『私の話』第5話 間に合わなかった想い
私はもともと普通体型でしたが、娘が幼稚園のころ、
子宮内膜症と診断されました。
痛みを抑えるためにピルを飲み始めると、食欲が増し、体重も増えていきました。
それでも「痛みがないなら、それでいい」と思い、太ることは気にしていませんでした。
10年ほど飲み続けたころには、体重が約15kg増えていました。
その後、高血圧になりピルをやめ、代わりに血圧の薬を服用するようになりました。
5〜6年ほど続けましたが、結石の治療で体重が減ったこともあり、血圧が安定し、薬をやめることができました。
現在は、結石の再発予防の薬を飲んでいます。
年を重ねると、体のあちこちに変化が出てくるものですね。
そんな中で、ふと思い出すことがあります。
母もかつて、
「ギラギラしたものが見える」と言っていたことです。
そのときは深く聞かず、「そうなんだ」と流していました。
けれど今になって、それが閃輝暗点(せんきあんてん)という症状だったと知りました。
そして、同じ症状が、今の私にも現れています。
もっと母の話を聞いてあげればよかった。
あのとき、もっと寄り添えばよかった……。
今になって、何度もそう思います。
娘が高校受験のころ、私は実家にもあまり行けませんでした。
「受験が終わったら、ゆっくり実家に行こう」
そう思っていた矢先、コロナ禍になりました。
母はもともと体が弱く、大学病院に長年通っていました。
検査のたびに結果を待つ母は、いつもどこか不安そうでした。
ある日、主治医から、こう告げられました。
「あと1年くらいでしょう」
それでも母は普段どおりに過ごしていたので、
私は現実として受け止めきれていませんでした。
まだ大丈夫。
どこかで、そう思っていたのかもしれません。
その2ヶ月後。
「体調がよくない」と連絡があり、急いで実家へ向かうと、
母はすでに入院の準備を整えていました。
病院に着き診察の結果、入院が決まり、
先生は静かに言いました。
「万が一のこともあります。」
それでも、そのときの私は、まだ現実感がありませんでした。
母がベッドで運ばれていくとき、
私は、ドアが閉まるその瞬間まで、手を振り続けていました。
あのとき、どうして声をかけなかったのだろう。
まさか、それが最後になるなんて、思いもしませんでした。

このあと、思いもよらない出来事が起こります。
続きは第6話へ
▶ 第6話「ママ、と呼べなかった日々」
