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「稼げる仕事」と「自分にとって良い仕事」は、必ずしも同じではない

「もっと年収を上げたい」

「今より条件のいい会社へ転職したい」

「せっかく働くなら、少しでも多く稼ぎたい」

キャリアを考えるとき、収入はとても大切な要素です。

生活するためにはお金が必要です。

家族を守る。

好きな場所へ行く。

学びたいことを学ぶ。

将来への備えをする。

選択肢を増やす。

そのためにも、一定の収入は欠かせません。

だから、

「お金よりやりがいが大切」

と簡単に言うつもりはありません。

一方で、収入が増えれば、それだけで仕事への満足度も上がり続けるのでしょうか。

年収は上がった。

役職も上がった。

周囲から見れば順調。

それなのに、

「なぜか満たされない」

と感じることがあります。

そこには、収入以外にも私たちが仕事に求めているものがあるからです。

今回は、年収だけでは測れないキャリアの価値について考えてみたいと思います。


収入は大切。でも、収入だけではキャリアを決められない

まず前提として、収入は重要です。

収入が低すぎて生活が不安定なら、仕事を楽しむ余裕を持つことも難しくなります。

将来への不安が強ければ、

やりたいこと。

新しい挑戦。

家族との時間。

よりも、まず生活を守ることが優先されます。

だからキャリアを考えるとき、

「いくら稼ぎたいか」

「最低限いくら必要か」

を考えることには意味があります。

ただし、それだけで仕事を選ぶと、別の問題が起こることがあります。

給与は高い。

でも毎日疲れている。

収入は増えた。

でも家族との時間がなくなった。

評価はされている。

でも仕事内容に意味を感じない。

条件は良い。

でも日曜日の夜になると憂うつになる。

このような状態です。

つまり、

「稼げる仕事」と「自分にとって良い仕事」は、必ずしも同じではありません。


キャリアの価値1.自分の時間をどう使えるか

仕事は、お金と引き換えに時間を提供する側面があります。

だから年収を見るときには、

「いくらもらえるか」

だけでなく、

「そのために、どれくらいの時間を使うのか」

も考える必要があります。

年収が100万円増えても、

毎日帰宅が遅くなる。

休日も仕事をする。

家族と食事する時間がなくなる。

運動や睡眠を削る。

という状態なら、その100万円を自分がどう評価するかは人によって違います。

反対に、収入が少し下がっても、

自由な時間が増える。

家族と過ごせる。

海外へ行ける。

学ぶ時間を持てる。

健康を守れる。

のであれば、その方が豊かだと感じる人もいるでしょう。

収入だけではなく、

「人生の時間をどの程度自分で使えるか」

もキャリアの大きな価値です。


キャリアの価値2.心身を守りながら続けられるか

どれほど条件の良い仕事でも、心身を壊してしまえば続けられません。

睡眠不足。

慢性的な疲労。

強いストレス。

休日にも仕事から離れられない。

身体を動かす時間がない。

仕事のことを考えるだけで気持ちが重くなる。

こうした状態が続けば、収入以上のものを失う可能性があります。

健康は、仕事をするためだけに必要なのではありません。

旅行する。

家族と過ごす。

友人と会う。

新しいことへ挑戦する。

人生を楽しむための土台でもあります。

だからキャリアを考えるときには、

「この仕事でいくら稼げるか」

と同じくらい、

「この働き方を、良い状態で続けられるか」

を大切にしたいものです。


キャリアの価値3.成長を感じられるか

仕事の満足感に影響するものの一つが、成長実感です。

以前できなかったことができるようになる。

知らなかった世界を知る。

難しい仕事を乗り越える。

人から任せてもらえることが増える。

自分なりのやり方ができてくる。

こうした感覚があると、仕事に意味を感じやすくなります。

反対に、

同じ仕事を何年も繰り返している。

できることは増えたが、新しい刺激がない。

評価はされているが、もう学ぶものがない。

という状態では、収入が高くても物足りなく感じることがあります。

キャリアの価値は、現在の給与だけではありません。

その仕事を続けることで、数年後の自分に何が残るか。

という視点も重要です。


キャリアの価値4.自分の強みを使えているか

仕事をしていて、

なぜか自然にできる。

人からよく頼られる。

苦にならないのに感謝される。

ということがあります。

人の話を聞くこと。

整理すること。

企画すること。

交渉すること。

誰かを支えること。

問題を解決すること。

関係者をつなぐこと。

