【創作小説】峠の庵 恩返し(4)(993文字)
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そうそう、このコたちは、猟師にたぬき鍋にされそうだったのです。そこに通り掛かったおやじさんが、この 霊媒たぬき親子を救けようと、持っていた日本海土産の蟹を 猟師に渡したのでした。猟師は、たぬき鍋を変更して「蟹鍋」にし、大悦びで食べましたのさ。
「まあ、そんなことがあったのですね!?あの人ったら何にも言わないから、まあまあ……」
おかみさんは、感嘆の声をだしました。今となっては、この世のどこにもいない おやじさんの話を聞くのは、とても嬉しかったし、懐かしかったのです。
たぬきは、おかみさんが心の底から喜んでいる様子を見て、満足し、思わず親子で踊りを踊り始めます。
トントコトコトコ、トントコトコトコ……
日は暮れ、月が出てきました。
おかみさんと、たぬき親子は 仲良く美味しいまかないを食べて、たのしくおしゃべりし、その夜は暮れていったのです。
しばらくの間、その庵の宿ではおかみさんとたぬき親子が仲良く暮らしていました。
お客が来ると、たぬきはおやじさんの魂を宿し、おやじさんに化けてお料理し、おかみさんは相変わらず部屋の掃除や洗濯、飾り付けなどに執心しました。
たぬきの子供は、小僧さんに化けて、薪などのかけらを運びます。
親子は 尻尾がでていて、村のものは、みな気づいているのにも拘わらず、見逃しているのです。類はともを呼ぶ?みな心がおおらかで温かい。
周りは おやじが、たぬきの化けたおやじさんとも知っていたのです。
ま、それはその近隣の客と村人だけで、この間の大臣のように、遠くからの客は知らなかったのですが。
あるとき、たぬき親子とおかみさんは、崖の上の野草を取りに出かけました。
「とても、危険なところなので、用心してね」
とおかみさんは念を押して。
たぬき親子とおかみさんは、とことこ とことこ出かけます。
山を、どんどん登っていきます。
山の上の崖の上には、お目当ての野草がたくさんあって、明日来るお客さんのために漬け物にするのに丁度よいです。
おかみさんは、崖の上で野草を摘んでいましたが、ふとした拍子に石につまづいて、崖から落ちそうになりました!
「あっ…………!」
一緒に、摘んでいた、たぬき親子が気づきます!
「おかみさーーーん!!」
つづく
トップ画像は、おとなのふり さんの
「帰るべき場所」です。
ありがとうございました!!
©2023.6.18.山田えみこ
