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【11】グルテン豆知識と消化によいパン

 パン作りのために「グルテン」について調べるうちに(【8】グルテン参照)、小麦アレルギーやグルテンフリーについてもちょっと詳しくなってきた。

小麦アレルギー関係

 食物アレルギー対策関係の記事は、食べてはいけない食材のリストや禁止事項の紹介が中心なので、小麦アレルギーなどの免疫疾患の人が身近に居ない限りは、読んでも面白くない(役に立たない訳ではない)。間違った情報を公開して、それを信じる人が出た場合、健康や命に関わる問題になるので、慎重な情報公開になってしまうのだろう。 

食品の特徴と除去の考え方
・大麦やライ麦などの麦類と小麦は、交差抗原性が知られている。しかしすべての麦類の除去が必要となることは少ない。
・麦茶は大麦が原材料で、タンパク質含有量もごく微量のため、除去が必要なことはまれである。
・米や他の雑穀類(ひえ、あわ、きび、たかきびなど)は、摂取することができる。
・醤油の原材料に利用される小麦は、醸造過程で小麦アレルゲンが消失する。したがって原材料に小麦の表示があっても、基本的に醤油を除去する必要はない。
・食物依存性運動誘発アナフィラキシーの原因食物として最も頻度が高い。

食物アレルギー研究会の小麦アレルギーのページより抜粋

 交差抗原性とは、食物や花粉などに含まれるタンパク質の構造が似ている場合、原因食物以外でも症状が誘発されることである。先日も使った一覧表で各麦類の組成を確認すると、大麦/ライ麦/小麦はたしかに似ている。

https://www.azeron.co.jp/_src/4532956/foodtopics_22_6.pdf  の図を改変

 なぜ食べていいのか/悪いのか、という根本的な理屈(自己免疫のメカニズム)について一般向けに解説したウェブサイトはあまり見つからなかった。高校生物~大学の教養課程で習う程度の知識なので、そこまで専門性が高い訳ではないと思うが、ネット記事でイチから解説するような話でもないからだろう。

グルテンと消化

 いっぽう、免疫ではなく、グルテン不耐性やグルテンが消化に与える影響について述べた記事は、同じ成分・効能に関する話であっても、立場によって書き方が違っていて面白い。

ニップン
 ニップンの『栄養コラム』では、食品表示に関する日本と外国の基準の違いや、健康な人がグルテンフリーを実践した場合の悪影響について述べられている。

第1回 グルテンフリーとグルテンフリー食品が必要な人(ニップンのウェブサイトより)
日本の規制対象が小麦だけなのに対して、欧米ではライ麦や大麦も対象になるらしい。  

アメリカでは、健康な人がグルテンフリーを実践した場合の影響についていくつかの調査結果が報告されていますが、減量への効果は認められておらず、むしろ冠動脈疾患や2型糖尿病のリスク増加や、腸内細菌叢(そう)への悪影響の可能性が示されています。

https://www.nippn.co.jp/BrandB/eiyou/column/26.html

↑ グルテンフリーがダメ、と言うよりは、小麦に含まれる食物繊維などの栄養成分を摂らない食生活がよくないだけのような気がする。

日清製粉
 小麦(小麦粉ではない)のいいところについて、親しみやすいイラストや動画を使って簡単にまとめられていて、小学生でも理解できそうだ。ただ、小麦粉ではなく小麦(全粒粉)の記事だというところに要注意。


健栄製薬
 いっぽう、健栄製薬のウェブサイト(「酸化マグネシウムE便秘薬」に関連したコラム記事)には、グルテンと便秘の関係について記載があった。ほぼすべての文末が「~ようです。」「~考えられています。」「~かもしれません。」なので、一次情報として使うのはよくないが、これはこれでわかりやすい。

●グルテンと便秘の関係
私たちが普段よく口にする食品にも含まれているグルテンですが、一方で、グルテンは人の消化器官で分解されにくいという特徴も持ちます。それにより、体質によっては便秘をはじめとした体調不良を引き起こす可能性もあるようです。消化器官で完全に分解されなかったグルテンは、分解途中の状態で腸をはじめとした消化器官の粘膜にへばりつくことがあります。グルテンがへばりつくことで、粘膜は炎症を起こし、その結果、消化器官の機能障害を招く恐れがあるようです。それらが便秘や腹痛、下痢といった消化器症状をはじめ、消化吸収機能の低下による栄養失調、片頭痛、リウマチなどの自己免疫疾患、PMS(月経前症候群)などにつながる可能性があると考えられています。

