研究備忘録:アメリカ・イスラエル連合攻撃に関する中東視点の報道
本稿は、政治的意図は無く、中東の代表的メディアであるアル・ジャジーラがの英語メディア原稿を、日本の大学で学ぶ学生に向けた教材目的として日本語に翻訳したものである。上記YouTube視聴の一助として活用頂きたい。
イランの国営メディアは、最高指導者アリー・ハーメネイー師の死亡を正式に確認した。師の娘、孫、および他の家族二名も今回の攻撃で命を落とした。
これに先立ち、イランは以前の攻撃への報復として、イスラエルおよび周辺地域の米軍基地に向けてミサイルとドローンを発射していた。今回の攻撃は、イラン核開発問題をめぐる交渉が継続するなかで実施されたものであり、イラン・アメリカ・イスラエル三者間の緊張が重大な段階へと移行したことを示している。
イランの国営テレビは最高安全保障委員会の声明を読み上げ、アーヤトッラー・ハーメネイー師の暗殺を公式に発表した。
イラン国営テレビ公式発表:
「神の御名において。イランという偉大な国家の指導者であり、世界中の自由を求める人々およびイスラーム諸国民の精神的支柱であったイマーム・ハーメネイー師の崇高な魂は、聖なるラマダーン月に長年切望していた殉教を遂げ、最も高い天国へと召された。今日、イランとイスラーム諸国民、そして世界中の自由を求める人々は、アメリカという犯罪的勢力とシオニストという邪悪な勢力による凶悪な攻撃に深く悲しんでいる。
抑圧を本質とする血に飢えた敵は、この事実を知るべきである。世界において目覚めた心を持つ人々はすでにその道を見出した。これらの殉教はイランとイスラーム世界にとって多大な代償を伴うものであるが、却って抵抗の意志と決意をより一層強固なものとする。これほど偉大な人物の殉教が世界の抑圧者たちに対する蜂起の火蓋を切ることは、もはや必定である。」
当局はテヘラン、ワシントンD.C.、占領下のヨルダン川西岸ラーマッラー、北京、およびドーハに特派員を配置している。各地との中継に先立ち、緊急の速報が届いている。イランの国防評議会書記アリー・シャムハーニー、および革命防衛隊司令官ホセイン・パクプールが、米・イスラエル合同攻撃において死亡したことが確認された。
まず、テヘランから中継で結んでいるタヘル・アッサーディ特派員に話を聞く。
タヘル・アッサーディ特派員、最高指導者の死亡がイランの国営テレビで公式に発表されました。その点についてお話しいただく前に、死亡が確認されたばかりの二名の高官についてお聞かせください。
タヘル・アッサーディ特派員:
攻撃が開始されてから24時間も経過していないにもかかわらず、犠牲者の数は急速に増加しています。イスラーム共和国の指導体制に対し、さらなる深刻な打撃が加えられたことが確認されました。
一人目は、国防評議会議長を務め、以前には最高安全保障委員会書記を歴任したアリー・シャムハーニーです。この書記職は現在アリー・ジャンナティーが担っています。二人目は、現革命防衛隊司令官ホセイン・パクプールです。前任司令官ホセイン・サラーミーは今年6月の米・イスラエル攻撃で既に殺害されており、パクプールはその後任として着任したばかりでした。その時点だけを取っても歴史的な転換点であり、多数の上級軍事指揮官が命を失う重大な事態でした。さらに今回の攻撃において、イランの上級軍事指揮官が再び多数死亡したとの報告を受けています。
この事態の影響は計り知れません。革命防衛隊の指揮命令系統においては特に甚大です。最高指導者がこれらの司令官を直接任命してきたからです。その最高指導者本人が、イラン側による当初の否定を経て、数時間前に死亡が確認されました。
極めて深刻な状況であり、今後の展開を注視しています。
国営テレビにおける最高指導者の死亡公式発表について、その経緯と意味するところを教えてください。
タヘル・アッサーディ特派員:
この出来事が持つ意味は計り知れないほど重大です。これはイスラーム共和国の全歴史において、おそらく最も重大な転換点と言えるでしょう。
現時点で最も注目すべき声明は、革命防衛隊から発せられています。アーヤトッラー・ハーメネイー師の死亡を受け、イラン軍の歴史上最も激烈な攻勢作戦を間もなく開始するとし、占領下の領土および地域内の米軍基地を標的とすると表明しています。政府、最高安全保障委員会、そしてイラン政府の他の諸機関からも同様の声明が相次いでおり、いずれもさらなる深刻な事態への移行を示唆しています。
一方、40日間の国家喪が宣言されました。テヘラン中心部のエンゲラーブ広場にはすでに市民が集まり始めており、葬儀および追悼行事が各地で準備されています。
この出来事の意義は国内政治への影響にとどまりません。イランが現在も進行中の軍事攻撃を受け続けているなかにあって、今後の対外政策の方向性そのものが根本から問い直される局面に入りました。
あなたは先ほど今回の出来事をゲームチェンジャーと表現されました。最高指導者および多くの上級幹部の死亡により、この紛争の軌跡と力学はどのように変化すると見ていますか。
タヘル・アッサーディ特派員:
私はこれを「経路依存的な動態」と呼びたいと思います。今われわれが注視しているのは、後継者選定プロセスの開始です。このプロセスを経て最終的には新たな最高指導者が任命され、その人物がほぼすべての統治領域において最終的な決定を下すことになります。
その間、国家は大統領・司法府の長・護憲評議会から選出された聖職者一名の三者からなる委員会が管理します。その後、ペルシア憲法体制において「マジレス・エ・ホブレガーン」として知られる専門家会議が召集され、新最高指導者の任命に関する最終決定を下します。
誰が次の最高指導者となるかが、今後の展開を左右する決定的な変数です。おそらく二つの方向性の間で緊張が生じるでしょう。一方はアリー・ハーメネイー師のイデオロギー的遺産の継承であり、他方は現実主義的プラグマティズムへの傾斜です。後者は今イランが置かれている厳しい現実、すなわち攻撃が続くなかで国家主権そのものが脅かされているという事実を、慎重に見極めながら判断を下そうとする立場です。
テヘランからの中継でした。タヘル・アッサーディ特派員、ありがとうございました。
