講座では教えてくれなかった「空間デザイン」 ― フランスで本から学んだこと
フランスでは、コロナ禍をきっかけにインテリアブームが続いています。
家をリノベーションしたり、それをきっかけにインテリアデザイナーとして独立を目指す人も少なくありません。
そんな流れの中で、私もフランスのインテリアデザイナー養成講座を受講しました。
しかし、そこで気づいたのは——空間デザインそのものを体系的に学ぶ機会がほとんどなかったということ。
インスタグラムなどで似たようなイメージがあふれる今、
流行に流されずに“デザインの基本”を理解しておくことこそ、
デザイナーとして長く続けるために最も大切なのではないか——そう感じたのが、本探しのきっかけでした。
今回は、そんな中で出会った“本当に空間デザインを学べる本”を3冊ご紹介します。
皆さんこんにちは。在仏21年目のEVERYDAYPaRISです。
前回はフランスでインテリアデザイナー養成講座を受けたお話をしました。
今回は講座では触れられることのなかった、空間デザインそのものを学べる本を紹介したいと思います。
(日本語に翻訳されていないものがほとんどですので、あしからず。)
学校からもおすすめ書籍のリストをもらいましたが、どれもピンとこないものばかり。
本屋や図書館に何度も足を運び、空間デザインを学べる本を探し続けました。
インテリアデザイナーの仕事を紹介する本は複数ありましたが、どれも必要なソフトや図面の描き方、家具の配置、色彩、資材の解説など、受講した養成講座と似た内容が中心。
肝心な「空間デザインの考え方」が欠けていたのです。
2023年12月に講座を修了して以来、気長に探し続け、最終的には偶然が偶然を呼び、空間デザインを本質から学べる数冊の本に出会うことができました。
ちなみにフランスのオンラインインテリアデザイナー養成講座を受けた話はこちら。
1冊目:Kelly Hoppen “Design Masterclass ― How to Achieve the Home of Your Dreams”
最初に出会ったのは、イギリスの著名デザイナー Kelly Hoppen の著書。
状態の良い英語版の古本を10.02€で購入しました。

Kelly Hoppenは2020年に大英帝国勲章を受けた世界的デザイナーで、最近はマークス&スペンサーとのコラボでインテリアアクセサリーを展開しています。
「トープの女王」と呼ばれ、ニュートラルカラーとラグジュアリーな調和で知られる彼女。
かつて講座を開いていたそうですが、多忙のため継続できず、代わりにこの本を出版したといいます。
私はどちらかというと北欧のようなナチュラルでシンプルなデザインが好み。
それでもこの本からは、空間デザインの“構築的な美しさ”を学ぶことができました。
16歳で高校を中退し、独学で世界のトップインテリアデザイナーに上り詰めたKelly。
そんな彼女への憧れから手に取った一冊が、まさに私が探していた内容だったのです。
フランスにいながらイギリスのインテリアデザイナーに興味を持った理由については、別の記事で話す予定ですので、ご興味のある方は楽しみにしていてください。
2冊目:Frida Ramstedt “Trendenser – L’art d’être bien chez moi”
(英語版タイトル:The Interior Design Handbook)
2冊目との出会いは、まさに偶然の連鎖でした。
インテリアデザイナー講座を終えた頃、アメリカで活躍されているビジネスコンサルタントの YUKIさん を友人に紹介され、彼女から「Amazonマーケティング」という手法を学びました。
これは、自分がビジネスを展開したい分野の本について、Amazonの売れ筋ランキングやレビューを分析し、読者(顧客)の関心を理解するというもの。
私も試しに、フランスの大手書籍チェーン FNAC のサイトでインテリアデザイン関連本のレビューを調べてみました。
その過程で出会ったのが、スウェーデンのデザイナー Frida Ramstedt の著書。

2019年にスウェーデンで出版され、英語を含む29か国語に翻訳された世界的ベストセラーです。(残念ながら日本語版はまだ出ていません。)
この本は、あえて写真を使わず、イラストだけで空間デザインを教えてくれるという独特の構成。
黄金比や構図といった概念から、額の配置や小物の並べ方といった実践的なポイントまで、幅広く丁寧に解説しています。
写真中心のインテリア雑誌では得られなかった「デザインの仕組み」を、この本で初めて体系的に理解できた気がしました。
2025年11月7日追記
こちらの本は、「北欧式インテリア・スタイリングの法則」というタイトルで日本語版が出版されていました! (2025年11がつ現在アマゾンで購入可能なようです。)
3冊目:Lucy Gough “Stylisme d’intérieur – S’inspirer et trouver son style”
(英語版タイトル:The Home Style Handbook)
最後に紹介するのは、イギリスやオーストラリアで活躍するインテリアスタイリスト Lucy Gough の著書。
彼女の専門は「インテリアのスタイル構築」。

一見、美しい写真を並べたビジュアルブックのようですが、実はとても実践的な内容です。
ムードボードの作り方から、それを実際の空間デザインに落とし込むまでのステップが丁寧に紹介されています。
なんとなく素材や写真を並べるのではなく、“意図を持った構成”がいかに大切かを教えてくれる一冊です。
一見なんとなく色々な材料や写真を並べているだけように見えるムードボード作りに、私は苦労していたので、彼女の実践的な解説がとてもためになりました。
ピンクを基調にしたカバーも印象的で、内容だけでなくビジュアル面でも心をくすぐるデザイン。
コーヒーテーブルブックとしても楽しめます。
3冊を通して気づいたのは、どれも「空間をどう感じさせるか」という視点を軸にしていること。
そして不思議なことに、これらの本の著者は誰一人としてフランス人ではありません。
次回は、私が「なぜフランスにいながらイギリスのデザイナーに惹かれたのか」その理由を少し掘り下げてみたいと思います。