グルテンによって受ける影響は人によって異なり、中には小腸がグルテンに過敏に反応する「グルテン過敏症」や、グルテンを消化しにくい「グルテン不耐症」の人もいるようです。こうした人は、無自覚のうちに普段の食事が便秘を引き起こしているかもしれません。

https://www.kenei-pharm.com/ebenpi/column/column_41/

 だが、「へばりつく」とはどういうことだろうか?小腸のぜんどう運動は物理的な運搬の仕組みなので、ある程度サイズが大きくても「運ぶ」こと自体は問題がない気がするのだが、グルテンの粘り気が小腸の柔毛に張り付くのだろうか?
 また、小腸から体内へ吸収できるサイズ(~トリペプチドくらい)を超えているので体内に「吸収」出来なかったり、腸内細菌の餌として過剰に処理された結果、不要なガスがお腹に溜まるのかもしれない。

グルテンのサイズ

 もうちょっとネット検索を進めて、グルテンの大きさに関する資料を探してみた。1985年の論文なのでかなり古いが、「小麦タンパク(1)ー調理,加工上の小麦タンパクの性質ー」(遠藤悦男, "調理科学" Vo1.18 No.1, 1985)の表によると、S-S結合(ジスルフィド結合)を切断前のグルテニンは、相対的にかなり大きいことがわかる。

「小麦タンパク(1)ー調理,加工上の小麦タンパクの性質ー」(遠藤悦男, "調理科学" Vo1.18 No.1, 1985)

 ここまでくると、胃や腸の消化酵素についても調べたくなるが、話が広がりすぎるので、また別の機会にする。

今週の試作

 グルテンによる消化不良に悩んでいる訳ではないが、せっかくなので、ChatGPT提案のレシピをベースにして、消化しやすそうなパン(グルテンの網目構造が緩めで、消化酵素が届きやすそうな構造)を作ってみた。

絹ごし豆腐+ヨーグルト入りやわらかパン
• 強力粉 … 150g
• 薄力粉 … 40g
• 絹ごし豆腐 … 100g(水切り不要)
• プレーンヨーグルト(無糖)… 50g(ドリンクタイプでも可)
• 水 … 35〜45ml(豆腐・ヨーグルトの水分で調整)
• 砂糖 … 15g
• 塩 … 3g
• ドライイースト … 3g(小さじ1)
• 油(太白ごま油またはサラダ油)… 10g

消化しやすくなるポイント
• グルテン量を減らす → 薄力粉ブレンド
• タンパク質の変性をやわらげる → ヨーグルトの酸性環境
• しっとり柔らかさ持続 → 豆腐+ヨーグルトの水分・油分
• 咀嚼しやすく吸水性が高い → 翌日もふんわりで消化液が浸透しやすい

 オートリーズ法を使って、出来るだけ捏ねやすいようにしたが、元々のグルテン量が少なく水分が多いので、非常に捏ねづらかった。普通に捏ねるのではなく、ストレッチ・フォールド法(折り畳み法)などにして、冷蔵庫で低温発酵にした方がいいかもしれない。

写真集

オートリーズののち、砂糖・イースト・塩を混ぜた生地を捏ね台に出したところ。
今日は24.6℃からスタート
約8分間捏ねたところ。とにかく伸びて、べたべたする。


追加で5分捏ねたところ。手から生地がぜんぶ離れるようになり、全体的にツルンとしてきたので、捏ねる作業はこれでいいことにした。

 

グルテンが少ないと膨らまないのではないか心配したが、特に問題なかった。


焼き上がりの断面図
グルテンが少なめでも、それなりに目が詰まったパンになった。

 原因は不明だが、(たぶん)豆腐を入れたことにより、歯触りがとてもよくなった。今までのパンよりもサクッとしていて、とても美味しい。もう少し、テストを繰り返してみよう。
 また、大豆臭さはまったくなかった。3パック100円前後の、お買い得な豆腐(=味が薄い豆腐)を使ったのがよかったのか、もしくはヨーグルトの乳酸菌臭さと相殺されたのか、のどちらかだと思う。


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