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【9】グルテン② ジスルフィド結合

 前回はグルテン全般について書いた。今回はジスルフィド結合について調べたことのメモ。


前回の復習

  • グルテンは、グリジアン(粘り・伸び担当)とグルテニン(弾性担当)が結合することによってできる

  • 「捏ねる」作業の目的の1つは、グルテニンの内部にジスルフィド結合を作ることである

グルテニン:複数本の長い鎖(ポリペプチド鎖)が、折れ曲がったり絡まったりしながら、結合した構造である。1本の鎖内は、直線的にペプチド結合で緩く繋がっているが、ほかのグルテニン(別の鎖)や折れ曲がって接触した自身の鎖内で、ジスルフィド結合(硫黄原子を媒介とする共有結合)をする。グルテンの骨格を作るジスルフィド結合は、酸化される(=酸素がくっつく)と結合が作られ、還元される(=酸素が外れる)と結合が切れる

【8】グルテン より

ジスルフィド結合

 高校で使っていた化学の副読本で確認すると、ジスルフィド結合(下図の右中央)は、2本のポリペプチド鎖の間にハシゴを掛けたようなかたち(架橋)をしている。

『総合化学図説』第一学習社
  • 左:ペプチド結合(タンパク質の一次構造)の図。アミノ酸同士は、ペプチド結合でつながっている。

  • 中央:タンパク質のらせん構造(タンパク質の二次構造)の図。タンパク質=ペプチド結合でつながったアミノ酸の集まりだが、まっすぐ一直線につながる訳ではないので、カーブがついたらせん構造になる。

  • 右:隣り合うペプチド鎖同士の結合の様子。上から順に、水素結合、ジスルフド結合(共有結合)、イオン結合であり、一般に、結合力の強さは、水素結合>共有結合>イオン結合である。

日常のジスルフィド結合

 ジスルフィド結合はタンパク質の構造を決める基本的な構造なので、パンのグルテン以外にも、いろいろな場面で使われている。

 身近なところで言えば、パーマや縮毛矯正は、髪の毛に還元剤(酸素を取り除く薬剤)を付けて、既存のジスルフィド結合を解除(還元)したのち、ロッド等に髪の毛を巻き付けて望ましいカタチにしてから、酸化剤(酸素をくっつける薬剤)をつけてジスルフィド結合を作成する(酸化する)技術である。なお、ジスルフィド結合以外の化学結合も含まれている。
 詳しくは、日本パーマネントウェーブ液工業組合のウェブサイトを参照のこと。

グルテンフリー米粉パンはなぜ膨らむのか?

 穀物としてのコメは、グルテニン(弾性担当)は含むが、グリアジン(粘り・伸び担当)を含まないので、グルテンを作ることができない。

https://www.azeron.co.jp/_src/4532956/foodtopics_22_6.pdf  の図を改変(再掲)

 ネット検索をして調べたところ、以前は、米粉パンに小麦グルテンや増粘剤を追加して「パン」として望ましい構造を作っていたようだ。しかし、米粉の製粉技術や吸水率を工夫をすることによって、グルテンフリーな「パン」の開発に成功したらしい。技術の進歩は、本当にすごいと思う。

【0026】
本発明に係るパン生地は、グルテン構成タンパク質や、グルテン構成タンパク質を含む穀物粉(小麦粉、ライムギ粉、大麦粉、オーツ麦粉、又はそれらの交配雑種の穀物粉等)を含まない。本発明に係るパン生地は、穀物粉としては米粉のみを含むことがさらに好ましく、5%以下の損傷澱粉率及び80%以下の吸水率を示す米粉のみを含むことが特に好ましい。本発明に係るパン生地はまた、グルテン、グルテン構成タンパク質、及びグルテン構成タンパク質を含む穀物粉(小麦粉、ライムギ粉、大麦粉、オーツ麦粉、又はそれらの交配雑種の穀物粉等)のいずれも原料として使用せずに作製されることから、グルテンを含まない。ここで、パン生地がこれらの成分を「含まない」とは、パン生地中にこれらの成分が有効量で存在しないことを意味する。グルテン、グルテン構成タンパク質、又は他の穀物粉が、生地の原料としては使用されていないにもかかわらず、パン生地又はパン製造工程においてごく微量に混入した場合は、そのパン生地中には有効量のグルテン、グルテン構成タンパク質、又は他の穀物粉が存在しないため、当該パン生地はそれらを含まないものと判定される。より具体的には、パン生地中のグルテンの混入量が、米粉の量の0.5重量%未満(好ましくは0.1重量%未満)である場合、そのパン生地中には有効量のグルテンは存在せず、本発明に係るそのようなパン生地はグルテンを含まないものとする。また、パン生地中のグルテン構成タンパク質又は他の穀物粉の混入量が、米粉の量の1.0重量%未満(好ましくは0.1重量%未満)である場合、そのパン生地中には有効量のグルテン構成タンパク質又は他の穀物粉が存在せず、本発明に係るそのようなパン生地はグルテン構成タンパク質又は他の穀物粉を含まないものとする。

特許第6584185号 グルテン及び増粘剤を含まない米粉パンの製造方法  

特許を読むのは慣れが必要なので、もうちょっと読みやすいプレスリリース記事もご紹介。
グルテン不使用の100%米粉パンの製造技術を開発しました


★化学の数の数え方について

 化学では、1~10までの数字をギリシア語で数えることが多い。

化学でよく使う数の数え方

 ジスルフィド結合は、2個の「S」が挟まった「R-S-S-R'」型の結合のこと。ちなみに、スルフィド結合は「R-S-R'」である。

今週の試作

 うちの近所には、地元紙で特集記事が組まれるような老舗の美味しいパン屋さんがある。よって、そこに売っている種類のパンを作るくらいなら店で買いたいので、ChatGPTに相談しながら、店に無いようなパンを作りたい&捏ねる練習をしたいと思う。なお、イングリッシュマフィンはその店で扱っていない。

 今回は、水の代わりにポカリスエットを使って丸パンを作ってみた。イオンが多いことが功を奏したのか、弾力が強めだった。さっぱりした味わいだが、後味がほんのり「ポカリスエット」なので、好みが分かれると思う。まぁまぁ美味しいとは思うけど、あえてポカリスエットにしなくてもいい気がする。

強力粉250gで、このサイズの丸パンが6個。
オートリーズ法を併用で、捏ね時間は10分くらい。
丸パン2回目の挑戦にしては、それなりに膨らんだ。
下の方でクラムが詰まってしまったが、これは丸めがヘタなのだと思う。
弾力はいい感じ。食感はモチっとしているが、モチモチっというほどではない。
ポカリスエットは後味が気になってしまうのが減点だが、
イオンが多い液体を使うこと自体はアリだと思う。
熱したフライパンでサラダ用の小さな球状のモッツァレラチーズを焼いて、
溶け始めたところに、三枚切りにした丸パンを押し付けて焼いたもの。
仕上げにハチミツを垂らすと、パンの酸味と相まって美味しかった。


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