何が強みになるかは人によって違います。

自分の強みを使える仕事では、同じ時間働いても疲れ方が違うことがあります。

反対に、苦手なことを無理に続けていると、成果は出せても強く消耗する場合があります。

だから、

何が一番稼げるか。

だけでなく、

「自分が自然に価値を出せる場所はどこか」

という視点を持つことも大切です。


キャリアの価値5.誰かの役に立っている実感があるか

人によって程度は違いますが、

「自分の仕事が誰かの役に立っている」

という感覚は、仕事の意味につながります。

顧客から感謝された。

部下が成長した。

困っていた人の問題を解決できた。

自分の仕事によって誰かが前へ進んだ。

そんな瞬間は、給与明細には表れません。

でも、

「この仕事をしていてよかった」

と思える瞬間として残ることがあります。

どんな仕事にも社会とのつながりがあります。

ただ、自分にとって、

誰に。

どのような形で。

どのくらい近い距離で。

価値を届けたいのかは違います。

自分が意味を感じられる距離感を知ることも、キャリア選択では重要です。


キャリアの価値6.一緒に働く人を信頼できるか

仕事内容だけを見て仕事を選んでも、一緒に働く人によって満足度は大きく変わります。

安心して意見を言える。

困ったときに相談できる。

互いに尊重できる。

信頼して仕事を任せられる。

価値観の違いがあっても話し合える。

そうした人間関係は、給与には表れません。

反対に、

いつも周囲の顔色をうかがう。

失敗を責められる。

政治的な駆け引きが多い。

人を信用できない。

という環境では、高い給与をもらっていても強く消耗します。

仕事は、一人だけでするものではないことが多いからこそ、

「誰と働くか」も報酬の一部

と考えてよいのだと思います。


キャリアの価値7.自分で選んでいる感覚があるか

同じ仕事をしていても、

「自分で選んでここにいる」

と思える場合と、

「仕方なくここにいる」

と思う場合では、感じ方が大きく違います。

本当は辞めたい。

でも転職するのが怖い。

今の給与を失えない。

周囲からもったいないと言われる。

だから、何となく続けている。

この状態では、仕事そのもの以上に、「自分では決められない」という感覚が苦しさにつながることがあります。

反対に、

外の選択肢も確認した。

自分の価値観も整理した。

そのうえで、今はこの会社に残ると決めた。

のであれば、同じ会社でも意味は変わります。

キャリアの満足度には、

「自分の人生を自分で選んでいる感覚」

も深く関係しているのだと思います。


キャリアの価値8.人生全体と調和しているか

仕事だけを切り取れば、素晴らしいキャリアでも、人生全体では合わない場合があります。

家族との時間。

健康。

住む場所。

趣味。

学び。

友人。

海外。

一人の時間。

これらも人生の一部です。

例えば、

海外で過ごすことを大切にしたい人に、長期休暇をほとんど取れない働き方は合わないかもしれません。

家族との時間を大切にしたい人に、毎晩遅くまで働く仕事は苦しくなるかもしれません。

仕事が人生のすべてではありません。

だからこそ、

仕事単体で最適化するのではなく、人生全体で見て自分に合っているか

を考える必要があります。


「やりがいがあれば低収入でもいい」わけではない

ここで誤解したくないのは、

「お金を気にせず、好きなことをすればいい」

という話ではありません。

やりがいがあっても、生活できなければ続きません。

お金の不安が強ければ、仕事そのものを楽しむ余裕も失われます。

だから、

収入か、やりがいか。

の二択ではなく、

自分に必要な収入を確保したうえで、ほかの価値をどこまで満たしたいか

と考える方が現実的です。

例えば、

最低限必要な収入。

安心できる収入。

理想の収入。

を分けて考える。

そのうえで、

自由時間。

仕事内容。

健康。

家族。

成長。

人間関係。

とのバランスを見る。

「収入を最大化する」のではなく、人生全体の満足度を高めるという考え方です。


年収100万円アップの裏側を見る

転職で年収が100万円上がる。

魅力的に見えます。

でも、少しだけ立ち止まって考えてみます。

労働時間はどうなるのか。

責任はどこまで増えるのか。

勤務地はどう変わるのか。

出張は増えるのか。

休日は守れるのか。

仕事に興味を持てるのか。

一緒に働く人はどんな人か。

数年後にどんな経験が残るのか。

それらを含めても、

「100万円上がる価値がある」

と思えるなら、素晴らしい選択です。

逆に、

「この条件なら今の方が自分には合っている」

と判断することもできます。

