見出し画像

【フルホンズ】感想〜浅倉透の抱く憧憬と、「美しいもの」について〜

みなさんこんにちは。
ノクチル担当シオカラです。
昨日実装された【great on U】読んでから、そういえば同じイベント産サポカの【フルホンズ】読んでねえぜ!と思ってついでくらいの気持ちで読んだんですよ。
そしたらなんか滅茶苦茶凄いこと書いてありました。
お前これ2ヶ月近く読んで無かったのバカじゃねえの?????って自分のことをぶん殴りたくなった。マジで。
というわけで、今回は2025年10月8日実装のS-SR、【フルホンズ】についてお話ししていこうと思います。

【フルホンズ】浅倉透

イラストからの所感としては「とおこいか〜、ベレー帽にメガネの浅倉メロいな〜、小糸ちゃん丸眼鏡かわいい〜」くらいのあっせぇ感想だったので中々食指が伸びなかったのですが、読んでみると内容が滅茶苦茶濃密だったというか、浅倉透は樋口円香に何を見出していたの?というのとワールプールフールガールズの「永遠みたいにしたい、今を」ってどういうこと?っていうのが明示されていました。
え?凄いこと書いてないですかこれ?
そうです。凄いことが書いてあるんです。
しかもこの「浅倉透は樋口円香に何を見出していたのか」は【ダ・カラ】の読解にも繋がる内容でした。
マジでドカコミュ過ぎないか?????
とおまどのオタクとワールプールフールガールズが好きなオタクは読むべし。
まあ後者はノクチルP全員当てはまるかァ!!!!(過激派)

では、コミュ本編の話に移っていきましょうか。
まず、1つ目のコミュ「ズ1」から。
冒頭、まず浅倉透のこんなセリフから始まります。

【フルホンズ】ズ1

当然なんのこっちゃ?となりますよね。
僕も最初は「ズ?全部複数形にしようとしてるのか?」って思いました。
ところがどうやらそうではない事が読み進めると分かります。
小糸と行った古本屋で見つけた子供向けのカタカナ練習ドリル、そこに書かれていた「イカ」の文字の語尾に「ズ」が書き足されていました。

【フルホンズ】ズ1

それに対して浅倉透はこう言います。

【フルホンズ】ズ1

は.....発想の跳躍力で負けた.......。
まぁ浅倉に勝てた試しなんてないですけど。
そう。この「ズ」から浅倉透が汲み取ったのは打ち消しの意。
「〜ベカ」、「不遣ヤラズ」の「ズ」であった事が分かります。
そしてこの「ズ」に対しての浅倉透の所感がこちら。

【フルホンズ】ズ1

どうやらこの打ち消しの意が示す反抗心克己心めいたものに好感を抱いているようです。
正解に囚われない心、これが「私」であると定型を外れて世界に刻みつける証左。
そして、人々の視線をも超えて鳴り響く心臓の鼓動。
何となく息をしていただけで「正解」を引き当ててしまっていた浅倉透がこうしたものに惹かれるというのは、ある種道理であるとも言えるでしょう。

【G.R.A.D.】息したいだけ

....さて、今浅倉透は正解に囚われない、逆らう事に対して憧憬を抱いている、という話をしました。
皆さん、そういった人物に心当たりは無いですか?
自身の中に確固としてあった「うつくしいもの」に訣別を告げた人。
何者にも縛られないと歌に激情を込めた人。
───逆巻く衝動に従った、その人。

【コースティクス・ノクチルカ】エンディング「(((受信」

そうです。樋口円香です。 

【天檻】での「歌」の発言や、【fuka】での映画の感想、【コースティクス・ノクチルカ】2話で同じスタジオでレコーディングした時の反応など、浅倉透から樋口円香へ抱いてる感情は度々匂わされてきました。

【天檻】くじらをつかまえろ
【fuka】sub
【コースティクス・ノクチルカ】赤と水色

そしてこの【フルホンズ】にてその感情の正体はほぼ明示されたといって良いでしょう。
浅倉透もまた、樋口円香に対して憧憬を抱いていると。
彼女もプロデューサーと同じように彼女の歌に激情を見出していると言っても良いでしょう。
【天檻】でも【コースティクス・ノクチルカ】でも、浅倉透が求めたのは彼女の歌でした。
ただ、そこで求めているのは樋口円香の「歌」そのものではなく、その歌から漏れ出す何者にも囚われまいとする「激情」なのでしょう。

【ファン感謝祭編】然るに受信
【Landing Point編】Color

つまり、「ズ」の心意気です。

ただ、彼女達は互いに憧れる事により、自身にないものを渇望して懊悩している事になります。
浅倉透は樋口円香のように激情を持てず、樋口円香は浅倉透のように美しく在れないのですから。
そしてその互いに対する憧憬は、彼女らが持つ本来の輝きから自身を遠ざけてしまっているという点に於いても同一です。
さて、ここまで対比されているのならば、互いがどこに憧憬を見出しているのかという点も対比されていると見るべきでしょう。
そう、
【ダ・カラ】に於いて樋口円香が見たと言う「美しいもの」についてメスを入れる時です。

【ダ・カラ】る

まず最初に提示しておかないといけないのが、「美しいもの」=浅倉透ではないと言う事です。

「は?」と思われる方、居ると思います。
ですが、イコールで浅倉透としてしまうとおかしい点があるんですよ。
それは、【ダ・カラ】で回想されたシーンは樋口円香と浅倉透の初対面では無かったという事。
浅倉透=「美しいもの」であるのなら、当然樋口円香が"それ"をみたシーンは初対面でなければなりません。
しかし、【ダ・カラ】で描かれるシーンは、初対面などではなく、いつものように浅倉透の部屋に遊びに来た瞬間でした。
つまり、【美しいもの】とは浅倉透そのものではなく、「ある状態になっていた」浅倉透。
その一瞬間に見出した存在であることが窺えます。
つまり「常在する美」ではなく「瞬間に現れた美」であったわけです。
おお、オイサラバエル的。

