ほのかちゃんに ほのかに恋して♥ー3ー
初回は、こちら⬇その最後に第2回の貼り付けがあります。
僕は、心のなかで小躍りして土手を疾走っていった。
(ほのかちゃんが、声を掛けてくれたーーーー)
土手を降りて、一般道に入ると僕は歩道の段差ですっ転んだ。
(だ、誰も見てないな……)僕はやっと落ち着いた。幸い怪我は無し。
僕の高校での授業が終わり、下校して、家で姉さんの帰りを待った。
姉さんは、高校を出てすぐ就職し、社会人3年生だ。僕と5つ違いの歳。
姉さんが、茶色い、一部ガラスを嵌めた玄関のドアを開けると、
「あ、浩之、もう帰ってるの?部活は?」
と、待ち構えていた僕を見ていう。
「う、うん ちょっと……」
「うん?なんか、いい匂いがするわね……ん?」
姉さんは、僕のことをクンクン嗅ぎ、そして気づいてしまった……。
「浩之!私のアロマ!勝手に使ったわね!!」
家の中で、鬼ごっこが始まる。
ひと通り、家の中で、居間を通り、お勝手を通り、廊下を抜け、そして雑木林のように色んな木を植えたそんなに広くも狭くもない庭に飛び降り、また玄関にまわって家に入ると、それを見ていた母さんがようやく大声で止める。
「ちょっと、桂子、浩之!なに、いつまでも子供みたいな鬼ごっこしているの!」
会社帰りで、疲れている筈の姉さんが、息を切らして座り込む。
僕は立ったままで、姉さんに尋ねた。
「ねぇ、姉さん、この香水なんていうの?」
「ま、呆れた。浩之、そんな事も知らないの?そういうのはそれの入っている瓶に書いてあるのよ?」
(はは……)
「それより、勝手に使ったな!私のアロマ!料金とるわよ!」
「なんだよ!いいじゃんか!」
「浩之ー!!」
「まあまあまあ」
母さんが止める。
「それより、ご飯にしましょう。今日は、浩之に好きな子が出来たみたいだから、お赤飯よ!」
「なにそれ!」
姉さんが笑う。
「は!?」
と、僕。
「何で、分かるんだよ!」
「え?そうじゃないの?母さん、朝から、その匂いでピンと来てたわよ!」
僕は、こころのなかで思った。
(おみそれしました)
僕は、夕飯の食卓で、すぐ帰ってきた父さんと、母さん、姉さんに囲まれて、恥かしながら、「お祝い」のお赤飯をぱくぱく食べていた。
「ケーキも買えばよかったかしらね」
と、いう母さんに、
「おふざけを……!」
と、はしゃぐ姉さん。
少し太った父さんは、下請け工場の主任で、いつも油臭いが、気が良くて、僕は好きだった。
母さんも、姉さんも、明るくて少し美人で、僕は、ここが幸せだった。
夕食が終わり、姉さんに新しいアロマの小瓶をプレゼントしなきゃならない契約を結ばされ、その代わりに今日付けたアロマの名前を聞いた。
「スウィートオレンジ」
つづく
©2023.6.29.山田えみこ