収入は、キャリアを比較する重要な数字です。

ただし、数字だけでは見えないコストもあるということです。


「年収が下がる転職」は失敗なのか

キャリアチェンジでは、一時的に年収が下がることもあります。

未経験分野へ進む。

働く時間を減らす。

地方や海外へ移る。

仕事の比重を変える。

独立準備のために別の仕事を選ぶ。

こうした場合です。

もちろん、生活を維持できないほど下がるのであれば慎重に考える必要があります。

一方で、

年収は下がった。

でも自由時間が増えた。

心身が楽になった。

家族と過ごせるようになった。

やりたい仕事に近づいた。

将来につながる経験が増えた。

という場合、その選択を単純に「キャリアダウン」と呼べるでしょうか。

キャリアの価値は、一本の物差しだけでは測れません。


お金以外の「報酬」を考えてみる

仕事から受け取っているものを、給与以外にも広げて考えてみます。

例えば、

お金。

経験。

専門性。

信頼。

人間関係。

時間。

自由。

健康。

成長。

社会とのつながり。

自己効力感。

人からの感謝。

新しい機会。

これらも仕事から得られる「報酬」です。

そして、人によって重要度は違います。

ある人にとっては高収入が一番重要。

ある人にとっては自由な時間。

ある人にとっては人への貢献。

ある人にとっては安定。

どれが正しいということではありません。

自分にとって価値の高い報酬が何なのかを知ることが大切です。


キャリアの価値観は、年齢とともに変わっていい

20代では、

成長。

経験。

収入。

を重視していた。

30代では、

昇進。

専門性。

家庭との両立。

が大切になった。

40代では、

自由。

健康。

意味。

人とのつながり。

を考えるようになった。

そんな変化があっても不思議ではありません。

以前は高収入を目指していたから、これからもそうしなければならない。

ということではありません。

価値観が変わるのは、軸がないからではありません。

経験を重ねる中で、自分にとって本当に大切なものが更新されているとも考えられます。


自分の「キャリア報酬」を棚卸しする

今の仕事について、次の項目を10点満点で考えてみてもよいでしょう。

収入。

安定。

自由な時間。

健康との両立。

仕事内容への興味。

成長。

強みを使えている感覚。

人間関係。

誰かへの貢献。

自分で選んでいる感覚。

将来への可能性。

すべてが10点である必要はありません。

むしろ、自分がどの項目を特に重視しているのかを見ることが大切です。

例えば、

収入8点。

自由2点。

健康3点。

成長4点。

だった場合、

「給与は良いけれど、この働き方を長く続けたいのか」

という問いが生まれます。

反対に、

収入5点。

自由9点。

健康8点。

やりがい8点。

なら、

「収入をあと少し増やせればかなり理想に近い」

と考えられるかもしれません。

キャリアを「良い・悪い」で判断するのではなく、構成要素へ分けることで、自分が本当に変えたい部分が見えてきます。


私自身も、収入だけでは働き方を決められなくなりました

私自身、会社員として長く働く中で、営業、調達、営業企画などさまざまな仕事を経験してきました。

成果を出せたこともあり、周囲から評価していただく機会もありました。

会社員としての安定した収入も、大きな価値でした。

一方で、40代になり、これからの働き方を考える中で、

収入だけを最大化することが、自分にとって本当に望む人生なのだろうか。

と考えるようになりました。

私が増やしたいと思ったのは、

一人ひとりと深く関わる時間。

誰かの意思決定や変化に伴走する仕事。

海外と関わる時間。

家族との時間。

健康を保てる生活。

自分で仕事や時間を選べる感覚。

でした。

もちろん、生活には収入が必要です。

だから、

「やりたいことだけをして、お金は気にしない」

とは考えていません。

むしろ、

生活を守るために必要な収入。

安心して挑戦できる収入。

将来実現したい生活に必要な収入。

を考えながら、その中でどうすれば大切にしたい時間や仕事を増やせるかを考えています。

コーチング。

これまでの営業経験を活かした仕事。

業務委託。

将来的な海外との活動。

一つの仕事だけですべてを満たそうとせず、複数の仕事や可能性を組み合わせながら働き方をつくっていく。

それも、自分にとっては一つのキャリア設計だと感じています。


キャリアの成功は、年収だけでは決められない

社会では、

年収が上がった。

昇進した。

大企業へ転職した。

独立した。

という変化が「キャリアアップ」として語られます。

もちろん、それらは大きな成果です。