ちなみに余談ですが、この推察は同時に、樋口円香の憧憬は浅倉透の方を向いているのではなくその瞬間に現れたものに対して向いていることも指し示しています。
以前コースティクス・ノクチルカのnoteで【sa!l】のイラストに於いて、「樋口円香の光源が浅倉透になっている」のではなく、「浅倉透という光が樋口円香の方を向いている」という書き方をしたのはこういう事です。

繰り返しになりますが、【ヘブンリーブルーをつかまえて】の浅倉透曰く、「光ること」と「寂しいこと」は似ているんです。

【ヘブンリーブルーをつかまえて】P
【ヘブンリーブルーをつかまえて】P→T

樋口円香さんはもう少し「美しいもの」ではなく「浅倉透」を見てあげてください。
その光、ずっと貴女の方を向いているので。

閑話休題

話を戻しまして、それでは彼女は果たしてどの様な状態にあったのでしょうか?
そのヒントは、シャニソンのエピソードゼロにおいて提示されました。

【エピソードゼロ】プロローグ ドアは開かれた

【ダ・カラ】にて樋口円香が浅倉透の部屋を訪ねる前に、浅倉は高校生の頃のプロデューサーとジャングルジムに登っていた事が判明するのです。
とんでもない情報をシャニソンで後出しして来んなよ!!!!!!!!!!!!!!!
失礼。言葉が乱れました。
さて、それでは浅倉透はその時、何を手にしたのでしょうか?
プロデューサーへの恋心でしょうか?
それもあるかもしれませんが、それでは対比としては成立しません。
浅倉透が樋口円香に対して焦がれたものはなんだったのかを思い返してみましょう。
彼女が憧憬を抱いたのは「ズ」の心意気です。
正解に囚われず、何者にも縛られない心。
衝動のみで歌われる、誰の方向をも目指さない歌。

【LandingPoint編】color

これに対比されるのだとすれば?

答えを言いましょう。
あの時浅倉透が初めて抱いたもの、それは目的意識です。
狙いを定めて、どこか一点を目指す心。
誰にも宛てないのではなく、指向性を定めて向けられる一意専心の気持ち。
ジャングルジムのてっぺんに向かって登るように、
被写体としてカメラを見つめるように、
────獲物を狙う捕食者のように。

そう、浅倉透の「美しさ」とは、純粋なまでに一点を見つめるその視線にこそあるのです。
透き通るような、その視線に。

あの時、彼女はジャングルジムを登るという行為を通じてそれを得たのです。
それこそ、いくら登っても終わりの見えないジャングルジムの夢を見る程度には、鮮烈に。
そしてその目的意識を得たばかりの彼女は初めて飢えを自覚したのでしょう。
とにかく何かを得たいという欲求、その向け先を探していたのだと思います。
そこに飛び込んできた、幼馴染の声。
その時、焦点は定まってしまった。
私の聴きたい歌。

斯くして、ドアは開かれました。
そして樋口円香は出会ってしまった。
部屋の中から自分にを向ける、「美しいもの捕食者」に。

これが【フルホンズ】を踏まえた上で僕が考えた【ダ・カラ】の顛末です。
彼女達はあのタイミングで、同じ様に自らの憧憬を見出したのです。
そして、故にこそ彼女達はしっかりと己の美しさに対して向き合わなければならない。
借り物の方法論メソッドでは、その美しさには届き得ないのだから。

さて、滅茶苦茶濃密な話をしましたが、これは【フルホンズ】のひとつ目のコミュ、「ズ1」から読み取れる情報です。
まだワールプールフールガールズの方の話に触れていません。
というわけで2つ目のコミュ、「ズ2」についても話していきましょう。
「ズ2」はざっくり話すと、小糸が古本屋から貰った童話集に挟まれていた写真に写っていた家を訪ねる話です。
写真の電柱に住所が写っていたので、その住所を訪ねるのですが───。

【フルホンズ】ズ2

そこに家は既になく、駐車場があるのみでした。
なんだか浅倉のLanding Point編を思い起こさせる内容。
ここも未来になってしまったんでしょうかね....。
さて、この現状に対する浅倉透の言葉がこちら。

【フルホンズ】ズ2

何をすることもないと。
写真は写真でそのまま本に綴じてそっと戻しておこうと言うのでした。
ここもかなり浅倉LPの手つきを感じました。

【LandingPoint編】ラスト

あの時は映画館の終わりを目の当たりにしましたが、今回の件では終わりは既に通り過ぎ、手元に在りし日の写真が残るばかり。
それでもそこに残る物があるのならば、終わりになど思いを馳せ、そのままにしておこうと。
そして最後の浅倉透の独白。

【フルホンズ】ズ2

この世にフォーエバーは無く、あらゆるものは終わりに向かっていきます。
だから、残す。
一瞬一瞬を精一杯に、刻み込む。
その一瞬を切り取った物が残り続けるのなら、そこに永遠は息づくのだと。
今回は写真という物質的な物が出てきましたが、それこそ心にだって残る物があるはずです。
だからこそ、「永遠みたいにしたい、今を」。
これは、今も終わりゆく彼女から、世界に対しての精一杯の反抗なのです。

【フルホンズ】ズ1

このセリフの「──────」で浅倉透が何を言ったのかは、是非自分で確かめてみてください。

それでは今回はこの辺で、解散!

いいなと思ったら応援しよう!