【創作小説】峠の庵 恩返しー番外編⑥ー
前回、こちら⬇
最初からは、こちら⬇
村人たちは、群れになって、たぬき母子を〝拉致かんきん〟しているあばら小屋に向かいます。
おじいさんもおばあさんも、子供も大人も、たぬき母子が恋しい村人たちは、こぞってあばら小屋に向かいました。
(おれらは、間違っていたのかもしれない。たぬき達を逃してしまいたくないばっかりに、話し合いもせずに、強引に小屋に押し込んで、まつりに来させなくしてしまった)。
涙と汗と後悔で、小屋に向かう者もいます。
たぬき達と、ちゃんと話そう。
「あなた達を、花火の音などでびっくりさせて、村から逃げられるのが怖かったんだ」と。
なんだか、それを思うと切なくなります。
村人たちは、庵で親父と女将の魂と細々と暮らす、あのたぬき母子が好きでした。親父の魂と かんばしい藁火で飯を作り、薪を炊いて仲良く風呂に入り、たぬき囃子を唄う母子が好きでした。
晴れの日には、丘に登り、陽の光の下でおにぎり飯をたらふく食って、親父と女将の魂と、のんべりと、日向ぼっこをする たぬき母子が好きでした。
時々、豆腐のおまけ目当てに、子だぬきが村の子供にこっそり化けて買い物にくる姿も大好きでした。
村のかんざし屋で、たぬきの母がうっとりとかんざしを覗き込むのも、
子だぬきが、草原を子供に混じって走り回るのも愛してました。
みんな、みんな、たぬき達が、好きでした……
「たぬき〜……たぬきぃ〜……」
あばら小屋を 村人たちは、向かいます。
あばら小屋では……、
たぬき母子と三角帽を被った村人たちが、まつり囃子が途絶えたのをいぶかっていました。
「どうしたんだろう……」
「どうしたんだろう……」
三角帽の一部の村人が、あばら小屋から抜けて、外に様子を見に行きます。
たぬき母は……、
残った三角帽に、話し掛けようとします。しかし、縄が邪魔になり、人間の姿になって人語を話すことができません。
きゅー、きゅー、……、きゅー、きゅー、……
そのとき、村から来た、村人の一団が、あばら小屋に着きました!
「たぬきー!! 」
豆腐屋です。
「たぬちゃん、たぬちゃん! 」
子供たち。
たぬき母子は、かえってこの騒ぎに驚き、戦慄し始めました……!
きゅー……!!
子供たちが、喜び勇み、豆腐屋が、たぬき母と子だぬきの縄をほどいてやります。
「たぬきー!! 」
縄が、ほどけると……
たぬき母子は、いっせいに小屋の外へと、飛び出してしまいました!!
すると、そこには、三角帽を脱いだ、ギョロ目の吾平がいたのです!!
つづく
トップ画僧は、メイプル楓さんの
「みんなのフォトギャラリー」より、
いつもお世話になっております🍁
©2024.9.17.山田えみこ
