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『私の話』第3話 叫びの夜、白い病室

「助けて! お願い、来て!」
夜中、震えながら叫びました。

ようやく夫と娘が部屋に来てくれて、
夏なのに「冷房を止めて、窓を閉めて……寒いの」と必死に訴えました。

夫は迷っていましたが、娘が
「救急車、呼ぼう!」
と決断してくれました。

その判断が、私の命を救ってくれたのだと思います。

すぐに救急車は到着しました。
けれど、どの病院も受け入れてくれず、時間だけが過ぎていきました。

救急車の中で「もう家に戻ります」と言う私に、
隊員さんが「必ず見つけます。もう少しだけ頑張ってください」と声をかけてくれました。

迷惑をかけているような、申し訳なさでいっぱいでした。

私は高血圧の薬を飲んでいましたが、だんだん血圧が下がり、呼吸も苦しくなってきました。

ようやく受け入れ先が見つかり、
救急車は夜の街を走り出しました。

病院に着くと、すぐに検査と診察が行われました。
血圧は上が80を切り、そのまま入院が決まりました。

気がつくと、夜が明けていました。

ナースステーション前の病室。
腕には点滴、体にはいくつもの管が繋がれました。

診断は 腎盂腎炎(じんうじんえん)。
そして翌日、手術が決まりました。

夫と娘は一晩中付き添ってくれていましたが、
荷物を取りに、一度帰ることになりました。

ふと、思い出しました。

娘が幼稚園の頃。
私が憩室炎になり、入院をすすめられた時のことを。

あと時は幼い娘を置いていくことができず、
絶食と点滴通いでなんとか乗り切りました。

でも、今回は娘も大学生。
家族に任せられる安心感はありました。
一方で、急な入院で迷惑をかけてしまったこと、
そして職場のことも気になりました。

夫が必要な書類と荷物を届けて帰ったあと、
体を思うように動かせず、手が届かないことも多く、戸惑いました。

そして――

再び、あの悪寒が襲ってきたのです。

身体が震え、止まらない。

「寒い……助けて……」

看護師さんに訴えると、
病院側は 明日まで待てない と判断しました。

帰宅したばかりの夫とは連絡が取れず、
私自身の同意で、
その日の夜、緊急手術 となりました。

「このまま目が覚めなかったらどうしよう」
そんな不安が、ふと頭をよぎりました。


このあと、思いもよらない出来事が起こります。

続きは第4話へ  
▶ 第4話「日常という幸せ」

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