”。
飛行機に乗れば“空港ごっこ”。
それもCAさん役とかじゃなくて、チェックインカウンターの人のセリフを完コピするようなタイプ。

現実を、リアルに、忠実に再現する。それが彼女の“ごっこ”なんです。

学校ごっこでは、ワークシートまで自作します。
固定のクラスメイトの名簿まで作って、
生徒役の妹を相手に何度もロールプレイしてきた時間が、
もしかしたらスピーチで堂々と話せる力になってたのかもしれません。

誰にも評価されないけど、自分の中で「伝えきる」ってことをずっとやっていたということなのでしょうか。

今回のスピーチでの出来事は、まさにそれを見せてもらった気がしました。

いろんなことを乗り越えて、1年という区切りのタイミングで、いい結果を出すことができて本当に自信になったと思います。

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