でも、

年収は変わらないが、仕事を楽しめるようになった。

管理職を離れ、自分の得意な仕事へ戻った。

働く時間を減らし、健康を取り戻した。

家族との時間を増やした。

副業を始め、新しい可能性ができた。

やりたかった分野へ挑戦した。

こうした変化も、本人にとっては大きなキャリアアップかもしれません。

キャリアアップとは、

他人から見て上に行くことだけではありません。

自分が望む人生に近づくことでもあるのです。


収入を上げることと、自分らしく働くことは両立できる

「収入以外を大切にする」

というと、

収入を諦める。

ように聞こえるかもしれません。

でも、本来はそうではありません。

強みを活かせる仕事へ移る。

専門性を高める。

複数の収入源を持つ。

働き方を変える。

提供価値を高める。

こうした方法によって、

収入と自由。

収入と健康。

収入とやりがい。

を同時に高められる可能性もあります。

最初から、

「何かを得るには、何かを全部諦めなければならない」

と考える必要はありません。

大切なのは、自分が何を望んでいるのかを明確にし、その組み合わせを探すことです。


キャリアを考えるときに使いたい5つの問い

1.生活のために、本当に必要な収入はいくらだろう

理想ではなく、まず現実を知ります。

2.年収が同じなら、どんな仕事を選びたいだろう

収入という条件を一度外すことで、別の価値観が見えてきます。

3.今の収入と引き換えに、何を失っているだろう

時間、健康、家族、成長、自由などを確認します。

4.反対に、今の仕事だから得られているものは何だろう

悪い部分だけではなく、現在の環境から受け取っている価値も確認します。

5.5年後、年収以外に何が残っていてほしいだろう

経験。

人間関係。

専門性。

健康。

家族との時間。

自分の事業。

自由。

自分が未来へ持っていきたいものを考えます。


まとめ|キャリアの価値は「いくら稼ぐか」だけではない

収入は大切です。

生活を守る。

家族を守る。

選択肢を増やす。

好きなことへお金を使う。

そのために、十分な収入を得ることには大きな価値があります。

でも、

収入だけを最大化することが、すべての人にとってキャリアの成功とは限りません。

時間。

健康。

成長。

人間関係。

自由。

誰かへの貢献。

自分の強み。

人生との調和。

自分で選んでいる感覚。

仕事から受け取っているものは、給与以外にもたくさんあります。

だからキャリアを考えるとき、

「どちらの仕事の年収が高いか。」

だけでなく、

「どちらの働き方なら、自分が大切にしたい人生へ近づけるか」

という問いも持ってみてください。

自分に必要な収入を知る。

そのうえで、何に時間を使いたいのかを考える。

どんな状態で働きたいのかを考える。

誰と、どんな仕事をしたいのかを考える。

その組み合わせが、自分にとってのキャリアの価値になります。

人生の時間は有限です。

だからこそ、

お金を得るためだけに時間を使うのではなく、

お金も、時間も、健康も、自分らしさも含めて、自分が納得できる働き方をつくること。

それが、これからのキャリアを考えるうえで大切なのだと思います。


もし今、

・収入は悪くないのに、仕事に満たされなさを感じている
・年収アップの転職をするべきか迷っている
・給与を下げてでも別の仕事へ挑戦するか悩んでいる
・仕事と家族、健康、自由のバランスを見直したい
・40代以降のキャリアを考え直したい
・自分にとって仕事の何が大切なのか分からない
・収入だけではないキャリアの軸を持ちたい
・これからの働き方を一度整理したい

そんな状態にあるなら、すぐに転職や退職を決めなくても大丈夫です。

まずは、仕事から本当は何を受け取りたいのかを、収入だけではなく、時間、健康、成長、つながり、自由、やりがいなど複数の視点から整理してみてください。

自分に必要な収入と、大切にしたい人生の両方が見えてくると、「もっと稼ぐべきか」だけではない、自分なりのキャリアの基準が少しずつ見えてくることがあります。


ご案内

私は現在、海外・キャリア・仕事で新たな一歩を踏み出したい方の意思決定を整理する対話の時間を提供しています。

無理に何かを勧めることはありません。

本音を話せる安心安全な場で、思考を整理し、自分で納得して決められる状態をつくることを大切にしています。

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長島慶|意思決定コーチ
(Global Life Alignment Coach)

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